●抗GAD抗体
【こう・じーえーでぃー・こうたい、あんち・ぎゃど・こうたい】
(検査指標名)
(英:Anti-GAD Antibody)
[類→ICA



〈1型糖尿病(高血糖症)と自己抗体〉
1型糖尿病(高血糖症)の発症は自己免疫反応が起因するがゆえに、1型糖尿病(高血糖症)患者の血中には、抗GAD抗体やICA(抗ランゲルハンス氏島抗体)(→)など、膵β細胞に対する自己抗体が存在することが知られている。

〈GADとは〉
グルタミン酸脱炭酸酵素(Gulitamic Acid Decarboxylase:GAD)は、抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酸(γ-Aminobutyric Acid:GABA)をグルタミン酸から生成する際に働く酵素で、体内では主に脳と膵ラ氏島細胞に高濃度存在する。膵β細胞におけるGABAの役割はまだ明らかではないが、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン(成長ホルモン(GH:growth hormone)の分泌抑制ホルモン)の分泌調整に関与しているとされている。

〈GADの種類と自己抗体〉
GADには、GAD65およびGAD67の二つのアイソザイム(同位酵素:iso(同位)とenzyme(酵素)の複合語であるisoenzymeの略語)が存在し、それぞれの分子量は、65000、67000である。二つのアイソザイムの遺伝子は異なる染色体に存在している。ヒト脳にはGAD65とGAD67が、ヒト膵には主にGAD65が存在するとされており、このGADに対する自己抗体が抗GAD抗体である。

〈抗GAD抗体とIDDM発症の予知〉
これらの自己抗体は、IDDMの発症のかなり前から血中に存在することが報告されており、1型糖尿病(高血糖症)の診断のみならず、予知の面でも注目されている。特に予知の面では、急性発症する1型糖尿病(高血糖症)とは別に、緩徐発症型のIDDM(SPIDDM:Slowly Progressive IDDM)(→)が存在することが知られており、これらの患者について、2型糖尿病(高血糖症)と同様の症状が現れる時期における自己抗体の存在が、1型糖尿病(高血糖症)(→)の病態への移行を予知するのではないかと注目されている。

参考:http://www.srl-inc.co.jp/news/9738-04.htm