高インスリン血症
【こう・いんすりん・けっしょう】
(疾患名)



 インスリン抵抗性(→)が招く高血糖を抑えるため、インスリンが過剰に分泌されている状態を指す。

 インスリン抵抗性があると、食後30〜60分頃の血糖値は高くなるため、膵臓はインスリンを多量に分泌して血糖の上昇を抑えようとする(食後高インスリン血症)が、食後1時間半以降になると、今度は過剰なインスリンにより血糖値は急激に下がることになる。このような高血糖→高インスリン血症の状態が続いていると、インスリン抵抗性はさらに強まってしまい、インスリンが多量に分泌されても血糖値が下がらなくなる。こうした状態が続き、インスリンの過剰分泌によって膵β細胞が疲弊した結果、インスリン分泌機能がそのものが低下すると、2型DMとして固定してしまうのである。

 また、血液中にインスリンが多量に存在すると、腎臓でのナトリウム排泄機能が低下するので、これにより血管に水分が溜まり易くなり、高血圧が生じることが考えられる。さらに、高インスリン血症は交感神経を緊張させるので、これによっても血圧が上がる可能性がある。運動習慣のある例ではインスリンによりブドウ糖が積極的に筋肉に取り込まれるものの、運動不足例ではインスリンが脂肪細胞、特に内臓脂肪組織の脂肪細胞にブドウ糖や脂肪を取り込ませ、結果として肥満や内臓脂肪蓄積を惹き起こす。このように血中のインスリン濃度が高いと、インスリン抵抗性や動脈硬化に関連するアディポサイトカインや遊離脂肪酸の分泌につながり、さらに脂質代謝異常や尿酸代謝異常にも影響が及び、動脈硬化へと進展していくのではないかと考えられている。
参考: http://www2.oninet.ne.jp/awai/syokugo%20no%20kettou.htm
http://www.dm-net.co.jp/seminar/yougo/yougo.htm#k
http://www.yamanouchi.com/jp/shinyaku/pdf/442_25.pdf