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タイトル 繁盛するお店への必勝策!!
講 師 日本フランチャイズサービス(株) 代表取締役
中小企業診断士 高橋一氏
●プロフィール
大阪経済大学卒業後、(株)ワールドに入社。商品管理、情報システム、物流、新規開発事業等に17年間携わり退社、独立。飲食業、物販業、企画・広告宣伝業に従事しつつ、現在、経営コンサルタントとして活躍。
大型店やコンビニも生き残りをかける時代
「品揃え・店舗・販促・サービス」を変えるしかない

 商業を取り巻く環境は、たいへん厳しく、まさにイス取りゲームと同じで、市場が縮小傾向にあるのです。
 そんな社会状況の中で小売店の方が今後商売をやっていく活路、手法はそう多くは残っていないのです。それではどんな活路、手法が残っているのでしょう? 商売は立地8割といわれています、この理屈でいけば立地を変えたいところですが…これにはかなりの困難が伴います。それではこれ以外にといいますと、「品揃えを変える」「店舗を変える」「販促を変える」「サービスを変える」―この4つしか残っていないんです。あえてもう1つ言うと「他の人と連携する」。連携には同業者とやる場合と他業種とやる場合があります。例えば化粧品店と美容院の連携があります。この4つプラス1つをどう組み合わせ、変革していくかということになります。
 3年前にホームセンターの調査をさせていただいたのですが、そこで分かったことは、小売商業者の方はスーパー進出には非常に危機感を持たれ各地で盛んに反対運動がありましたが、ホームセンター進出にはあまり競合認識がなかったんですね。結果、漁夫の利を得る形でホームセンターは加速度的に出店することができ、消費者の支持も得て堅調な売り上げの増加を示しました。
 しかしながら、ここ1〜2年はホームセンターそのものも競争激化の一途をたどり、いまや吸収合併で再編がすすみ、300〜500坪程度の店は吸収される運命になってきました。これからも一層寡占化がすすむといわれています。
 一方、コンビニは発生当時、商圏が500メートルといわれましたが、最近は150〜200メートルぐらいの間隔でどんどん出店しています。駐車場付きが当たり前になり、ミニスーパー化しています。24時間営業は当たり前、従来の全国統一マニュアルでの1つのパターンだけでなく、女性の好む色遣い、陳列棚を低くして威圧感をなくし、入りやすさを意識した、女性をターゲットにしたコンビニまで出現しています。何故こんな話をしているかというとコンビニやホームセンターの本部といえども、それくらい生き残りをかけて研究しているんです。
 他方、小売商業者の方は、研究したり勉強したりはほとんどしてらっしゃらないのが実情だと思うんですが…たとえば例に上げましたホームセンターにしても、周辺の小売商業者の方は、ホームセンターは大工道具を売る店という認識しかなかったようなんです。最近ようやくホームセンターこそ周辺小売業に対する影響が大きいと分かってきたようです。


元気な他店に学べ!

 「"もう"はまだなり、"まだ"はもうなり」と子供の時に母親から商売の鉄則を教えられました。商売で「もうあかん」と口にする人はまだいける人。諸条件から考えて、なかなか打つ手がないことを自分で理解しているからこそ、「もうあかん」と言いながら、必死にまだ何かしようと考えているんです。他方「まだいける、まだ大丈夫や」と言う人がいますが、こういった人は大概もうだめな状態です。人は「まだいける」と思った瞬間に希望的観測だけにとらわれて努力することをやめるからなんです。
 このことを目の当たりにするのは、商業集積活性化として京都市内でも20〜30軒の小売商で構成された市場が1つのスーパーを形成した時期がありました。今はほとんどが存続の危機に立っています。個別面談をさせていただくと総体的に高齢の方の多くは、「店をあとどれぐらいされますか?」の問いに「まだまだいけますわ」と言われます。しかしながら実情は半ば閉店状態なんです。営業利益はずっと赤字、余生を過ごせれば良いと考えておられるんですね。新しい商品を開発することもなく、ただ店を開けているだけ。そういう方は危機感もなく、個店の集合が立地を形成し顧客を呼んでいることすらわかろうとせず、他店が何をしていようと全く調べていません。それでは品揃え、店舗、販促、サービスの4つが成長するはずがないだけでなく、他の健全な商業者までも巻き添えにしてしまいます。多くは望みませんが、もう少し勉強していただきたいですね。
 勉強と聞くと拒絶反応を示しますが、この勉強は生きるための勉強なんです。その中でも特に勉強してほしいのはマーケティングの知識です。かつて1億円売った店が今は3000万円しか売っていないということは、過去には何らかの形でお客さんだった人が他店へ行ってしまった、つまり競争に負けたわけです。でも以前顧客であった人々は今も呼び戻せる可能性のある潜在顧客なんです。マーケティングを定義する言葉はたくさんありますが、簡単に言えば潜在顧客を固定客に変えてしまう諸方策がマーケティングと理解すればいいのです。その実践として品揃え、店舗、サービス、販促活動があります。
 ではどうやって変えるかですが、まず他店を見てほしい。口では「あきまへんなぁ」と言っている人に限って、人の目に触れないところで真剣勝負をしてるんです。この真剣勝負が如実に現れているところが店頭なんです。何とかお客さんを取りたいから、店頭にはごまかしがありませんよね。その真剣勝負のやり方を他店の店頭から学ぶんです。
 『ウォルマート』というスーパーの社長は自分の店にいるより、他の店で買い物していたといわれます。
 良い方法を吸収するのに手っ取り早い方法は、元気な他店に学ぶことです。いろいろな店の「良いとこ取り」をしようとすると、結果としてはほとんど失敗します。飲食店などは特にそうです。店構えはどこ、接客サービスはどこ、味はどこということを繰り返していくと、結果としては、何の変哲もない店ができることになります。今繁盛しているお店の多くは、他店から繁盛のヒントを得ている店なんです。

適正規模を認識せよ

 「小売りの輪」という理論があります。この理論はまさしくスーパーの栄枯盛衰を表している理論なんです。ある商人が道にゴザを敷いて八百屋を始め、良い野菜を安く提供したら評判を呼んで店が徐々に大きくなった。大きくなると空調、電気など店舗の設備投資が必要になり、従業員も多くなる、そうすると野菜だけでなく他の商品も扱ったり、従業員の福利厚生投資も大きくなります。急激に大きくなりすぎると必ず自分がスタートした時のようなゴザ一枚、トラック一台での商売に負けるんです。そしてまた、別のトラック一台で始めた人がどんどん大きくなるというのが「小売りの輪」の理論です。大きな商売には大きな投資が必要で従業員の給料も高く、トラック一台で鮮度のよい商品を売っている人に勝てません。
 最近不振のスーパー業界がまさにこの例になります。ここに中小商店の活路があるように思いますし、大型店との競合もそう悲観するものでもないと思います。いま既に大きな商売をされている方に、小さな店に変わりなさいとか原点に戻りなさいと言っても、見栄も含めてさまざまな困難があって無理なことになります。
 結局、店や事業は拡大するより縮小するほうがはるかに難しいのです。難しいのに理屈だけ言って申し訳ないんですが、商売には「適正規模」があって、これの追求が商売の基本になります。それじゃ適正規模とはどういうことか?ということになりますが、最大利益規模、つまり利益が一番大きくなる規模が商売の一番適正な規模なんです。ビジネスは大きければいいというものではありません。アパレル業界では従業員1人当たり1億円売ってる時が一番儲かる規模だといわれています。その商売、商売に適正規模があるはずで、それは利益が一番大きい時の規模だということをくれぐれも頭においてください。
 一般的には利益が最も大きくなるのは売り上げが下がり気味の時です。たいして努力しなくても利益が下がらない。経費削減の効果があったと錯覚するんです。この時に商売に対する考え方が安易になり、失敗の芽が出ます。私もそうでした。飲食店の場合、一度ピークになるとそんなに努力しなくてもお客さんがどんどん来る時期があります。経費削減し、材料費も落としているので利益は高いんです。この時に勉強する意識があればよかったんですが、ピークは3年くらい続いたものの、落ちた時に上げるすべがなくなっていたというのが実情です。

厳しい状況でもビジネスチャンスは必ずある

 以前は営業形態を変えて9時から5時までの営業時間を24時間営業にしたり、セルフサービスを対面販売に変えたり…等々、業態開発をするのが経営指導の仕事だといわれていました。
 ところが3年前から不況業種には業種転換を指導するようになりました。不況業種ではたとえ24時間営業に変えてもほとんど効果はありません。それなら業種を変えるような指導をしたり、廃業を指導しなさいとなったんです。公的支援も従来は商売に前向きな資金はいくらでも貸してくれたはずですが、今では、業種転換や付加価値の増大を意図した事業計画でないと受けられなくなりました。
 業態転換の成功例として、あるフランチャイズ本部の戦略を紹介しておきます。この本部は酒販店をターゲットに加盟店を広げているんですが、ここの経営指導には特徴があります。
 通常、小売業は「待ちの商売」なんですが、この本部は加盟店に「お客さんに来い来いというのは間違いで、常にお客さんに近づいて行け」と教えています。店主がカタログを持って一軒一軒、無差別に商圏内の全家庭を訪問します。「店主が行くと熱意が伝わるから店主が行け」と教えています。その商圏は2500世帯を1単位とし、徹底的に小商圏を深く掘り下げ、その商圏内を毎日くまなく回れと指導し、香典返しや結婚祝いなどの注文をとる指導をしています。売り上げは夫婦2人で5000〜6000万円です。これを適正規模と考えているんです。夫婦が自分の店で、そのくらいの売り上げで粗利25%あげれば、十分だというモデルケースをつくって全国展開しています。

気前の良さで感動を演出すること、
ヒントは他店にあり

 かつてはCS(カスタマー・サティスファクション)といわれましたが、今はCD(カスタマー・ディライト)。「お客さんが満足するのは当たり前、感動して帰ってもらおう」というのが商売の常識になりつつあります。感動させるにはいろんな方法があると思うのですが、それは店主の気前の良さの演出です。本当に気前が良過ぎたらだめなんです、儲かりませんから…。あくまでも演出です。
 人気ラーメン店の調査をさせていただいたことがあります。飲食業はおいしいものを出せば流行る、良い立地にあれば流行るといいますが、全く関係ないことがわかりました。麺やスープはほとんど人気と関係なかったんです。繁盛店の特徴は、まず、思い出す味。その時は刺激が強くても、何日か経つとまた食べたいというのがありますね。2番目は一部食材、例えば昼定食のご飯の食べ放題。3番目はトッピングや調味料などが自由。店主の気前の良さをどこで演出するかですね。食べ放題のものが1つあると、この店は気前がいいなと思います。思い出す味はカスタマー・ディライトです。要は演出することなんです。
 そうした演出のヒントを近隣の他店から盗むわけです。競合店で買い物するのは鉄則です。それから他店のチラシを見る。チラシ一部に12〜13円かかるので1万部入れると12〜13万円投下してるんですね。そう思うと無駄なものはつくってないはずです。出来、不出来は別問題として、一生懸命考えられたチラシだと思うんです。そのチラシを持って、実際に商品があるかないか見ることを1回でもされたほうがいいと思います。行ったら当然メモを取る。テープに価格を吹き込んで帰る人もいます。こういったことを実際にやっている経営者は結構増えてきています。

来店の動機・手段・機会を意図的につくれ
 
 来店の動機や手段も考えてください。車なのか自転車なのか、徒歩なのか。そして来店の機会。どんな時にこの人が来たのか。他店を見る時に、この3つを考えておけばまず間違いがありません。店に行くには何か動機があるからです。
 来店の手段、車なら駐車場があり、広いとか、来店の機会というのはDMを送っているとか、何かイベントをしてるとか、これらをまず他店でチェックします。これを自店に置き換えてほしいんです。そして来店の動機・手段・機会は意図的につくらないとだめなんです。来店者に仕掛けが見えたらだめですが、仕掛けていてもそれ以上にメリットがあればいいんです。よくあるパターンやなと思いながら、やっぱり来て良かったと思えるようなものがあればいいんです。来店の動機と手段と機会の3つを十分理解しながらチェックすれば、他店の販促も勉強のネタになると思います。
 ただし、その店が本当に自分の競争相手かどうか判断が難しいんです。ある商店街の店主が「あの店に客の大半を取られてる」と言われて調べてみますと、何の関係もなかったんです。自分の競争相手、競合店がわかってないんですね。まずそれを知ってから視察する。そのためには自分の店が何を売り物にしてるかを把握することです。5000〜6000円の価格でセーターを売る店が4万円の商品を売る店を見に行っても無駄ないんです。自分の店がどんな商売をしてるか再認識することが重要です。

商圏を把握し、標的顧客に積極的にアプローチ

 店主に多いのは、商圏把握をされていない方。「商圏はどの辺りまでですか」と京都の人に聞くと「うちは姫路から大津までと広いんですよ」と言う人がありますが、それはたまたま大津や姫路の人が来ただけ。通常は商売の力の及ぶ範囲を商圏と呼ぶんです。商圏把握をしてないのに広告宣伝、販促、品揃え等々 どんな方法を講じても無駄・無益となります。自店の商圏把握は一番大事です。これを戦争用語で「攻勢終末点」といいます。簡単に言いますと、これ以上攻めてはいけないポイントのことなんです。
 自店の商売の範囲はどれくらいか。普通、コンビニは500メートル。そうすると、うちは車で10分、歩いて5分などということがわかってくると思うんです。商売の対象はこの範囲の中のお客さんだけです。これを「標的顧客」と呼びます。そして、ターゲットとするお客さんを調べることが重要なんです。商圏の全体把握をして、そこにどんな人が住み、どんな時に自分の店にどんな動機でやって来るかを考えていけば、おのずと商売の向かうべき方向が見えてくると思います。
 それで可能性がなければ、商売を変えられたほうがいいでしょう。変える手段がわからない時は商圏を見直して自分の転身の方向を考える、これを「経営戦略」と呼んでいます。自店の地域、商圏の及ぶ範囲だけを対象に研究することです。
 販売促進の対象も標的顧客だけ。自分の店は高齢の単身者を対象にしたこんな商品を売っていこうとか、具体的にイメージをつくってから何らかのアプローチをするしかありません。皆に来てほしいというのはちょっと無理なご時世になりました。標的顧客を定め、その人と徹底的に人間関係をつくっていく。商売の原点に戻る、これしかありません。

24時間営業で立地関係なし
インターネットで新たな活路を!

 次に強調しておきたいのがI Tの活用です。商売は立地8割といわれ、地方立地で需要がないと商売が成り立たないといわれますが、インターネットで立地の差がなくなりました。基準としてひと月の売り上げが300万円あったら、インターネット以外の商売はやめなさいと言う人もいます。
 67歳の女性と45歳の娘さんの2人で、インターネットで年間8000万円売っているところがあります。ギフト商品を売っているのですが、「こんな文面で書いてくれ」と受注があると、書道の先生であるお母さんが肉筆で書いて奇麗に包装する。普通の商品に付加価値をつけたこと、たったこれだけのことが評判を呼んで粗利2000〜3000万円を確保しているんです。こうしてみるとインターネット商売といえどもちょっとした心遣いとか、口コミとかが有効であることを考えると商売の基本は同じなんです。ホームページは、業者に依頼すれば簡単なもので約15万円、学生を使えば5万円程でもつくってくれます。新たな商売をする時に5万円の投資でできる商売なんてないですよね。24時間営業で仕入れが新たに発生することもまずない。そう考えればインターネットはいい商売です。
 ご高齢の方にもアイデア次第で活路はあるということなんです。

 今は、夫婦が生む子供の数が1.3人以下といわれています。ほとんど若い世代がいない時代になってきました。塾の経営者、飲食店、子供服店など、子供が少なくなると、そういった市場そのものが冷えてくるというのは避けられない結果になります。高齢化も目に見えています。つまり、少子高齢時代を前提にものを考えたほうが良いということなんです。
 また、今後は販促の位置づけがますます高くなるでしょう。なぜかというと、商品に差がなくなる時代が来るからです。販売促進とは「ものを売るための後押しする力」。お客さんに来てもらうための仕掛けづくりを真剣に考えてください。
 どんな商売が良いかと考える時には今の商売の延長線上、自分の強みを生かせる商売しかないんです。自分の商売の弱点を補強しようとか、不足している部分を補おうという考え方でなく、自分が絶対的に強みを持つものを生かすことを真剣に考えていただきたい。 それが、これからのゼロサム時代に勝ち残っていく方法なんです。
(平成12年6月13日講演より)
講 師

日本フランチャイズサービス(株) 代表取締役
中小企業診断士 高橋一氏

電 話
 06-6356-8868
FAX
 06-6242-4404
e-mail  takahashi@jfs-net.com
ホームページ  http://www.jfs-net.com/

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