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タイトル お店のカラーコーディネイト講習
売上げにつながるお店のカラー作戦
講 師 カラーコンサルタント 松田 博子
●プロフィール
神戸女学院大学卒業後、中島千恵美術研究所に入会。カラーアナリスト・カラーコーディネイター養成、パーソナルカラーアドバイス、企業の色彩計画・商品企画・インテリアカラーコーディネイトなど色彩心理をふまえたカラーコンサルタントとして、各分野で活躍中。
[主な資格等]
・シーズンカラーアナリスト(日本・米国)
・1級カラーコーディネイター(商工会議所・AFT)
・AFT認定色彩講師
(財)日本色彩研究所認定色彩指導者
人間の五官に働きかける「色」は、
魅力的なお店づくりの強い味方です


 色には、人間の生理や心理に働きかける不思議な力があります。今日は、ふだん何気なく見ている色にもさまざまな意味があるということを少しでも分かっていただければと思います。
 はじめに、色の不思議が実感できる実験をしましょう。赤の色を白い紙の上に置いて、じーっと見つめてください。そして、次に白い紙だけを見ると、蛍光色みたいな緑が見えませんか。今度は緑を見ると、蛍光の赤が出ますね。実は、人間の目は、同じ色をずっと見ているとしんどくなってきて、その色と反対の色を求める「色彩調和の性質」があります。鮮魚屋さんでマグロのお刺身の下にシソの葉が敷いてあるように、反対の色は互いに引き立て合って、食べ物をおいしそうに見せてくれるんです。
 次に、この12色の中で、おいしそうだと感じる色のところで手を挙げてください。はい、オレンジ系統の色が圧倒的に多いですね。「視覚」という感覚は、時に「味覚」に大きな影響を与えます。これを「転移」といいますが、例えば、おなかが空いている人は、ブルーの看板とオレンジの看板の飲食店があったら、オレンジの看板のお店に入るんです。カレー、本だし、おつまみ、カロリーメイト、新米など食品の袋にもオレンジ系が使われていますね。商品がオレンジ色じゃなくても、オレンジ色の袋を見ると「おいしそう」とイメージしてしまうんです。
 色は「聴覚」にも転移します。オルゴールの音色は明るい軽い色だけど、ベートーベンは暗い色でしょう。暗い音を聴くと暗い色を、明るい軽やかな音だと明るいトーンの色をイメージするんです。映画でも、映像と音を合わせて雰囲気を盛り上げますよね。
 また、淡い色のスポーツカーは遅そうですが、原色だとすごく速そうだと思いませんか。これは「平衡感覚」への作用です。
 赤ちゃんの下着や布団が暗い色だと、いくら柔らかくても、重そうに見えますね。同じ商品でも、色によって柔らかさやゴツゴツ感など「触覚」まで変わってくるんです。
 このように、色は人の目と心のフィルターを通り五官に働きかける作用があります。これを利用して、お店のディスプレイやレイアウトを考えてみましょう。

色の基本的なイメージを使って、
アピールしたいイメージの店舗をつくりましょう


 お店のイメージを色で演出するためには、色自体が持つイメージをつかみ、顧客がこういう色群を見てどんなイメージを持つかを把握しておくことが大切です。
 図1の「ビビッド(v)」を見てください。これはいわゆる「原色」、一番鮮やかな色のグループです。イメージワードは、『冴えた・鮮やかな・派手な・目立つ・生き生きした』。こういう服を着ている女性を「ケバい」と言ったりします。行動的で活動的、スピード感があります。スポーツカーやスピードスケートの選手はこの色のユニフォームを着て「これからスピードを出すぞ」という気になるわけです。
 このように、同じイメージの、同じような明るさ(明度)と鮮やかさ(彩度)を持つものを「トーン」といって、独自のイメージを持っています。
 

薄い色はソフトでエレガント
濃い色は重厚でクラシック


*図1を参照してください。
 ビビッドに少し白を混ぜると「ブライト(b)」という色合いになります。イメージは『明るい・健康的・陽気・華やか』。キュートでかわいく、トロピカルでジューシー、女性の年齢でいうと18〜19歳。人に幸せを感じさせる色で、映画『幸福の黄色いハンカチ』のハンカチが、このブライト。まさに店舗展開の狙い目の色です。
 もう少し白を混ぜた色が「ライト(lt)」。『子供っぽい・さわやか・楽しい・澄んだ』イメージ。年齢も10歳前後のかわいい感じで、女性を若く見せるため、30歳以上の花嫁のウェディングドレスによく選ばれます。
 もっと白を混ぜた薄い色が「ペール(p)」。一般に『女性らしい』とされる色で、年齢もかなり幼くなります。イメージは、『軽く・浅い・あっさりした・弱い・女性的・若々しく・やさしい・淡い・かわいい』など。色が薄くなるほど、ソフトでエレガントな雰囲気に変わるわけです。
 今度は少し黒を混ぜて、「ディープ(dp)」という色は『深く・濃く・充実した・伝統的な・和風の』イメージです。丹念に練り上げた練り羊羹や、味わい深いコーヒーのパッケージの色ですね。これがペールだと「ほんまにこれ、おいしいんやろか」という感じになってしまいます。
 もっと黒を混ぜると、もっと暗くなって『大人っぽい・丈夫な・円熟した』イメージの「ダーク(dk)」になります。堅さも加わって、例えばダークブラウンのインテリアはずっしりと重い伝統工芸品。高級でクラシックな大人の部屋です。
 「ライトグレイッシュ(ltg)」は、原色のビビッドにグレーが混ざった色合いで、かなり地味な色です。『落ち着いた・渋い』感じで静か。すべての色の中で一番動きがない色です。和室やリビングなど落ち着いた雰囲気にしたい時に使いますが、「こんな地味なインテリアだとお客さんが来ないのでは」と不安に思う時は、紺色や黒など暗めの色をアクセントにすると、優しくソフトな感じがひき立ち、地味な色が映えてきます。
 「ダル(d)」は、昔のきもののような和風の色合いで、『京都』のイメージとしてよく挙げられる色です。一番くすんだ色ですが、日本風土に最も適した色で、古風な女性や『わび・さび』の世界にも通ずる世界があります。
 さらに暗く、濁った色の「グレイッシュ(g)」は、ぐっと『渋い』感じで、かなり地味。『包容力がある・頑固な』というイメージで、『お父さん』を連想する人が多い色です。組み合わせ方によってはモダンにもなり、最近の若い人はこの色の口紅や服装を好む傾向があります。


カジュアルからエレガントまで、
組み合わせ次第でさまざまなイメージを表現できます


 色のグループを組み合わせて、さまざまなイメージを表現できます。9つのイメージをご紹介しますので、お店のインテリアにあてはめてみてください。
 ビビッドな色合いの組み合わせは、「カジュアル」で派手なイメージ。スピード感があって華やか、晴れやかな感じです。ビビッドに黒を混ぜた色合いは「クラシック」。重さが加わって伝統的になります。
 肌の色のベージュと、植物のグリーンの組み合わせのイメージは「ナチュラル」。ブラウンのフローリングなど、土や木など自然に近い色合いで、ナチュラル感が演出できます。逆に、原色の白と黒を利かせて光りモノを加えると「モダン」な雰囲気。
 また、地味な色のダルを中心にした組み合わせは「エスニック」で、民族調で野性的なイメージになります。
 ブルーと白のコンビは、さわやかで「クール」。リクルートスーツは紺と白の組み合わせで賢く理知的に見せますね。ただ、人をはねつける冷たさもあるので、清楚で賢いけれど、ちょっと近寄りがたい雰囲気にもなりますから、会社の制服などはソフトなピンクにすると親しみやすい感じになります。
 「ロマンティック」な雰囲気を演出できるのは、ペールの組み合わせ。曲線を利用すると、よりソフトでまろやかになります。
 グレイッシュな色のコーディネイトは、「シック」という言葉がよくあてはまります。もっと「ダイナミック・ゴージャス」にしたい時は、黒と、深めの原色を組み合わせます。商品の下に金の紙を飾るとゴージャスですよね。また、淡い色を中心に組み合わせると、一転して「エレガント」な雰囲気になります。

調和のとれた配色の3大条件は
「同系」「類似」「対照」


※図2を参照してください。
 実際に店舗レイアウトを進める上で役立つのが、図2の「色相環」(カラーダイヤル)です。赤から橙、黄色、青…と24色が輪になって並んでいます。最初の実験で、赤を見つめた後、輪の反対側の緑が見えましたよね。実は、黄色を試すと紫が、オレンジを見るとブルーが出てきます。そして、先ほども言いましたように反対の色は、必ずこの色を引き立てますので、例えば、赤を使いたい時にはこの色相環を見て、赤を引き立てる反対色を調べるわけです。
 では、色相環を使ったカラーコーディネイトのコツをご紹介しましょう。
 第1に、同じ色でまとめること。
 メインカラーを緑に決めたら、緑のグループの色だけを使うというように「同系」の色でまとめると、誰が見てもきれいな配色になります。
 第2は、隣り合う色でまとめること。
 黄みの橙と赤みの橙は「隣接・類似」する色で、レモンとミカンのように似た者同士のイメージでよく合います。
 第3に、先ほどの赤と緑のように、向かい合う色でまとめること。
 これは「対照」といって、お互いの色を引き立たせる組み合わせです。

 例えば、ブティックなどで、黄色の服を着たお客さまにブラウンのコーディネートを提案する時は、色相環を見て、お客さまの服と同じ黄色を探します。その黄色と同じグループのブラウンを選ぶと、同系色ですからよく合うんですね。
 また、お店に新商品を置いたのに今一つ目立たないなと思う時は、色相環の反対側にある色をアクセントカラーにします。看板の色を決める時も、お店の名前を引き立てたいなら文字と地色を対照的な色にすればいいし、同じイメージで表現したいなら同系や隣接・類似の色を選ぶというふうにすれば、「どの色にしよう」と迷わなくてもいいわけですね。

お客さまに似合う色をお勧めする時は
「パーソナルカラー」の活用を


 配色を考える時は、もう一つ、色をウォーム系とクール系に分類して考える方法もあります。図2でいえば、ビビッド(v)の赤の3番は朱赤で暖かい感じのウォーム系、1番は紫が入って冷たい感じのクール系になります。
 これを人にあてはめたものが「パーソナルカラー」です。パーソナルカラーを知っておくと、例えばブティックなどを経営しておられる方は、お客さまに似合う色をお勧めする時に、とても便利です。パーソナルカラーの見つけ方は、プロの場合は肌の色と目の色で判断するのですが、ちょっと難しいので、ここではお客さまの印象をもとに判断する方法をお話ししましょう。
 まず、お客さまの服装を見て、ウォーム系とクール系のどちらを好んでおられるかをつかみます。次に接客しながら、パーソナリティーを見てください。ウォーム系の人は外交的でよくしゃべる人、クール系の人は内向的で口数が少ないといわれています。ウォーム系の服を着て、おしゃべりで行動的なお客さまに、クール系の服をお勧めしても選んでもらえませんし、おとなしくて無口なお客さまには、ハデな色をお勧めしても買っていただけません。お客さまの服装や性格を手掛かりにパーソナルカラーを把握しておけば、気に入っていただける色をお勧めすることができると思います。
このように、図1の「トーン表」と図2の「色相環(カラーダイヤル)」は、幅広く活用できる大変便利な物で、この2つを店頭に置いていただくと、店舗レイアウトを決められるときやお客様に商品をお勧めされるときなど、カラーコーディネイトされるときに重宝していただけると思います。
では、何かご質問がありましたらおうかがいいたします。

Q.寝具店にふさわしい色を教えてください。
A.それよりも、貴店のイメージを考えましょう。
 業種にふさわしい色よりも、自分がアピールしたいイメージを「モダン」「クラシック」などの言葉で考えて、それを色に置き換えてみてください。私がコンサルタントする時は、180語のイメージを5語くらいに絞り込んでいただき、それを色に置き換えて提案しています。

Q.同じ色に飽きたら、イメージチェンジをした方がいいですか。
A.基本的には、変えない方がいいと思います。
 色を変えることでお客さまに新しい気持ちをアピールするという展開もありますけれど、私は、同じイメージで長年親しんでもらっているお店の場合は、変えない方がベターだと思います。
(平成10年9月25日の講演より)

講 師
Color Consultant スタジオ主宰
カラーコンサルタント 松田博子
電 話
077−582−7984
FAX
077−582−7984

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