“紛争防止”へ積極的に意見交換や協議を
入居シーズンが終了。今年は大きなトラブルも発生せず、昨年の事件の教訓が活かされました。それには京都の不動産業の各組織が行政と力をあわせて賃貸契約のトラブル一掃へスクラムを組み、「紛争は起こさせない」と協力体制を敷いていることは見逃せません。そこで、京都宅建川島健太郎氏に日管協京都支部岡本秀巳氏が「賃貸住宅関係団体及び消費生活相談機関などとの懇談会」の動きと効果について語っていただきました。

「住みやすい京都の街へ全力」
左から岡本秀巳氏、川島健太郎氏


住宅市場のボリュームが増えるとともに紛争や、賃貸関連の相談件数も増加傾向があるなかで、今後七つの機関団体と官民が一層協力し、広い範囲で社会的役割を果たしていかなければならず、こうした懇談会を開くことで、一般と接触の深い消費者生活科学センターや京都府市の行政機関も加わって意見の交換をするという点が意義深いというお話でした。また、各組織が参加してスクラムを組んでさまざまな問題、課題に立ち向かっていくことで住みよい京都の実現が可能になるということでした。


(株)長栄が京都伏見区で

退去時のトラブル防止と原状回復費節減を建築時から考えたマンション(写真)が完成しました。長栄が総合プロデュースして建てた「グッドヒル伏見」(京都市伏見区深草出羽屋敷町4)RC四階建てです。

同社ではこのような対応タイプを積極採用し、スムーズに退去が進むことで合理化が図れ紛争の未然防止とコスト軽減を図ります。同マンションはこれらを具体化したタイプです。部屋の居住性、全体のレベルを落とさないことが基本です。専用ペンキを用い、腰部には腰壁パネル、床材はWT(ウッドタイル)。全体にシンプルで改装費の軽減を図っています。竣工の建物は洋室が八畳とバルコニー、水回りのワンルーム。リフォーム費用は従来の半分になります。見学会は人であふれました。同社では原状回復で悩むオーナーや管理会社向けに完成を機に内覧会を開きました。


賃貸住宅のユーザーは今入居条件にどのような住空間や立地を望んでいるのか。インターネットの活用と業績向上は・・・など、賃貸業者にとって関心のあるテーマを主にしたセミナーがリクルート(関西)の主催で開催されました。このうち、ユーザー動向について住宅情報賃貸版企画担当の中川正之氏が同社が毎年発表する「賃貸住宅大調査2002年版」をベースに話しました。

それによると、ユーザーの住空間向上への期待は増大。設備充実、安全、防音などの快適居住の条件は基本的な願望に。特に設備では、BT分離、ガスコンロ、エアコンはもう当たり前の設備。ファミリータイプでは特に水回りの充実を希望。シングル層はオートロック、宅配ロッカーの希望が多い。つまり、専有空間の充実度を高めると同時に使い勝手、利便性、安全性なども入居条件として高く見ている。付加価値の内容が次第に高レベルになって行くようです。

「退去の月の家賃は日割り計算をしないものとする」との契約になっている場合に、家主さんは家賃を日割り計算せずに全額取得できるのでしょうか。例えば、賃借人から五月五日の居室明け渡しを受けたとします。すでに居室を明け渡しているのに、残りの期間である五月六日から五月三十一日までの家賃を家主さんは取得できるのでしょうか。
民法89条2項では法定果実(家賃など)について、日割り計算による取得を定めています。つまり、民法によれば、家賃は月いくらと決められていても、特約がなければ日割り計算で精算されるのが原則です。 しかしながら、民法は任意規定であり、当事者で民法とは違った特約をすることも公序良俗などに反しない限りその効力が認められています。退去時に賃貸の日割り計算をしない特約も、家屋賃貸借契約は日単位ではなく月単位の期間で一般になされていることなどから合理性があると考えられています。
従って日割り計算をしない特約も有効であり、その特約がなされていれば、たとえ月の途中での明け渡しがあったとしても、家主さんはその月の家賃を全額取得できます。




古物件が大正ロマン風に
  変身賃料アップしても競争入居に

古いファミリータイプの賃貸住宅の部屋を思い切ってワンルームに改装。独身層や若い共稼ぎ夫婦向けに変え、再生したことがユーザーの人気を集めました。オープンハウスにしたところ不動産や設備会社から見学者が集まりました。企画したのは兵庫県西宮市内の会社。岸田浩二社長によると「欲求される空間提供。画一的な考えから脱皮するヒントになれば」と自信たっぷり。物件は建築後20年以上。場所は西宮市の苦楽園。RC三階建て、和室中心の2DKを「大正モダニズム」を取り入れたフローリングのワンルームに。賃料も従来より二万円アップ。オーナーも喜んでいるそうです。古い物件のシェアリングオフィス化など地域のニーズを知り尽くした岸田社長のアイデアはほとんどあたりです。




都市化へ展望開ける
 京都市が南部の街づくり

京都市は今年春に南部地域の都市の充実を図るための「京都南部創造まちづくり推進プロジェクト」をスタートさせました。南部に都市拠点を作り、企業立地、道路、交通網を充実させ、鉄道環境を整備することを第一に平成17年を目標に街作りを進めて行きます。対象地域はJR東海道線南側の市内一帯で醍醐エリアは外れます。新十条通り、油小路通りの完成。伏見、桃山、中書島らの市街地整備、京大桂キャンパスや京都リサーチパークの建設を予定。鉄道ではJR西大路と向日町の間に新駅。私鉄では阪急桂と東向日町の間に新駅が誕生します。大阪との連絡の要所で道路作りも本格化する予定です。



外国人入居へ積極的
 日管協が支援ブック作成


外国人向け賃貸住宅入居に向けて(ソフト作りなど)積極的な動きをしている日管協本部。賃貸仲介や管理業務を支援するための「外国人入居支援ブック」を作りました。日本語も含めた四ヶ国語による書式や記入方法をよく理解できるようにまとめたもの。日管協外国人入居促進研究会がまとめたものです。オーナーへ、どのような外国人かをスピーディに伝えられる仕組みです。
去る四月には東京で会社向けの「外国人入居支援シンポジウム」も開催。国際化の進む中で外国人入居促進への動きは、ますます強くなってきました。


紛争予防手引書
 日管協本部が作成


(財)日本賃貸住宅管理協会(本部・東京)は不動産仲介・管理会社、家主が直面する各種のトラブルの法的解決策を示した手引書「賃貸住宅の紛争予防ガイダンス」を作成。内容は建物の修繕義務から原状回復、敷金返還、解約申し入れなどの賃貸借契約で発生する紛争や、その未然防止と解決法をわかりやすく解説しています。
手引書は2,000円(会員は1,500円)で販売。問い合わせは同協会へ。


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財団法人日本賃貸住宅管理協会 京都府支部
発行者 長田 修
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