●インスリン・レセプター(インスリン受容体)
【いんすりん・れせぷたー】
(薬剤名)
(英:Insulin Receptors)



 細胞膜の表面にあって、インスリンと結合する部分。1個の細胞について、数十個から多いものでは20万個ほど存在する。血中のインスリンが、筋肉細胞や脂肪細胞上のインスリン受容体に結合すると、細胞内の顆粒にプールされているグルコース輸送体(GLUT 4)が、細胞内から細胞膜上へと移動し、細胞内へのグルコースの取り込みが促進される。インスリンが受容体から離れると、GLUT 4は細胞膜上から細胞内膜へと戻される。

 一方、筋肉運動をした場合には、血中にインスリンが存在しなくても、グルコース輸送担体が細胞内から細胞膜上に移動する(Trans Location)ため、グルコースの取り込みが促進され、血糖が下がるのである。これが、DM患者に対して運動療法が奨励される理由である。

 また、肥満が進行すると、脂肪細胞からインスリンの働きを阻害する物質が大量に分泌され、太れば太るほどインスリン受容体と糖輸送担体(GLUT4)が減ってしまう。しかし、過食が続くと血糖値は高いままなので、細胞が必要とするインスリン量はますます増加することになる(高インスリン血症(→))。当初はインスリンの分泌が促進されるが、最終的には膵臓が疲弊して、初期のインスリン量すら分泌できなくなり、最終的には持続的高血糖状態となってしまう。これが2型DMの一般的な発症機序である。

 このインスリン受容体にDNA配列異常がある場合には、インスリンが作用しないため、それが原因でDMになるケースもある。

参考: http://www.visera.com/main/tounyou02.html
http://www.asahi-net.or.jp/〜wa5h-mtmr/medical/report/hormone/hormone.htm
http://www.nutrchem.kais.kyoto-u.ac.jp/fushiki/Exerc&Carbohydrate/GlycogenRecovery.html