2000 AUGUST
NO.298
KYOTO MEDIA STATION
特集

ソフトバンクの
インターネット戦略とe-ビジネスの最新情報


講師/荒本 弘一 氏(ソフトバンク・コマース(株)西日本営業推進室室長)

ECビジネスの成功ポイント
1. 扱い商品は最大の品揃えをすること 取扱商品を決めたら、ナンバーワンの品揃えを目指す
2. 低価格であること  ボトムダラーなど、インターネット上でひと目で価格比較ができるようになった
3. Webページは軽くて見やすいこと(8秒ルール、3クリック)  少なくともトップページはすぐに開かなければ、中止ボタンを押されてしまう
4. すべての処理をオンラインでする必要はない  特にクレジット決済への抵抗は強い。暗証番号などはFAXなどのやりとりでもよい
5. メール利用で会話形式 Webのパーソナライズ化。その人の嗜好にあった情報提供
6. リピーターの囲い込み(コミュニケーション機能など)固定サブスクライバーの獲得  新規サブスクライバーを獲得するのに1人100万円かかる。リピーターの囲い込みなども考慮に入れること
7. 広告ブランドイメージ確立にお金を惜しまないこと

 
インターネットビジネスの収益方法
    インターネットがビジネスルールを変える
    インターネットビジネスの収益方法はいろいろ考えられますが、モノを売ってその売買差益を得る方法のほかに、『カーポイント』や『オートバイテル』などのように見込み客を紹介して手数料収益をとる方法、または『Yahoo』のように企業から広告料をもらう方法などがあります。
    これからのビジネスの切り口として面白いのは、最初にすべてのモノを無料で配り、後のサービスでお金を回収するというスキームです。たとえば、ソフトバンクでは「フリーPC」というビジネスをやっています。希望者全員にパソコンを無料配布する代わりに、ソフトバンクが提供する月々2980円のインターネットサービスへの加入を義務づけるというものです。同じように「デジタルクラブ」も、CS衛星放送を見るために必要なアンテナ、チューナー、工事代金はすべて無料で差し上げますが、私たちが用意している番組パックを3年間契約してくださいというもの。このように、“無料”というキーワードは、消費者に与えるインパクトが非常に強いのです。
    インターネットビジネスの拡大は、従来のビジネスルールを大きく変えようとしています。たとえばアメリカの『buy.com』という会社では、インターネット上でいろんな商品を売っていますが、1万円で仕入れた商品をそのまま1万円で売っているのです。売買差益を1円も得ていません。要するに、モノを売るというのはビジネスではなく、ひとつのコンテンツだと考えているのです。あそこに行けば、安くモノを買うことができるというわけでたくさんの人が集まってくる。そこへスポンサー企業のバナー広告を貼って、その収入で利益を上げているのです。

インターネットビジネスの収益方法  One to Oneビジネスの時代

メーカーの営業代行から消費者の購買代行へ
    インターネット人口が増加してくると、売り手と買い手がOne to Oneでつながってきます。つまり、メーカーから直接消費者にモノが流れる仕組みが生まれてくるのです。では、商社や問屋、小売店、ディーラーなどの中間業者は存在価値が薄れてしまうのでしょうか。少なくとも、インターネットで提供できるような商品しか扱うことのできない中間業者はなくなってしまうでしょう。商品の付加価値を与えていくためには、大きな発想の転換が必要です。従来の中間業者は、どちらかというとメーカーの営業代行的な役割を担っていました。しかしこれからは、消費者の購買代行をしてあげるという気持ちが大切です。発想的にはメーカーの営業代行と消費者の購買代行とではまったく違うはずです。先述したプライスラインなど、商品の値段を消費者が決めますから、企業にとっては非常に迷惑なサイトです。しかし消費者の立場にたったサイトということで、アメリカでは絶大な人気を誇っているのです。
    最近、アメリカでは新聞のチラシ広告が減ってきているといいます。なぜなら、新聞のチラシを見て特売日に来店するお客さんがベストカスタマーといえるのかどうか、各企業が疑問に感じ始めているからです。インターネットビジネスの世界においても、顧客一人ひとりについて、特売品だけしか買わない客なのか、それとも高くても安くてもずっと来てくれるのか、純度の高い情報をたくさん持っておかなければなりません。それが21世紀のインターネットビジネスの勝負の分かれ目になってくると思います。
 
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