|
口の肥えた客に選ばれる店
創業は昭和53年の洋菓子店。店主の水野亘さんの出身地である京都府加佐郡大江町(平成18年1月1日に加佐郡大江町から福知山市に合併)の大江山と福知山から「マウンテン」と命名された。
若い人から年配のお客様まで支持される「チーズケーキ」や天皇陛下もお召し上がりになったという「洋梨のムース」など常時40〜50種類の生菓子、焼き菓子が店頭に並ぶ。生地の焼き具合を左右する温度には特に気を配る。「洋菓子でも何でも土台が大事です。うわべだけでは風が吹いたらすぐに倒れます」と水野さん。
お客様は地元が中心だが、神戸や大阪などからのリピーターも多い。遠方からわざわざ来られるため、バレンタインデーやホワイトデーには店の前に行列ができ、一人3〜4万円とまとめ買いして行くという。
これからはお客様を選ぶ時代だと水野さんは考える。口の肥えたお客様は購入額も高い。
大手資本の福知山への出店も「うちとはもともと客層が違う」と動じる様子はない。
経営者ではなく職人に徹する
商売の秘訣はお金を残さないことだと水野さんは話す。「お金を残そうとすると原価計算をしたり、余計なことに手を出して失敗したり、財産の取り合いになって必ず潰れる」と事業拡大を望む経営者ではなく、あくまでも職人としての堅実な姿勢を貫く。
味で勝負したいと口コミによる評判を重視し、ホームページやダイレクトトメールなどの集客方法は一切行っていない。忙しくなると店が留守になるため、大口の売り上げが見込める結婚式場との契約も断り続けている。また、クオリティを守ることを優先するため地方発送もしていない。そんな一徹さと店でしか商品が入手できない貴重さが、お客様の足を店に向かわせる。客単価が高くなるのも当然といえる。
頑固職人の父と世界大会優勝の息子の二人三脚
水野さんの息子のパティシェ直己さんは、東京の二葉製菓学校で講師を務めながら、週末には福知山の実家に帰って洋菓子を作っている。直己さんは、世界最大のチョコレートメーカーであるバリー・カレボー社(本社・スイス)が主催する「ワールド・チョコレート・マスターズ2007」で総合優勝した実力の持ち主である。
早速伊勢丹百貨店から声がかかり、バレンタインデー期間に直己さん自らがパッケージデザインしたチョコレートを東京店と京都店で販売した。
そんな直己さんが、来春から福知山に戻ることを決めた。「福知山だけで商売するなら私たちも賛成しませんでしたが、ここを拠点にして国内外で技術指導をするなど、やりたいことがたくさんあるようですから」と水野さんの妻千代枝さんも直己さんの帰りを心待ちにしている。
秋の移転を目指して
今後は直己さんが店の顔になる。秋にはその拠点となる店舗を福知山市の郊外にオープンさせる計画だ。新店舗が本店となり、現在の店舗は閉めることにしている。
「洋菓子店に複数店舗はいりません。いくら支店を出しても本店には勝てません。それよりも、本店にオーナーパティシェが常にいることがお店にとってもお客様にとっても望ましいでしょう」と水野さん。
新店舗にはカフェを併設するほか、直己さんによる洋菓子教室も始める計画という。世界チャンピオンが直接指導する教室は希望者が殺到するに違いない。更に、ふるさとを元気にする取り組みも始め、「マウンテン」の新たな展開は、地元からも大いに期待されている
|