1999 NOVEMBER
NO.289
KYOTO MEDIA STATION

特集
21世紀の経営を支援する
KIIC事業レポート

新たな時代を目前に控え、コンピュータネットワークを駆使した情報技術とヒューマンネットワークを軸にした企業間交流はビジネスの中でますます大きな位置を占めるようになってきています。当センターでは、情報を軸としてこれら2つのネットワークに重点をおきながら、京都企業の経営を支援するための事業を展開してまいりました。昨年12月には設立20周年を節目に「Kyoto Industrial Information Center」の頭文字「KIIC」(キーク)を愛称とし、より一層の事業の充実を図ってきたところです。
そこで、今回の特集では、各事業テーマごとに関連企業や小売店にインタビューを行い、その生の声を通して当センターの事業についてご紹介していきます。
 情報化の推進
○広域連携情報ネットワーク整備事業
○京都インターネット利用研究会支援事業
○地域データベースネットワーク整備事業
○情報創出・情報提供事業

中小企業がコンピュータネットワークを利用して全世界に情報発信できる基盤づくりを行うとともに、インターネット利用研究会の運営支援や各種講座、講演会の開催等によって、企業における情報技術の活用を支援しています。
幅広い情報収集と交流ができる
インターネット利用研究会

(株)宇治駿河屋 代表取締役 関 満 氏
  本格的にインターネットへの取組みを始めたのは、いまから約4年前のこと。平等院通商店街と宇治橋通商店街の有志が集まって、共同でホームページを立ち上げたのが最初です。その後、私自身の店を紹介するホームページを作れないかと考えていたところ、「インターネット利用研究会」の存在を知って入会しました。ホームページを作るにはさまざまな技術的障壁があって、初心者にはなかなか難しいところがありますが、研究会では立ち上がりの段階から事細かに相談することができ、伝えたい内容をすべてホームページに反映することができました。また、分からないことがあれば専門家を派遣してくれる「パソコンエンジェル隊」という制度もありますので、これからインターネットを始めようと考えている方にとってはたいへん心強いのではないでしょうか。
当社は、和菓子のインターネット通信販売を中心に手がけていますが、そのほかにも和菓子の作り方を紹介したり宇治の名所を案内したりと、できるだけ楽しくユニークな内容を取り入れて展開するようにしています。現在では、月に平均で2000〜2500件程度のアクセスがあり、売上げも順調に伸びてきました。今後もさらに充実した内容を目指し、より多くのみなさんに見てもらえるようにしていきたいと考えています。
インターネット利用研究会では、ホームページの活用法やセキュリティーの問題などをテーマにした講演会や研修会、懇談会などを通して、最先端の事例を知ったり異業種の方との幅広い情報交換を行ったりすることができます。また、会員の目的やレベルに応じてさまざまな意見や提案が出せるのも大きな魅力ですね。

 環境問題への対応
○エネルギー使用合理化設備導入促進事業
○中小企業エネルギー・環境情報提供事業

新時代のビジネスに欠かせない「環境」をキーワードに、工場等における省エネルギーやリサイクルの促進など、環境問題への対応に必要な情報を提供。中小企業総合事業団からの受託事業として相談員の派遣も行っています。
専門家の意見・指導を得ながら
省エネ・環境問題に対応

サンコーエンジニアリングプラスチック(株)
総務 課長  不破 利雄 氏
当社では、機械装置ケースや検査ジグ、IC基板などのプラスチック製品を加工・製造しています。業務規模の拡大に伴って積極的な設備投資を進めてきましたが、同時にエネルギーコストの面で大きな負担を抱えるようになりました。私どもには省エネに関する知識が少なく、またこれまでの方法ではあまり効果が表れてこなかったため、具体的にどのような対策ができるのか、昨年の夏頃、センターへ相談に訪れたのです。
エネルギー使用合理化相談員の方からは、私たちがどのような設備を使用しているのか、また電力の契約がどうなっているかなどをお話ししたうえで、あらゆる方面からきめ細かに指導していただきました。当社の場合、まず電力の契約タイプを見直すことによって電気料金の単価が下がり、従来に比べて約15%ほどコストダウンすることに成功しています。今後、さらに積極的な省エネ対策に取り組むことにしており、例えば夏のクーラーの温度を1℃上げることによってどれくらい電気料金が変わるのかなど、センターに詳しく検証していただくようお願いしています。
また、環境問題への対応については、センターをはじめ取引先企業などからも意見をうかがっているところです。プラスティック加工の分野では、破材や梱包の故紙、ビニール類といった産業廃棄物の処理を欠かすことはできません。将来は圧縮技術の開発などによって、材質ごとに廃棄物の分別処理を行い、リサイクルに役立てていきたいと考えています。企業によって省エネの悩みはさまざまだと思いますが、ぜひセンターに相談されることをお勧めします。

 小売商業の支援
○小売商業活性化相談事業
○中小小売商業情報提供事業

ますます厳しくなる経営環境を克服するため、情報化はもとよりマーケティングや店舗設計、経営指導まで、あらゆる側面から小売商業を支援。実践的なセミナーの開催のほか、個別相談、情報提供などに力を入れています。
積極的な情報収集と
企業的感覚で
小売店の経営に変化を

京都府時計眼鏡宝飾商業協同組合
二世会 会長 佐藤 昇平 氏
(写真左)
副会長 原  一彰 氏
(写真右)
「店舗・業態や売り方は果たしてこのままでいいのだろうか、明日の手がかりをつかもうと組合員の若手メンバーで「二世会」(約40名)を組織しています。今日、特に女性の感性を抜きにしてモノは売れない時代です。そこで小売商業支援センターのご協力で、『消費者ニーズ調査(京の女性1,001人に聞きました−宝飾店に最も望むこと−)』を、平成9年に実施していただきました。
結果は、われわれのような一般小売店への期待度・信頼感も結構高いことがわかりました。大手専門店チェーンの出店がほぼ一巡し、今こそお客様を呼び戻すチャンスではないかと思っています。以来、「お客様が求める真のサービスとは何か」を考え、流行にも目を配りながら商品構成を行い、センターの『あきんど講座』で学んだ接客とサービスで店の存在感をアピールしています。
また、本年度はセンターのご支援で、専門アドバイザーの先生による『パソコン講座(全4回)』を組合員向けに開催しています。簿記から商品・顧客管理まで、パソコンを導入することで経営の実感を計数で的確に把握し、企業的な経営感覚を養っていくつもりです」(佐藤氏)
「親の代からのなじみ客が変わるにつれて、おのずと商売のやり方も変えていかなくてはと考えています。私は外商を中心に営業していますが、意外と若い女性の宝飾品に対するブランド志向は根強く、業界の情報収集は欠かせません。センターの『無料貸出ビデオ』で得られる最新情報とともに、『講習会』で学んだ販売手法などを日々の活動に応用し、臨機応変に対応しながらしっかりとお客様とのコミュニケーションをとっていこうと心がけています」(原氏)
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