◆京都インターネット利用研究会8月例会報告

開催日時 : 平成13年8月24日(金) 14:00〜15:30    
開催場所 : マリアージュ(アバンティ8F)    
インターネットビジネス最前線
講師;富士通株式会社 ビジネス推進室担当課長 
    田渕 正 氏



1. インターネットがビジネスを変える

   今ネットで成功されている方は、リアルのノウハウを持ちながらそれをネットの中に反映させて成功しています。
  マーケットプレースやインターネットショップではネットワークの物理的な限定がなくなり、商圏が日本全国、世界
  までも広がっています。
   また、ネットワークによる利益配分はWin−Winの関係にあると言われています。消費者がワインを買いたい時、
  いろんな国のメーカや品揃えやどれが美味しいかなどのコンサルティングがあって、中間の人の存在があります。
  Win−Winの関係はそれぞれの提供する人の付加価値が合わされば高くなり、付加価値を減少したらその分安く
  買える関係になります。

   また、ネットこそOne To Oneマーケティングが重要かと思います。
   昔からOne To Oneは日本の中でも行われていました。
   昔の魚屋さんでは「近所のお客さんの子供の誕生日」を覚えていて、その一家は鯛が好きだと知っていて「いい
  鯛が入った」と売り込むことができます。
   お客様一人一人の情報を人型で持っているのですから、これをコンピュータ化すればCRMという壮大なデータ
  ベースにすることもできます。

2. インターネットビジネス事例紹介

  (1)EDIの利用例

  [東京文工連の場合]
   商品情報や各メーカ毎の問い合わせ・請求は電話やファックスで行っており、100社から100商品のやり取り
  (1万通り)の作業が発生し、これをいかにタイムリーに早く伝えるかを、インターネットの仕組を利用して実現
  しました。
   商品チラシを作りたい小売さんからの問い合わせには商品情報をデータベースとして持ち、ほしい時にインター
  ネットでアクセスしてもらい商品情報を取り出す。今までなら1日も要していた事が瞬時にできるようになりました。
  文具の小売さんでは自前でコンピュータを持つことは難しくても、アウトソーシングやASPを利用することで、1社
  10万円程度でシステムを実現できました。

  [赤ちゃん本舗の場合]
   在庫切れの問題と取引先との間の電話・FAXによる曖昧な情報伝達方法を、インターネットとEDIを使って解決
  しました。
   パソコンやネットワークを持たない取引先がありましたが、これを無視してシステム化すると営業の効率化が
  図れないため、両者が満足するシステム作りで成功しました。

  [製造メーカートパックの場合]
   インターネットを用いて製造部品の注文を直接取引先から行わせることで社内の省力化を図り、リードタイムの
  短縮、無在庫を実現しています。

  (2)B2Cの事例

  [紅光の場合]
   こだわりの商品(トマト1個300円、水と肥料を切った特に甘いトマト栽培)をネット上で販売、 最初は売れな
  かったが、一人(マーケットメーカー)がネット上で取り上げたことから口コミで広がりお客さんの問い合わせも増え、
  それに丁寧に答えることで売り上げが増えるようになりました。
   そこにしかない商品、お客様を大事にする人間系が成功の秘訣となったのです。

  (3)新しいサービス例

  [見守りホットラインの場合]
   電気ポットと携帯電話を組み合わせ、離れたところに暮らすお年寄りを何気なく見守るシステムです。Iポットを
  使うと信号がNTTドコモのパケット通信サービスを通じてセンターに送信、30分毎に更新され、契約者のホーム
  ページで見ることができます。
   また1日2回E-メールでも送信されることで、Iポットの電源を入れた、お湯を使った等の使用状況がE-メールで
  分かります。またホームページではグラフで生活のリズムを伺うこともでき異常の発見をすることができます。


   ITは単に効率化の道具であり、そこから新しいサービスを生み出していかないと、新しい雇用も生まれてきま
  せん。
   コンテンツが重要な時代になってきたのです。