◆京都インターネット利用研究会2月例会報告



開催日時 : 平成14年2月1日(金) 14:00〜15:40    
開催場所 : 京都リサーチパーク サイエンスセンタービル AV会議室
「iモードの現状及び
             FOMAとアライアンス」

講師:(株)NTTドコモ iモード事業本部 iモードビジネス部 
コンテンツ担当部長    山口 義輝 氏




  iモードの現状

  本年1月29日現在で、iモードユーザー数は3,073万9,031契約ということになっています。提携企業、コンテンツ
 プロバイダーの数は1,995社で、サイト数にすると2,932サイトです。
  iモードユーザーが増えてくると、提携企業も増えコンテンツも充実し、コンテンツプロバイダーがそれを自分の
 ビジネスに役立てていくようになり、有料コンテンツで儲けるようにより良いコンテンツを出してくるので、また客が
 つくというポジティブスパイラルが起こっています。
  また、一般サイトは52,300ぐらいあり、サーチエンジンも20ぐらいあります。去年ぐらいまではiモードの純増は、
 1日当たりピーク時はだいたい10万契約くらいでした。昨今は、2万から4万契約という形で伸びています。
  次は、世界一のプロバイダーAOLの3,500万契約を目指しています。ドコモAOLをつくりましたが、3,500万契約を
 超すと、iモードはインターネットプロバイダーではありませんが世界一になりつつあるわけです。

  iモードのコンセプトは100g以内で、手のひらに入って携帯電話の形をしていて、携帯電話の延長線上でパケット
 通信ができる。
  その代わり当時の市場である3,000万台は取れるということでした。表示の豊かさに凝り固まって、2倍くらいのも
 のをつくっていたら、きっと売れていないと思います。携帯電話の形というのは非常に重要だと思います。
 
  iモードパケット量を見てみますと、スタート時より1人当たりの平均では1年半後には3倍に上がっています。初め
 はメールが主でしたが、機能も格段に上がり、この間に501シリーズから502シリーズへ、モノクロからカラーへとグ
 レードアップし、あとは着メロがダウンロードできるなどコンテンツの数も増えました。
  ウェブアクセスも9割ぐらいの方が1週間に1回ぐらいの割合で見ています。コンテンツが3,000サイト、その中で有
 料サイトは600ぐらいです。
  人気サイトは、着メロがやはり圧倒的で33%です。次にゲーム、占いが20%、データーベース系が5%、取引系が
 5%と続いています。着メロだけの市場で1,000万市場を超えている形になっています。1人平均延べで1件ですから
 3,075万契約で3,100万の有料登録件数があり、その内の3分の1以上が着メロに入っているわけです。1人当たりの
 通信単価はどんどん下がってきている代わりに、iモードが利用されパケット通信の1人当たりの単価が増えていって
 いるという状況です。

  先ほど申しましたが、3,075万契約で1人平均1件いくらの有料登録をしています。1件当たりの平均単価が200円く
 らいですから、月額にして総額60億くらいの市場になっています。さらに、コンテンツの有料市場というのは七百数十
 億円の市場になってきているという状況です。その内、ゲーム・エンタテイメント系がだいたい3分の1で230億円くらい
 の世界だということです。
  しかしながら、iモードでこれだけの市場があるから何か有料メニューをつくれば儲かるんだという考えを持つのは大
 きな間違いです。お客さんの目は肥えていますから、他のコンテンツより優位性を持たせたり、差別化を図るなど、もっ
 とクオリティを高くしないとなかなか客のハートをつかまえることはできません。市場のパイはこれだけあるけれども、ビ
 ジネスとして当り前のことをやっていては儲からない世界であるということです。

  JAVAアプリは503シリーズからできましたが、インターネットの考え方を取り入れています。当初ソフトサイズで10K
 でした。速度を念頭に置いた場合、その容量だけ手直ししても、たとえばこれを100Kにしても、そのまま固まった状態
 で10分ぐらい待っていないとダウンロードできないので、ユーザーの操作感を考えると10Kぐらいで十分です。
  また、スクラッチパッドとの組み合わせで幅の広いコンテンツができるという他に、通信でインターネット上のサーバ
 と接続して中身を変えることも可能です。それと誰でも利用できるオープンプラットホームにしたことです。現在、JAVA
 のiアプリ対応の携帯が1,124万台という、世界でも類をみない数字になっていますし、サイト数にしても、我々のもので
 235サイト、一般サイトでも5,000ぐらいあります。これはオープンプラットホームにした結果の現れであると考えています。



  FOMAの特徴


  FOMAにはカードの一部にICチップが埋め込まれており、この中にユーザー番号情報などが全部入っているわけです。
 このカードを持っていると、このカード対応の携帯電話なら、どの携帯電話、どのハードを選んでも、自分の電話として
 使えるのです。今は我々しかFOMAサービスをしておりませんが、同じワイド版のCDMAで規格が同じだと、J-フォンの
 携帯でも自分の端末として将来的には使えたりするのです。
  FOMAの付加価値の最たるものは、高速パケット通信であることです。下りが384KBPSで503iシリーズの36倍です。
 それとMPEG-4のレコーダーを積んでいますので、映像が見られることです。当然ホームページ、メールの容量も拡大
 していますし、JAVAは30K以上になっています。また話しながらiモードができる機能になっています。それと海外でも
 ワイドバンドのCDMA方式を展開していければ、利用が可能になるということです。


  次にiモーションですが、これはどういうものかというと映像のコンテンツです。今回のiモードサービスのパターンとして
 は、3パターンあります。1つは動画プラス音声、もう1つは静止画コマ送りプラス音声、あと1つは音声のみというサービ
 スになっています。 映像プラス音声は、だいたい100Kで10秒から15秒程度のコンテンツということで、本当にポイント
 のコンテンツになっています。字面のコンテンツで満足していただける方はそれで十分だと思います。プラス付加価値
 として、映像が見たいという人は、映像ボタンを押すとiモーションが見られます。つまり、プアな映像部分を文字部分で
 補ってもらおうというのが主旨になるわけです。
  静止画コマ送りはパラパラ動く紙芝居方式です。これだと40秒ぐらいコンテンツが見られるます。
  最後に音声のみのパターンですが、これは100秒ぐらいの音声が聞けるというものです。



   FOMAの今後

  FOMAサービスは大都市圏から東名阪へとスタートさせていただいています。 今年の4月には、全国9大都市へとエ
 リアを拡大します。まだエリアが狭い上、FOMAを携帯だと思っている方は買われません。FOMAはPDAとパソコンと携帯
 の中間点だと思っている方は、2台目の端末としてFOMAをお買い上げいただけると思います。ただし、人口カバー率が
 97%になったときはもう少し前倒しになっていくと思います。


  今後の展開は、外部インターフェースとの連動も充実していこうと考えています。これは今後の端末開発に対するヒン
 トで、いろいろなところと、いろいろなプラットフォームで連携ができてくると思います。
  たとえば、赤外線インターフェースをiアプリのプログラムによって変えていくもので、この携帯端末がテレビのリモコン
 になったり、もしくは定期券になったりするものだと思ってください。
  アライアンス関係ですと、まずカーナビゲーションです。iモード仕様というと、iモードの画面がカーナビで見られたりと
 か、メールがカーナビで確認できたりするわけです。プレイステーションでは、家でゲーム、外でiモードという連携ができ
 ているわけです。もちろんテレビに繋げることによって、iモードの画面がテレビで確認できて、自宅のテレビでモバイル
 バンキングもできたりします。 


  国際展開も考えております。現在のところ、ドイツ、ウクライナ、ベルギー、ハンガリー、オランダという携帯電話キャリ
 アの持ち株会社に出資をしており、ヨーロッパではだいたい春ぐらいからiモードのようなサービスをスタートしようと考え
 ています。
  それと次に流行りそうなものが台湾の会社です。こちらも夏ぐらいには同様なサービスを始めていこうと考えています。
 HTMLをベースにしたような、日本とほとんど似たようなサービスです。それと少し遅れて、北米と順次拡大していこうと
 思っています。


  先述したように、より便利により使いやすく、あとはワールドワイドにというところをポイントに置いて、今後もドコモの
 iモードを戦略的に進めていこうと思っております。