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売れなければ、売れるように智恵を出せ!
日本唯一の「にほひ袋」専門店として、地元のお客さまだけでなく、観光客などからも支持を得ているのが『石黒香舗』だ。かつて、にほひ袋は和服の必需品として重用されていたが、平均販売単価はせいぜい2〜300円というものだった。和装の需要が低迷するなか、「にほひ袋そのものに付加価値を持たせ、単価の高い商品を作りたい」という思いから、約20年前に香を込めたさまざまな置物を作り始めた。いまでは、インテリアや慶事の引き出物用として購入していくお客さまも多いという。
「にほひ袋=巾着型」という常識を打ち破り、既存の商品アイテムにプラスアルファの付加価値を加味することによって、まったく新しいカテゴリーを生み出した。
顧客ニーズをモノづくりに、すぐに反映できるのは個店ならではの特権
店内に並ぶ商品は、十二支の「えと」を形どったもの、桔梗や桜、胡蝶蘭など四季の草花、ピエロやカッパなど愛嬌のある置物まで300種類以上。金襴や友禅、ちりめんなどの布を使って、一つひとつすべて手づくりしている。ひな人形やクリスマスツリーなど季節限定商品をこまめに用意して、リピーターの購買意欲をくすぐる努力も怠らない。
「うちは製造直売の店なので、お客さまからいただいた意見や要望をすぐに商品に反映させていけるんです」。置物のデザインは社長の石黒氏や洋子夫人、社員一同がアイデアを出し合って考案したもの。お客さまのニーズを取り入れた商品だから、売れないわけがないと石黒氏は胸を張る。
にほひ袋のカスタムメイドが、オリジナルを求めるお客さまに好評
数年前からカスタムメイドのにほひ袋の販売を始めた。巾着袋の色や柄、風合い、袋をくくる紐の色、香の量などを自由に組み合わせできるというもので、組み合わせによっては数千種類ものオリジナル商品ができるという。たとえ小さなにほひ袋であっても、ありきたりの商品では満足できないお客さまの心をうまく捉えたといえる。
また、気に入ったものを長く使ってもらえるようにと、中身の香の詰め替えサービスも行っている。「とにかく人の真似をするのが嫌だった」と石黒氏が言うように、商品だけでなく、販売方法やサービスなどでも同店の独自カラーを打ち出すことによって、他店との違いを鮮明にすることで成功した。
社員の身だしなみは接客サービスの基本!
「過剰なサービスは要りません。大切なのは、お客さまに不快な思いをさせないこと」と石黒氏。接客にあたる女性社員はすべて着物姿。髪の毛が長ければ後ろに束ねる、爪の手入れは怠らない、華美な装飾品を身につけないなど、社員の身だしなみには特に気を配る。「接客にクレームがあれば、社員を辞めさせることもある」。徹底した顧客第一主義の経営理念が、お客さまからの信頼と共感を生み出すことにつながったと思われる。
伝統の暖簾を守りながら、常に新しい商品開発、サービスを取り入れてきた『石黒香舗』。不振にあえぐ伝統産業にあって、独自のスパイスを加えることで、他店にはない“石黒ブランド”を創出、それが繁盛の礎を築いたといえる。
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