1999 AUGUST
NO.286
KYOTO MEDIA STATION

特集
平成11年度 京都府異業種交流会連絡会議
「講演と交流のつどい」開催

異業種京都会 会員グループ活動報告
コーディネーター
京都府起業アドバイザー 吉田 丹治先生

吉田 丹治先生近年、CS(Customer Satisfaction=顧客満足)というコンセプトが経営戦略で重視されています。ビデオデッキを例にとると、実にさまざまな機能がついていて、年に1回も使用しないものまであるようです。各メーカーの全製品を集めて、どれが便利で、使いやすくて、コンパクトで、軽くて丈夫で、価格が一番安いか....。さらに売り方やサービス面を含めると、比較調査項目は30〜40項目にもなるでしょう。いうまでもなく、その多くの項目をクリアしているところが業績もいいわけです。
同じように異業種交流グループにも、望ましい活動のあり方についてチェック項目があるのではないでしょうか。それを冷静に、客観的にチェックしてみるのも必要なことだと思います。
本日ご発表いただいた3つのグループ、「京都市ベンチャービジネスクラブ」は性急にモノづくりに挑戦するのではなく、メンバーそれぞれがまず自分の企業が立派になろうと地道に取り組んでこられました。「エージィフレンド久御山」「新市場開発研究会」は、メンバーのいろんな考え方をしっかり受け止められ、1つの方向にまとめられたご苦労があって現在の姿があります。ご出席の方々の今後のグループ活動の推進に少しでもお役に立てればと願っております。


「創造・交流・成長」をモットーに
京都市ベンチャービジネスクラブ(KVBC)
(株)総合システムサービス 代表取締役 古川 峰生 氏
マイクロニクス(株) 代表取締役 大橋 正明 氏

KVBC 高度な技術開発力と独創的な経営で成長を続けるベンチャー企業が、京都市の呼びかけで結集して昭和60年に設立しました。会員相互の「創造・交流・成長」をモットーに、情報、技術、経験を交換し、それぞれが抱える共通の問題について研究を深め、京都のベンチャービジネスの振興を図ることを目的としています。
会員は現在81社で、業種別では50%が製造業、30%が情報関連、20%が販売・サービスという構成です。全体事業として月例会や技術セミナー、国内外研修、他団体や大学との交流のほか、共同求人活動などの人材ネットワーク事業、さらに2年に1回、スタートアップ期の企業を対象に「京都ベンチャービジネス大賞」の表彰事業などを展開しています。
分野別の特別プロジェクト活動としては、
  • 「ものづくり研究会」(共同でのアイデア商品の開発やノウハウ・情報の交換、メンバー企業の訪問など)
  • 「J&Hプロジェクト」(企業と人材のミスマッチを解消するために仕事と人の橋渡し)
  • 「エコミュニティ研究会」(高齢社会、環境問題を見据え、情報技術の円滑なコミュニティへの導入やシステム開発を図るために、持続可能な環境自立型システムに必要なビジネスのインキュベーション、循環自立型社会に関する情報提供・啓蒙活動)

このほか、来年のみやこめっせ5周年記念イベントに向けての技術・製品展示会開催プロジェト、財務戦略プロジェクトがあります。
実際の運営にあたっては、企業によってめざすところは違いますので、会としての求心力を高めるようなことはあえてしていません。ですからKVBCとして直接、ビジネスに取り組むことはいまのところしておりません。むしろ企業それぞれの遠心力を生かしていく、そのためにみんなで集まることが大きな楽しみとなるような場を提供し、会員相互で方向が一致するものを見いだして拡大していくことができればと考えています。


“横受け”が生んだ従業員1,200名の“大企業”
エージィフレンド久御山
(株)田中鈑金 代表取締役 長岡 幸夫 氏

長岡 幸夫 氏 共同受注と“横受け”システムの推進を目的として平成8年7月、久御山町商工会に所属する企業104社(現在105社)が集まって組織しました。エージィとはA(accept=受注)、G(group=グループ)の頭文字で、メンバーは工業部門53社、建設部門19社、流通・販売部門5社、物流・運搬部門9社、商業・サービス部門19社の5グループからなり、これらの企業の従業員総数は約1,200名。あらゆる業種が結束した、フルライン装備の1つの大企業であるととらえています。
バブル崩壊後は受注減に加え、地域内の同業者間で価格競争が起こり、規制緩和の流れも中小企業には追い風とならず、横の連携を強めなければ生き残れないという危機意識が高まりました。まず、お互いに交流しようと企業訪問が徐々に盛んになり、それを一歩進めて困ったときの“お助けシステム”としてスタートしたわけです。
これまでは大企業へ営業に行ってもいわゆる門前払いが多かったのですが、結成後は久御山町商工会バックアップしている企業集団ということでご理解をいただいています。メンバーの得意分野を組み合わせてどんなニーズにも、素材から加工・組み立て、各種設備からネジ1本まで、さらに工場の改装や車の修理、土地のあっせんまで対応しています。
具体的には、ガイドブックやカタログを共同製作して受注活動を行い、毎月の情報交換全体会議で案件を報告、それを部門別のビジネス情報会議で検討して窓口となる企業を決め、横受けしてそれぞれ仕事を分担します。ユーザーに対しては窓口企業が全責任を負うことになりますが、内部では個々の企業が「自己責任・自己利益・自己負担」の3原則にもとづいて事業活動するという仕組みです。
今後は、インターネットなどを通じて広く情報を発信して事業の広域展開をめざしていくつもりです。基調講演で芝先生が提言された公的助成金の活用については、政府系金融機関や行政の担当者を招いて説明会を開いたり、部門ごとに勉強会で取り組んでいるところです。


“本音を語る”で結束、インターネット通販も
新市場開発研究会
ソニー生命保険(株)京都支社 ライフプランナー 松下 透 氏

松下 透 氏 6年前に発足し、現在16社が参加しています。その目的は単刀直入に「自社の特徴を他の分野に応用し、儲けをあげる」こと、そして「お互いの異業種の特性を生かした、新商品・新市場の創造開発」を掲げています。
活動内容としては、毎月の例会と年1〜2回の講演会・交流会、展示会には異業種京都まつりのテーブル交流会などに出展しています。また、各部会でホームページを開設していますが、そこで景品付きのアンケート調査をしたところ、3日間にEメールで5,000件以上の回答が寄せられました。このデータベースを活用して、8月からショッピングサイトを立ち上げ、会員企業の商品・サービスを中心にインターネット通販を開始する予定です。
実は以前、例会などへの出席者が少なくなり、危機的状況に陥りました。このため会員同士がもっと本音を語ろうと呼びかけ、再び結束を図ったという経緯があります。本音を語るとは、ストレートにいえば儲けを追求する、そのために会員の商品・サービスをどんどん発表していく場にしていこうということです。
本日もこの場を借りて主な会員企業の商品・サービスを紹介させていただきますと、完全脱臭剤とか、衣類だけでなく機器類の摩擦による静電気にも対応した静電気防止剤▽高血圧症・糖尿病などに有効な自然食品▽米国からの輸入マリングッズやハイテク商品のほか、業務効率化のためのシステムコンサルティングサービス▽短期間で低コストのISO9000s認証取得支援サービス、などがあります。私が所属してます生保会社では外資系のみに取り扱いが認められているガン保険、法人で保険をかけますと保険料を損金で処理ができ、解約返戻金が高利率なのも特長です。
毎月の例会では、税理士や社会保険労務士などの方々によるワンポイントセミナーを行うなど工夫していますが、やはり課題はグループ名にもなっている新市場の開発であると思っています。そのステップとして広域交流、今年秋には大阪、神戸の異業種交流グループとも交流会を開く予定です。
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