2000 JANUARY
NO.291
KYOTO MEDIA STATION

全国中小企業情報化フォーラム'99 −IN MIYAZAKI−
情報化で21世紀への躍進

全国中小企業情報化フォーラム'99−IN MIYAZAKI−
テーマ別研修会 製造業部門コース

事例発表 製造業における情報化再構築
田中精工(株) 取締役 生産管理部長
坂本 栄造氏
○イントラネットで営業行動を迅速化
当社はアルミ・ダイカスト部品の鋳造加工メーカーで、発注元の制御機器や電気機器メーカー数社のアルミ加工部品の製造などを行っています。今回、情報化推進アドバイザーの古長先生にお手伝いいただき、社内の情報化システムを構築しました。
まず、営業部門を支援するためにイントラネットを立ち上げ、営業情報の全社的共有化で経営の合理化、スピード化を図り、営業行動が迅速にできるようにしました。これにより、見積提案、売上管理、受注速報、ビジュアル生産情報など、マルチメディア情報が全社で見られるようになりました。社外側のシステムとしては、一般公開用のホームページや、出張者を対象とした非公開のユーザ購買情報などの提供をしています。出張先でも社内の情報を取り出せることで、顧客のニーズに的確に対応できるようになりました。

○web電子オフィスで外部との情報共有
共有サーバによる取引先、協力会社と情報共有を行うこのシステムを当社では「web電子オフィス」と名付けて開発を行っています。このweb電子オフィスは、「掲示板」「専用会議室」「ホットライン」「スケジュール」の4つの機能で構成され、ユーザ認証を行った取引先、協力会社、出張社員、社内利用者のみがログインして利用できるエクストラネットになっています。情報交換、生産技術データの紹介のほか、見積提案やデザインレビュー、納期回答などの業務をリアルタイムで行い、顧客満足度の向上を図っています。このweb電子オフィスで、経営の合理化、スピード化、さらには情報提供のスピードアップと営業活動のクイックアクション・クイックレスポンスが可能になりました。

○独自の電子オフィスを目指して
今後の取り組みとしては、第一に「情報提供のスピードアップによる営業活動の効率化」、第二に「生産性の向上とリードタイムの短縮で製造原価の低減」、第三に「業務のペーパーレス、整流化で事務処理の合理化」をテーマに挑戦していきます。また、独自の電子オフィスの完成をめざし、イントラネットで情報の総合化、共有化、マルチメディア化を拡充し、取引先との情報の共有や協力工場とのシームレスな連携で、さらなる改善に取り組んでいこうと考えています。

全国情報化コンサルティングフェア
講演
地域における中小企業とネットワーク
講師 京都大学大型計算機センター 教授 金澤 正憲氏

○高度情報化社会とは
科学技術の3本柱は「物質」「エネルギー」「情報」であると認識されるようになりました。さまざまな情報が、ものすごい勢いで飛び交うようになり、社会に大きな影響を与えています。
特に、コンピュータと情報通信ネットワークが一体となって発展し、情報化社会からさらに、高度情報化社会へと移行しつつあります。コンピュータ技術の発達は目覚ましく、ここ数年で驚くほど、高速化、大容量化が進んでいます。
これまでの情報化社会とは、既存の生産工程や作業、またはサービス業などでコンピュータ、およびネットワークで代行を実施したものが情報化社会です。これに対して、それらの能力をできるだけ発揮させるように、社会の枠組みや産業のしくみを構築し直した社会が、今の高度情報化社会といえます。

○インターネットを活用するには
現在、コンピュータは高速化、大容量化し、インターネットの発達に伴って、デジタルカメラ、カラープリンタなどマルチメディア機器も様々なものが登場してきました。企業などで利用されるホームページも、ここ5年で爆発的に拡大しています。
ホームページのメリットは、配布範囲が非常に広く瞬時に送れる、容量の制限がないに等しい、以前のものを遡及、蓄積が可能である、などが挙げられます。逆に、デメリットとしては、積極的に見る人に限定されることと、すぐに見るとは限らないことが挙げられます。インターネットのホームページの閲覧は、1時間弱の実習的説明を受けるだけで、誰でも充分に利用できるようになると思います。使うときに電源を入れて、最後に電源を切れば、管理という点からも問題はありません。
しかし、インターネットのメールを使う、ホームページを立ち上げるとなると、もう少し詳しい知識が必要になってきます。まず、ホームページでビジネスをするには、専用のサーバが必要です。サーバは発信する情報を蓄積するスペースと、命令に応じて情報を送り出すプログラムでできています。サーバは24時間365日運転し、常に世界中のwebアクセスやメールのやりとりの要求を処理していかなくてはなりません。従って、大企業などでは専用のサーバを持っても良いのですが、小規模なところでは、レンタルサーバを使うと良いでしょう。最近では、商用プロバイダがメールとwebサーバのサービスを行っており、しかもボーダーレスになっています。加入経費が安価で顧客からのアクセスが早いことを基準に選ぶと良いのではないでしょうか。米国の商用プロバイダのwebサーバにホームページをおいている中小企業が現実に、京都にもあります。

○ホームページでビジネスが変わる
これほどまでに拡大したホームページを、ビジネスに活かすにはどうすれば良いのでしょうか。
ホームページを経営に活用するためには、先行している企業に教わることが早道です。ホームページの技術は絶えず進歩しているので、先行者でも他人から教えられることが多々あります。重要なことは、情報交換の場をセッティングすることです。京都の場合、産業情報センターがイニシアティブをとっています。また、そこから派生したグループもあります。初心者にも門戸を開放しておくことも重要です。講習会や情報交換会などは、昼だけでなく、夕方にも開いて、時間を有効に活かせるよう企画する必要があります。
また、ホームページを単なる宣伝か、営業そのものか、作成のノウハウをどう得るか、など、ホームページを使ってどのような戦略を立てるかを明確にする必要があります。資材の調達や、取引先の新規開拓などに利用すれば、大幅に時間とコストの削減が可能ですし、求人広告などにも活用できます。ホームページの活用は情報化のレベルです。例えば、本や通信販売のカタログをホームページで表示し、注文を受け、商品を発送するというようなこと。地域、時間を超えて便利になったことはいうまでもなく、情報化の代表例といえます。みなさんも、いろいろな条件を振り払って、理想的なサービスを求めれば、21世紀とともに高度情報化社会に入れるのではないでしょうか。

ホームページのビジネス活用の方向性
◆既存の情報+インデックス
◆既存の情報を配布可能に(配布コストの問題解決)
◆電子新聞
◆音声メディア
◆動画(Java)
◆動画(Quick time、Real player)
◆検索機能(インデックス)
◆問い合わせ・予約(空港券、JR、ホテルなど)
◆ショッピング(通信販売)
◆ショッピング(商品は情報)
◆プライベートグループ利用(グループの博物館)
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