パイちゃんのメッセージ

ぼくは、ねこ。

まっしろなペルシャネコ。

みんなは、ぼくのこと、パイってよぶ。

このうちの、パパが名付けた。

パパは、始めはぼくを飼うことに反対だったらしいけど

ママと、あっちゃんが勝手にぼくをこのうちにつれてきちゃったんだ。

まだすごく小さいあかちゃんだったぼくは、はっきりいって

かわいかったからパパはすぐにぼくを気にいったのさ。

 

今は、事情があって、空の上にいるんだ

 

ぼくは、とってもかわいかったから、へたに、人にこびたりしなかったのに

ちょっと、首をかしげるだけで、あっちゃんは、

「かわいいー」っていうんだ。

ごはんくれっていってるだけなのに、ママは、

「まあかわいいお声」っていうんだ

パパとつよしは、ちょっとひざの上にのってやると

「なんにも用事できない」なんていい口実にしたりするんだ

なにしろ、このうちの人間はぼくにメロメロなのさ。

 

だけどそんな家族ともそろそろ別れの時がやってきた

空から神様がよんでるんだ

ぼくが人間と暮らせるのは10年ってきまってたらしく

とうとうその日がきたって、ある日、神様に言われた

きっとぼくがいなくなったら

みんな淋しがる、、、

あっちゃんは、誰の手をぷにゅぷにゅするんだ?

そうだ、人間のあかちゃんをプレゼントしよう

10年もかわいがってくれたんだから

 

そして、たっくんは生まれた。

ぷにゅぷにゅしてる、あっちゃんは、あんのじょう、たっくんを

ぷにゅぷにゅしてる。

しめしめ。

もうぼくの役目もおわりさ

たっくんの成長は、今、空の上からちゃんと見てるよ

ほら、ベランダに出てみてごらん

あのかわいい星がぼくだよ

悪いことしたら、神様に言いつけるからね

 

きみはぼくみたいにかわいくないから

見た目じゃなく、いろんなことで、あっちゃんを満足させてあげてくれたまえ

それを、人間の言葉で、『おやこうこう』っていうんだ

その、『おやこうこう』をしっかりやるんだよ

 

かわいいぼくは、この星でももてもてさ。

かわいいって得だよね、、、、、

ざんねんだったね、たっくん。

でもきみには、きっと、すばらしい才能があるはずだから

それを信じてがんばるんだよ

じゃあね

 

      文:絵  巽 敦子