1997 NOVEMBER
NO.265
KYOTO MEDIA STATION
特集
地球温暖化防止京都会議
「環境経営」の時代へ

■「京都環境技術フェア」も併催
京都会議に合わせ、京都府、京都市、京都商工会議所は共同で12月5日(金)〜9日(火)、京都企業の環境関連技術・機器を紹介する「京都環境技術フェア」を京都府総合見本市会館(パルスプラザ)で開催する。フェアは会議の併催事業「エコ・ジャパン'97(環境技術・機器国際展示会)」の一環とし、会場の3分の1を地元枠として確保。今回の会議を地域の環境施策の推進役に、という期待に加え、「京都産業の新しい側面をアピールするまたとない機会」(京都府商工部産業推進課)と意気込む。
エコ・ジャパン'97には海外77、国内40企業・団体、同フェアには府内の53企業・団体がそれぞれ出展する。
もともと京都は、ハイテクベンチャーとともに、環境計測機器の島津製作所や堀場製作所、太陽電池を手がける京セラをはじめ、大手から中小まで環境関連企業が集積している土地柄だ。島津製作所が過去2回の締約国会議に引き続いての出展となるほか、堀場製作所はCO2管理の計測技術、オムロンは脱フロン洗浄などの技術を紹介。京セラは出展だけでなく、会場南側に完成する新本社ビル(20階建て)にフェア来場者を招き、ビルの外壁に設置した太陽電池パネルを使って発電を計画。ビルに設置されたものとしては世界最大の出力(年間約18万キロワット時)になるという。
一方、京都会議を契機に今年4月、京都府の呼びかけで発足した「京都府グリーンベンチャー研究交流会」(代表幹事 辻理(株)サムコインターナショナル研究所社長、77企業・団体)からは22社が出展する。同研究交流会は、環境測定装置や汚泥処理メーカー、廃食用油のディーゼル燃料転換からリサイクルシステムなど多種多様の企業・団体で組織され、オブザーバーには京都大学や立命館大学、RITE((財)地球環境産業技術研究機構)、(財)京都産業情報センターなどの学術・研究機関が参加。会員交流会、見学会などを通じ、会員間の共同事業も生まれており、来年1月には豪州の関連企業団体を訪問、国際交流にも取り組むこととしている。フェアでは、エコビジネスを新しい地場産業に育てようとアピールしていく考えだ。
 また、「エコ・ジャパン'97 国際環境技術フォーラム」では地球環境問題について技術的・専門的な観点および一般生活者としての観点から講演とパネルディスカッションが行われ、「京都地球環境映像祭」では地球上の自然環境をテーマとした映像作品がシアター形式で上映される。
なお、開催期間中、最寄り駅の地下鉄・近鉄「竹田」駅と会場のパルスプラザを結ぶ無料のシャトルバスは、天然ガス自動車が運行。さらに、パルスプラザと京都会議会場、RITEの3カ所を光ファイバーで結び、3元フォーラムやエコ・ジャパン'97の模様、RITEの研究内容をマルチメディア技術を駆使して全世界に発信する予定だ。


 環境にやさしい照明の開発
 クロイ電機(株) 宮原吉太良 R&D部長
同社は木を使った和風の照明器具では国内でも圧倒的な強さを誇る。ほとんどは松下電工向けのOEM(相手先ブランドによる生産)だが、部品の製造から組立まで、企画・デザインや技術開発力には定評がある。
関西文化学術研究都市にあるハイタッチ・リサーチパーク(相楽郡木津町)にE&L(HUMAN ELECTRONICS&LIGHTING)を標榜した研究開発拠点を設置。省エネルギーを開発テーマの大きな柱に掲げており、グリーンベンチャー研究交流会には発足と同時に参加した。
これまでに照明器具のインバータ化や、製品梱包材のパルプ材利用による脱発泡スチロール化を実現してきたが、フェアにはさらに一歩進んだ、人体感知センサとインバータ技術を組み合わせた省エネ照明、消費電力が従来の3分の1で済むという冷陰極ランプ仕様の誘導灯器具などを出展。併せて発光効率を一層アップしたランプの採用や、サイズのコンパクト化にも取り組んでいる。
研究交流会では「異業種交流を通じてものの見方、発想の切り口に幅ができた」と宮原吉太良 R&D部長。「クロイ電機とはどんな会社なのか、快適な照明手法の開発とエコロジーの両立に取り組む姿勢を知ってもらうのが狙い」という。

 「水」がビジネスチャンスを拡げる
 京都水研(株) 栗山清社長
9水質汚濁防止法成立(1970年)より以前の68年、水質汚濁防止装置の設計・製作を目的に設立。翌69年、染色廃水処理装置を京都大学衛生工学研究室と共同開発したのを皮切りに、独自の技術で事業を手がけてきた。これまでに日米欧で取得した特許は7件、水資源の保全に取り組んで30年という環境ビジネスの草分け的存在だ。  開発した廃水処理システムは食品加工、酒造、醗酵、メッキ、精油廃水など広範囲に及び、企業の廃水の再利用化装置(クローズドシステム)は80年に完成させた。フェア出展のメインは、食品工場などから出る有機廃水の「スポンジ活性汚泥法」の技術。先進国への技術輸出をにらんだ事業展開も計画しており、栗山清社長は「これほど国際的な展示会はめったにないチャンス」と位置づける。  その一方で、人口爆発や経済発展などで「アジアの水辺が急速に汚れつつある」という。「経済の世紀から環境の世紀がやってくる。事業は利潤の追求だけがすべてではないが、環境問題というフィルターを通して世界に目を向けると、ビジネスチャンスは無尽蔵にある」というのが栗山社長の持論だ。

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