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| タイトル | お客様を動かす一通のDM 〜DMがつくるお店のファン、事業所のファン〜 |
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株式会社クイックSPセンター 代表取締役 中道 隆之氏 |
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●プロフィール 顧客満足向上システム構築など大手メーカー、中堅販社などで数多くの販促キャンペーン、イベントを立案実施。 近畿(北陸)郵政研修所の特別講師をはじめ、商工会議所等で数多くの講演実績がある。 E-mail nakamiti@sp-center.co.jp |
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信者客(ファン)をいかにつくり出すかが、お店や企業を成長させるポイント DMの使い道は大きく分けて二つあります。ひとつはDMを打つことで新しい顧客をつくろうという、新規開拓用のDM。もう一つは、みなさんのお店や事業所の既存のお客様に、より永続的に、さらにファンになっていただこうという目的を持つDM。この目的の違いによってDM制作のあり方、コンセプトメイクなどは微妙に異なってくるのですが、今回は二つめの顧客の維持拡大をメインに話を進めていこうと思います。 というのも、いま事業所やお店を取り巻くマーケットの環境は、流通機構やテクノロジーの発展にともなって、商品とかサービスを提供するお店やメーカーの違いが、消費者にとって非常にわかりにくくなっているという現状があります。Aという店で買える商品は、Bという同業店に行けば同じように手に入る。商品一つとっても、機能とか品質面で大差がない。消費者にしてみれば、「この店で買うんだ」という確固たる理由が存在しづらい時代なんです。 そのために、たまたま近かったから、たまたま安いチラシが入っていたから、昔から何となくここで買っているから、といった曖昧な理由で購買行動を起こすようになってきています。このような偶然性に左右される購買行動は、はっきりした理由もなしに突然お客様が来なくなるという危険性も一方ではらんでいるといえます。事実、いろいろなお店で、何となくお客様が少なくなってきた。でもその理由がよくわからない、という事態があちこちで出現しているわけです。 これでは対策の施しようがない。何しろ原因がはっきりしないわけですから…。そこで消費不況といわれる現在、安定した売り上げを上げている事業所やお店を分析すると、共通しているのは、いったん関係ができたお客様を確実に取り込み、ファンにしているという実態です。「この店でしか買わない」「このメーカーのものしか使わない」というお客様を信者客(ファン)といいますが、この信者客をいかにつくり出すかということが、いま市場環境の分析も含めてきわめて重要な課題となっているわけです。DMの制作方法や効果をうんぬんする前に、まずこのことを基本認識として持っていただきたいと思います。 ファンづくりのキーワードは“特別な存在としての扱い” 1. 優良顧客の価値とは 「売り上げの8割は上位2割のお客様が占める」。これはパレットという経済学者の分析です。簡単にいえば、お店に「貢献してくれる」お客様は少数だということですね。例えば、みなさんのお店全体で10人のお客様があったとします。この分析をあてはめると、2人で8割、残りの8人で2割の売り上げを上げるわけですから、1人当りのシェアは40%対2.5%。つまり、上得意のお客様というのは、一般的なお客様に比べると16倍の価値があるということです。 もう一つ、上得意のお客様ほど、バーゲン品よりも定番品をコンスタントに購入するという傾向があります。ある流通業者では、上位2割のお客様の粗利率が24.4%に対して、下位2割のお客様の粗利率は15.0%。利益率に10%もの開きがあるという結果を出されています。さらに、信者客は紹介客を連れてきます。「あそこの商品はいいよ」とか、「あそこの料理はおいしかったよ」とか、人はいい経験をするとだいたい3〜4人に話をするといわれています。 このように信者客(上得意客)は、経済効率の極めて高いお客様であるということを経営の中でキチンと位置づけておかなければならないのです。 2.事業の「核」を充実させる じゃあ、どうやってこのようなファンをつくるんだという話になります。当たり前のことですが、まず第一にビジネスの核がしっかり充実しているのが基本。一般にビジネスの核となる部分は次の3つだといわれています。 1.商品価値が高い 2.経済性価値が高い 3.便利性価値が高い 商品価値が高いというのは、小売店でいえば、品揃えが豊富であるとか、鮮度が非常に高いとか、あるいは常に一歩先を行った商品があるとかといったことですね。おすし屋さんであれば「美味しい」ということ。クリーニング屋さんであれば「仕上がりがキレイ」ということ。しかし、品揃えは豊富だが値段はめちゃくちゃ高い、こういう店にはお客様は来ません。2番目の経済性価値とは、商品にあった納得できる価格体系・値づけが必要だということです。3番目の便利性価値は、来店しやすい立地条件とか、陳列に工夫があってわかりやすいといったこと。 この3つのビジネスの核となっている部分は、あくまでもお客様の満足を高めるためのベースにすぎません。より高い満足を与えてお客様を固定化していこうとすれば、これにプラス、サービス価値の充実が必要になってきます。 わかりやすく言うと、先ほど述べたように、ある商店街にAとBの2軒のおすし屋さんがあったとします。どちらもネタは新鮮で味も甲乙つけがたい。値段も同じくらいだとする。A店ではご主人の愛想が非常に良い。一度行っただけなのに、名前を覚えてくれていた。「わさびを多めに」と頼んだことも覚えていて、黙っていてもそのようににぎってくれる。一方のB店では、ご主人の愛想が良くない。同じ2回目の来店でも、初めて接するようなよそよそしさがある。さあ、あなたならどちらの店の常連になりそうですか。つまり、これがサービスが持つ価値なんですね。 楽しさを提供し、いい気分でもてなし、そしてもっとも大事なことは、「特別な存在として扱う」ということなんです。「自分のことをあそこの店はよく知ってくれている」、「特別な配慮をしてくれている」、「私は一見(いちげん)の客と違う」と、いかに思い込ませるかが重要です。そのためには一般的な顧客から、個客(個人としての客)としてのお客様をつくり上げる努力がなされないと、このサービス価値は高まっていかず、ファンはできないのです。 そしてそのためには、お客様のデータ、個人履歴がどう蓄積されているかということが重要になります。これはDMを考える上でも非常に大事なことなのです。 徹底したDM戦略で驚異的な来店率を実現した事例 先日読んだ『日経ビジネス』にこんな記事が載っていました。それは、競合がひしめく有楽町・銀座界隈で、しかも百貨店不況といわれるなかで、3年連続増収という、百貨店業界にとって非常に高い伸び率を記録したS百貨店の事例です。 この百貨店にはクラブオンというポイントカードがあります。このカードを提示して買い物をすれば、買い物金額1000円以上で2%のポイントがつき、1000ポイントたまると1000円のお買い物券が進呈されます。ここまでは通常のポイントカードですが、同時に、○○さんが△月△日にどこの売り場で□□の品物をいくらで買ったという購買履歴がインプットされるのです。多くのお店でこのようなシステムが導入されているのですが、問題はこのあとなんです。 30代の若さでこのお店をまかされたT店長は、この履歴をキチンと分析し、「購買者のプロフィール」を探っていたのです。すると、20〜30代の女性で年間50回以上この店で買っているというお客様、さらに100万円以上の買い物をしている女性がぞろぞろ出てきました。この事実にみんなビックリしたわけです。というのも、百貨店では通常、外商の対象となる資産家が上得意だと考えられていました。しかし、実際はいままで名前も知らなかったような一般のお客様が何度も、しかもかなりのお買い物をしていただいていることがわかったからです。 そこで、こういったお客様に対してきめ細かなサービスを実施して、満足度を高めていこうという戦略を立てました。つまり、よりたくさんのお客様を獲得していこうという戦略から、より多くの信者客(ファン)を獲得、育成していこうという戦略に転換したんです。具体的にどうしたか。週1回やっていた販促戦略の柱となっていたチラシをやめた。改装オープン時以外に新聞の広告をストップした。そして、徹底したDM戦略に広告の比重を移していきました。 しかも、このDM戦略というのが中途半端なものではない。例えば、春物衣料のDMを打つ場合、いままでは品物が並び出す2月に何も考えずにいっせいにDMを打っていました。ところが、カードを分析してそれぞれの購買履歴を見ていくと、品物が並び出す2月に買う人もいれば、実際に着はじめる4月に買う人もいるということがわかった。そこで、そういったそれぞれのお客様の購買行動のタイミングに合わせてDMを打つ、あるいは一つのセールに対してなんと50種類あまりのメッセージの違うDMをつくるという面倒なことをやったわけです。 そこで、どうなったかというと、従来DMを打った場合の来店率がだいたい3〜7%(これは標準的な数字です)に対して、こういう形でDMを打ち出してからの来店率はなんと18〜20%。つまり、DMを打ったお客様の10人に2人が来店するという、驚異的な数字をはじき出したんです。 誤解しないでいただきたいのは、私はチラシを否定しているんじゃないんです。チラシは新規顧客を開拓するのにいい媒体です。大事なことは、チラシを見て来てくださった新規のお客様をより満足させ、さらにファンにして、再度来てもらえるような仕掛けや分析をキチンとしないとダメですよ、ということです。 DMの効果の50%はリストで決まる 顧客のデータ管理と分析。これが、DMを打つ際にすべてにおいて優先されなければならない作業なんです。デザイン、キャッチコピーでお客様を引きつける要素というのは、DM全体の力を100とすれば15%くらい、そして内容が35%といわれ、DMの効果の50%を決定するのは顧客リストです。これを管理し、分析し、仕掛けをつくればお客様に来ていただけます。 1. 顧客リストをどのように収集するか リストの蓄積では、よく来ていただいているお客様に対しては、できるだけきめ細やかな蓄積を行なっていくことが大事です。住所、氏名、性別、電話番号、購買の履歴、現金かクレジットか、何を買ったのか、誕生日、結婚記念日、趣味、職業、会社での役職、勤務先、好きなブランド、家族構成…。こういうさまざまな属性をリストとして蓄積していくことが大切です。 例えばSというステーキレストランでは、お客様が食事を終えられた頃に、ちょっとした粗品を進呈してアンケートをお願いしています。項目には「サービスはどうでしたか」というような質問が並んでいて、最後に住所・氏名・誕生日などを記載するようになっている。実は一番知りたいのは誕生日というプライベート情報なんです。誕生日の1週間前に「おめでとうございます」というDMがお客様に届く。そこには「バースデーメニューとして、通常3000円が1980円」とある。誕生日に1人でレストランへ行っても味気ないから、家族とかカップルとか複数の来店になるわけです。そうすると、1人分を安くしても十分に採算が見込めます。このようにパーソナルな情報をうまく活用し、工夫すれば、お客様の満足を高め、かつ売り上げアップにつながるようなシステムづくりをすることも可能になるわけです。 2. リストをどのように活用するか 問題は、リストはあるけれど、単にそれをアドレスタックで貼って出しているというケース。私にいわせれば、これは非常にもったいない。何度も述べているように、常にそのリストを加工し、分析していくという作業が大切なんです。 では、リストを分析したらどうするか。例えば、ブティックがブランドフェアを催すとします。リストからこのお客様はグッチの商品をよく買っているとわかれば、DMにひとこと「グッチの商品もたくさん揃えています。お越しください」ということが書けます。このひとことを書くか書かないかで、来店する確率が違ってきます。 あるいは、うちは1000円から10万円くらいまでの小物類を扱っているんだけれど、リストを分析したら1万円前後の商品を買っているお客様が多い。となれば、1万円前後セールみたいなものを企画して、1万円前後の商品をよく買っていただいているお客様だけを対象にしてDMを打つという仕掛け方ができます。また、趣味がゴルフということであれば、「近頃、ゴルフの調子はいかがですか」というコメントをはがきの余白にでも書いておく。こういったちょっとした気配りができるかどうかということなんです。 先日、その話をしましたら、「うちは3000人以上のリストがコンピューターに入っているのに、いちいちゴルフの調子はどうですかなんて書いてられません」というふうに言われたんですが、全部に書く必要はないんです。最初にいったように、上位2割のお客様が8割の売り上げを占めるわけですから、せめて上位2割のお客様には通常と違う形のDMを出す。これが必要だということなんです。 DMの種類とコンセプトメイク リストを整備したら、次の段階では目的の明確化と情報の吟味が必要になります。わかりやすくいえば、「訴えたいことを明確にする」「他店、他社との区別化をどこでおこなうか」ということ。これをコンセプトメイクといいますが、だいたいDMの効果の35%くらいはここで決定します。 セールの案内、改装オープンのお知らせ、お店や企業のイメージアップなど、DMにはさまざまな目的があります。よくあるのは、1通のDMにバーゲンも新商品の案内もご無沙汰の挨拶もと盛りだくさんで、かえってわけがわからなくなっているもの。 目的は必ず一つに絞ってください。そして、わかりやすくする。他のお店も、他の企業も、みんなDMを打ってるんです。だったら、「うちの特徴は何なのか、それをどこで出すのか」ということを考えてください。ここでは、それぞれの目的に応じてDMを考える際の、最低限のポイントを実例をあげて紹介します。 ●セール案内DM【例1】 まず、単なる割引セール(30%オフ程度)では、受け取る側のインパクトは弱い。逆に60〜70%オフならそれ以外に何も書く必要はない。 次に、来店動機を高めるには、得意客と一般客を区別して、受け取る側に特別な存在だと思わせる仕掛けが必要。 ●バースデーDM【例2】 あくまでもお祝い色を基調にし、その延長線上としてプレゼントをしたいという内容に。営業色が強くなると逆効果になりがち。最悪なのは誕生日の後で届くこと。1週間から2〜3日前には届くように配慮する。 ●サンクスレター【例3】 先日の購入(来店)のお礼を述べ、アフターフォローやサービスに心を配り、何かあれば気軽に来店しやすいイメージをアピールする。クレームがあっても、迅速かつ十二分な対応がとれればかえってファンを獲得できる。購買後2〜3日から1週間以内に出すこと。 ●シーズンレター/情報コミュニティー誌【例4コミュニティー誌例】 普段のご無沙汰を詫び、お客様とのリレーションや認識を深めることを目的としたDM。営業案内的な内容は避け、お店のイメージアップにつながる内容とする。例えば、家電関係のお店なら「プロがアドバイスする家電修理のワンポイント情報」とか、食料品店なら「冷蔵庫のあまり物で作る酒の肴」といったお役立ち情報など。 DMの効果を高める表現のコツ さて、DMを考える上で最後に残されるのが制作の実務です。読みやすく、見やすく、目に止まる工夫が必要になります。実際はプロに作らせる場合が多いでしょうが、簡単にどういうところに目をつければいいかというポイントを紹介します。 ●キャッチフレーズはベネフィティングポイントを 右上表のセリングポイント(セールスポイント)というのは、販売する側から見たメリット。それによって、お客様にどのような利便性がもたらされるのか。つまり、お客様側から見たメリットをベネフィティングポイントといい、これがキャッチフレーズになります。この表現方法によって、お客様は商品が自分にもたらすメリットが具体的に把握できるのです。 セリングポイント A.サイズが小さくなったコンピュータです。 B.静かになった洗濯機です。 C.シワにならない形状記憶シャツです。 ↓(ということは?) ベネフィティングポイント A.机が広く使え、仕事のしやすいコンパクト設計 B.赤ちゃんがお昼寝しててもOK C.アイロンいらずの女房孝行 ●セールの場合のタイトルのつくり方 セールタイトルは、なぜ特価なのかが見た瞬間にわかるような、具体的な名称にするのがコツ。例えば、オープニングセール、店じまいセール、決算セール、創業30周年記念セール、在庫一掃処分市など。悪い例は、ビッグセールやサマーセールとか、セールの理由がよくわからないもの。これではインパクトが弱い。 ●アクションコピーの活用 「どうしようかな」と迷っている人の肩をポンと押すコピーで、購買や来店動機を高める決まり文句。これを有効に活用する。 ・ 先着○名様限り ・限定販売○個限り ・今年最後の○○ ・今なら無料! ・あなただけの特典 ・ここだけは読んでください ・詳しい資料を無料でお送りします など限定したような表記をおこなうことで開封率や来店率、購買率が違ってきます。 ●プラスα効果 例えばA・B・Cという3つの特典が最初から用意されていても、それを単純に併記するよりも「今ならAとB、プラスCもついてくる」という表現を使う。最初から3つ用意しているのだが、「さらにC」というプラスアルファにするとお得感が出るのです。 ●チラリズム表現【例5】 すべてを語らずに、受け手を欲求不満の状態において興味の度合いを増すというテクニック。まず開封してもらうのが原則の封書型DMなどでは、特典の一部を封筒で予告すると開封の確率が高い。 みなさんにとっていいDMとは? DMという販促手法は、うまくやれば費用対効果の面で他の販促の手段をはるかに凌駕する潜在的な能力を持っています。ただし、やり方を間違えなければです。 DMを出す際にみなさんが一番気にされるのは、デザインやコピーやキャッチフレーズをどうつくるかということです。お店や事業所に行くと、必ず「このDMのデザインはどうですか」と意見を求められます。もちろん、デザインやコピーが洗練されているに越したことはない。しかし、何度も述べているように大事なのはそれ以前の段階です。顧客リストが充実しているか、リストを集める工夫をしているか、それをしっかり分析できているか、そしてお客様の目線に立ってコンセプトをつくっているか。こういった部分でほぼDMの効果は決まってしまいます。 みなさんがDMを打つ目的は一つ、それは売り上げを上げることにあります。だとすれば、(これは極論かもしれませんが)いかにデザインがしょうもなくても、お客様を店に呼ぶことができれば、それがみなさんにとっていいDMなんです。ここのところを間違わないようにしていただきたいと思います。 |
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講 師
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株式会社クイックSPセンター 代表取締役社長 中道隆之 |
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