楽焼
安土桃山期に渡来唐人阿米夜が創始したと伝えられる手づくねによる低下度の陶器。轆轤成形に比べ作家の資質や美意識をより直接的に作品に反映する。阿米夜の長男長次郎が千利休に認められ、その指導で侘び茶の茶碗を焼造、天正16年に聚楽第に出て茶碗を作り、聚楽焼と言われたのが楽焼の名の由来とも言われている。長次郎の赤茶碗は聚楽土の上に透明釉をかけて焼き上げたもので、土肌をあらわにした素朴な味わいがあり、その趣に利休の侘び茶の意識を窺うことができる。長次郎は豊臣秀吉から楽の金印を賜り、楽を姓とし、二代常慶より子孫は代々楽吉左衛門を名乗り、茶陶家として長次郎の作陶姿勢を受け継いでいる。歴代の作品には各時代の茶の湯の思想や好みが反映されている。

写真協力/楽美術館





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