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他店にないニッチ本にこだわり、固定ファンを獲得
昔ながらの商店が軒を連ねる寺町通にある書店『三月書房』。店舗の面積はわずか10坪ほどで、決して広いとはいえないが、店内に足を踏み入れると、そのユニークな品揃えに思わず目を見張る。現代思想や哲学、短歌などさまざまな人文系書籍のほか、非流通本や個人出版物、雑誌のバックナンバー、特価本など約1万冊の本がぎっしり並ぶ。
「大型量販店が見落とすようなニッチ(すき間)本に力を入れてきた」と宍戸氏。いまでは口コミで評判が広がり、芸術家や歌人、大学教授など、全国に固定ファンが多いという。他店ではめったにお目にかかれないアイテムに特化し、顧客ターゲットを絞り込むことで、店の存在価値を高めることに成功したといえる。
本を関連づけて並べることで、お客さまの購買意欲を刺激
現在、1日に約300冊の新刊が出版されるが、同店が仕入れたくなるのはわずか5〜6点にすぎない。これまでの売れ筋やお客さまからの要望をもとに、店主自ら仕入れを厳しくチェックする。出版社からのパターン配本(割当て)に頼るのではなく、手間ひまはかかっても「本当に読んでもらいたい本」にこだわることで、お客さまの信頼に応えてきたのだ。
「1冊売れたら、その作家のバックナンバーや、著書の中で引用された書籍を並べてみます」と宍戸氏。個々の書籍をうまく関連づけることによって、本を1冊購入したお客さまが、ついでにほかの本にも手を出したくなるような仕掛けづくりを行っている。同店の顧客一人あたりの購入単価は平均3000円。まとめて2〜3冊購入していくお客さまも多いという。
必要な情報をシンプルに効果的に発信して、愛好家のすそ野を拡大
いまから3年前に、インターネットによるオンライン販売を開始した。いま抱えている在庫リストをカテゴリー別に羅列しただけのシンプルなホームページだが、あらかじめ買いたい本を決めてキーワード検索する「目的買い」のお客さまが多いため、必要最低限の情報を盛り込んでさえいれば十分なのだという。
「オンライン販売で顧客のすそ野を広げることができた」と宍戸氏。平成12年1月〜3月のオンライン販売の売上げは13万円程度だったが、平成13年1月〜3月には110万円、今年7〜9月は180万円に達した。最近では、倒産した出版社の関連書の売れ行きが好調だ。出版業界が5年連続前年割れする中、同店はここ数年売上げを伸ばしている。
顧客のwantに応える親切なサービス
メールによる問合せには、店主自身が一つひとつ丁寧に返事を出しているほか、メールが使えないというお客さまには電話やFAXなどの問い合わせにも気軽に応じる。中小店ならではの小回りの利くサービスが、顔の見えないオンライン販売の不安感を払拭し、リピーター客の獲得に結びついているのだろう。
ユニークな品揃えと独自の棚づくりで他店の追随を許さない『三月書房』。「お客さまにとって価値のある店が生き残る」と宍戸氏がいうように、市場にあふれる書籍に飽き足らないお客さまの心をうまくとらえたことが成功につながった。
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