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店舗の立地にこだわれ
京都の台所、錦市場の中ほどに店を構える惣菜店『錦平野』。昭和28年に開店するとき、大型量販店に勝るとも劣らない錦市場の集客力に魅力を感じたという。十数年前には、百貨店の地下食品売場にも出店。いわゆる「デパチカ」に注目することで、主婦だけでなく、会社帰りのサラリーマンや若者にまで顧客のすそ野を広げることに成功した。
「小売業は立地産業」と店主の平野氏。商材やサービスの内容は大切だが、お客さまを迎える以上、立ち寄ってもらいやすい場所に店を構えるのが基本だと言い切る。現在ではなかなか新規出店が難しい錦市場や百貨店という「天王山」を早くから押さえていたことが同店の強みの一つといえる。
“京ブランド”を全面に
「家庭で作ったら、こういう風にするやろな」と、いつも考えながら惣菜づくりをしているという平野氏。惣菜の定番「おひたし」の素材となるほうれん草や蕗、菜の花などには冷凍品や缶詰物はいっさい使用しない。どれだけ手間ひまがかかっても、洗う、茹でる、切るという調理の基本を大切にするという。もちろん、防腐剤や着色料は一切無添加だ。
また、季節感のある京野菜をできるだけ使うようにしている。「旬の食材はおいしくて、栄養価も高い」と平野氏。「賀茂なすの田楽」や「丹波の黒豆」など、潜在的人気が高い「京ブランド」を積極的に打ち出すことによって、地元の買い物客だけでなく、京都らしさを求める観光客の心をがっちりとらえることに成功した。
ありふれた商材もアイデア次第でオリジナル商品に
商品開発の方法もユニークだ。同店の人気商品の一つ「ほうとううどん」は、平野氏が山梨名物のほうとう(うどんと野菜を味噌などで煮込んだ料理)を食べているときに着想を得たもの。昆布と鰹で作った自家製の薄味だしに、鶏のつくねなどを加えて、京都人好みのあっさり味にアレンジした。また、京野菜と冷麺の取り合わせが人気の「サラダ冷麺」も、ある中華料理店でサラダを注文したときに思いついたと話す。
「商品開発のヒントはどこにでも転がっています」と平野氏。味覚や触覚などの五感を鋭敏にとぎすまし、自分なら同じ素材を使ってどのように作るだろうかと、いつも創意工夫しているという。「ありふれた商材にこそ、アイデアを活かすチャンスがある」と胸を張る。
オープンケースでコンビニ感覚 選べる店へ
今から2年前、(公財)京都産業21の商店経営戦略相談(アドバイザー派遣制度)を活用し、専門家のアドバイスをもとに本格的な店舗改装を行った。これまで対面販売が基本だったが、ガラスのオープンケースを採用し、消費者が自由に商品を選べるようにしたところ、コンビニ感覚で気軽に買ってくれるようになったという。
素朴な味わいを大切にしながらも、ユニークで大胆な商品開発に挑み続ける『錦平野』。「常に攻めの気持ちでいることが大切」と平野氏が話すように、惣菜を単なる家庭料理としてとらえるのではなく、店独自の創意工夫をプラスして「わざわざ買う価値のある」商品にまで高めたことが繁盛に結びついたといえるだろう。
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