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とことんまで“メイド・イン・キョウト”を意識
日本に古くから伝わる時代裂(じだいぎれ)を蒐集(しゅうしゅう)・研究・復原・再現・創作をしている『鈴木時代裂研究所』。コレクションをもとに再現したスカーフやネクタイ・バッグなどで人気を呼んでいる。時代裂の蒐集研究家であり、染織作家として活躍している鈴木さんが、時代裂の一つ「古渡更紗(こわたりさらさ)」の再現を手がけるようになったのは、今から10年ほど前のこと。生地などは、必ず京都の問屋から仕入れ、染織や仕立てなどもすべて京都の職人の手づくりによる。とことん“メイド・イン・キョウト”で、お客様に自信をもって「京都で作りました」とお勧めできる逸品を生み出すことができるという。
精魂込めて作った商品を愛おしく、小さく売る
販促活動は、息子の一弘さんが中心となって展開している。格天井(ごうてんじょう)更紗が再現できたときは、「最高のものは、最高のところで売りたい」とのことで、国立博物館・美術館などのギャラリー、ミュージアムショップのほか、特定の百貨店や通販会社などにも商品を提供しており、「一般的な一流店が、自分にとって必ずしも一番店とは限らない」と一弘さん。“売れるか売れないかではなく、本当に商品価値をわかっていただけるお客様かどうか、相手とじっくり話し合って判断するのだという。大型量販店などから注文が舞い込んでも、自分が納得できなければ商品を販売しない。儲けを優先するのではなく、自分たちが心を込めて作ったものを大切に(愛おしく)販売したいという心意気が、本物志向の個客に評価されている。
値打ち・価値がわかる人に買っていただきたい
ものの良しあしを見極める目の肥えたお客様が少ないように感じられる。価値のわかる方々は「値段が高いものは良い商品」という価格(ブランド)信奉ではなく、本当に値打ちのあるものに対価を支払いたいと考えている。同店では、これら“目利き”を満足させる素材やデザインを追求することで、上質のものづくりセンスを磨きあげてきた。「本当に良いもんは、多少値が張っても、長いこと愛用してもらえるんです」と鈴木さん。決して大量に売れるわけではないが、一度買っていただいたお客様からの口コミで新たな注文が舞い込むことも多い。目利きの期待に応える“ほんもの”を提供することで、さらなる個客の需要を掘り起こしている。
後世に誇りを伝える商いに徹する
お茶席で、自分と同じ“帛紗(ふくさ)”を持っている人がいたら、あまりいい気分のするものではないだろう。しかし、同所の帛紗等を買った人は、「あっ、私と同じものだ!」とその場で、帛紗等を通して話題が弾むのだという。このように個客同士が価値観を共有することができるのも、創業以来、品質や価格、制作から販売方法に至るまで一切の妥協を許さず、真面目(誠実)に自社ブランドを構築してきたからだろう。
自社商品に自信と愛着をもって、身の丈に合った商売に徹してきた『鈴木時代裂研究所』。伝統ある“裂”を独自の商品へと巧みに進化させる創意工夫が、目利きの個客をとらえて離さない。このことが形を変えて「あきない」へと結びつく京商人の原点が、ここにある。
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