京都インターネット利用研究会11月例会報告

 

1.日時 : >平成11年11月22 日(月)14:00〜16:00(開場 13:30)
2.場所 : 京都産業情報センター
3.内容 : セミナー
iモードのビジネスへの活用
     講師:NEC モバイルコミュンケーション事業部 小野 浩嗣氏

携帯電話の市場動向  

 今では誰もが持っている、という感のある携帯電話ですが、具体的にどれくらい
増えているかといいますと、99年10月末の時点で携帯電話やPHSの加入者は、
1人1台だとすると41.5%にものぼります。

 そのうち、携帯電話の販売台数は4693万台。9割ぐらいを占めています。ここ数
年はずっと上り調子です。現在、家庭の電話が6000万台。これを越えるかどうかが
今後、注目されています。
 PHSは、いったん人気が下がったのですが、高速のデータ通信ができる、大容量
のコンテンツを取るにはこちらの方が適しているという理由もあって、依然、数的に
は推移していくと見られています。

 さらに、2001年にINT2000という、世界標準規格対応の高速の電話機が普及する
ので現在のPHS並、それ以上の高速のものが世に出現してきます。これに対してモ
バイルコンピューティングを使っている比率はどう変わってきているかといいますと、
2001年には全体で大体20%〜30%程度まで増加傾向する予想がされています。現
在は23%くらいですが、今後徐々に増加する傾向にあります。

 携帯電話の中でも、モバイルコンピューティングの利用は、現在25%ですが、これ
が2001年には30%に増えると予想されています。モバイルマルチメディアと呼ばれる、
携帯できる情報端末の販売台数は現在、180万台。そのなかで、携帯電話やPHSを
使ってモバイルコンピューティングを行う利用者数は全体の35%。これが2001年には
全体の80%まで増加します。従って、携帯電話の端末が今後増えていくということだ
けではなくて、モバイルコンピューティング、モバイルマルチメディアの利用数も増えて
いくと考えられます。

 この携帯電話のユーザーをいかにビジネスに結び付けるかがこれからの課題です。
パソコンでできるものだけを装備するのではなく、携帯電話でいかにビジネスを切り開
くか、いかにユーザーにコンタクトするかというところに、ビジネスのキーポイントがある
といえます。


Iモードとは


 CMなどでもおなじみのIモードとは、今まで携帯電話とノートパソコンをケーブルでつ
ないでやっていたことを、端末(電話機)ひとつで、ある程度のことをできるように開発さ
れました。パソコンを買わなくても、このIモード付きの携帯電話で、メールを送信したり、
受信したりすることが可能になります。

 Iモード付き携帯電話には【電話番号@nttdokomo.ne.jp】といったメールアドレスが1台
にひとつ付いています。パソコンの場合、メールが届いているかどうかをチェックするのに、
電源を入れて、5秒、10秒かかりますが、Iモードの場合は、着信通知や着信音で知らせ
てくれるので、受信者が電波の届く範囲内にいれば、送信された直後に見ることができ
ます。

 パソコンの場合は、いつもインターネットにつなげているわけではないので、メールを
送ったら「今メールを送りましたよ」なんて電話がかかって来なければすぐには見られま
せん。しかし、Iモードはパケット通信といって、電話機の回線が仮想的につながっている
ので、メールが来たらすぐにわかります。これは、メールを受信したり、ホームページを見
た時にだけお金がかかるという方式で非常に安価なものです。今後、パケット通信はイ
ンターネットにより近づいていくでしょう。


Iモードビジネスの可能性

 Iモードの着信通知を自動的に受けられる、ということと、音声アクセスの組み合わせに
よって、双方の対応も色々できるのではないでしょうか。パソコンを置かなくても、携帯電
話1つあれば、充分にインターネットに対応できます。外出が多いユーザーでもすぐにネット
にアクセスできるのです。

 これをビジネスに活かすには、「買い手」と「売り手」をいかにタイムリーに連携させるかが
ポイントになるでしょう。現在のインターネットでは、ネット上のサーバにあげて、買い手は
「これを買いたい」と発信する。売り手は、ホームページを一生懸命検索して、この企業の要
求には答えられるというのを探さなければならない。

 売り手にしてみれば、どのホームページを見ていいのかわからない。「こんなものがありま
すよ」と言った方が楽なのですが、買い手に見てもらえなければ、商売につながらない。買
い手にとっても、検索するのに時間がかかる。それをタイムリーにリンクさせて、お互いに持っ
ている物を有効に交換し合うことが、ビジネスのチャンスになります。゜

 PHSで「いまどこサービス」というものがあります。携帯電話の端末(営業マン)がどこにあ
るかというのを通知できるものなのですが、このような位置情報によるサービス、今いる地域
のガイドや、歩きながら見られることを利用したサービスをもっと作っていけば、ビジネスチャン
スは大いにあるのではないでしょうか。