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“とんがった”商品を揃えることが付加価値に
京都随一の繁華街、新京極の真ん中に店を構える老舗化粧品店が『左り馬』。さまざまな種類の化粧品を取り扱っており、特にドーランやおしろい、アイライン、刷毛などの舞台用化粧品は抜群の品揃え。プロの役者ばかりでなく、新舞踊やバレエを習っておられるお客さまがわざわざ遠方からも買いに訪れるという。
「舞台用化粧品は数多く売れるものではありませんが、非効率な商品を並べるのも顧客サービスの一つです」と井上社長。毎年、春と秋には定期的にお客さまを招いて、舞踏化粧講習会なども行っている。他店ではあまり扱っていない珍しいアイテムを充実させ、“あの店は面白いものを売っている”という口コミを広げることで集客につなげている。
失敗がコンセプトとターゲットを明確にさせた!
昭和57年に井上さんが4代目を引き継いだとき、「多店舗戦略」を掲げて、百貨店やスーパーなどに支店を展開した。しかし、「店舗は増えても、うちの店はお客さまに何を売りたいのか、という肝心なところが明確に伝わらなかった」ため、いくつかの店を撤退させたという。
こうした経験から、改めてコンセプトとターゲットを絞り込んで生まれたのが、本店のすぐ近くにある女性専用の美顔サロン『左り馬モアーヌサロン』。肌の悩みを抱える女性を対象(ターゲット)に、専門家がカウンセリングやフェイシアルエステなどを行っている。化粧品は一度満足してもらえれば長く愛用してもらえる嗜好品だ。モアーヌサロンは、実際のお手入れを通して、その効果を実感できるアンテナショップとしての役割を果たしている。
オリジナル商品の数々は、お客さまの声を形にしたもの
全国の百貨店で開催される京都の物産展には、できるだけ参加するようにしている。「一つは地方顧客の掘り起こし、もう一つは新たな商品開発のヒントにするためです」と。井上さんが率先して店頭に立ち、お客さまの意見や要望に耳を傾ける。売れ筋商品である紙おしろいや泡立つネットなど、“こんな商品はないの?”“こんなことで困っている”という問い合わせに応える形で、新商品の開発につながったケースも少なくないという。
現在、左り馬ブランドで販売しているオリジナル商品は約20種類。看板商品のあぶら取紙をはじめ、京和紙で作ったあぶら取紙ケース、洗顔用石けんなどユニークなものが多い。顧客ニーズを取り入れた積極的な商品開発によって、他店との明確な差異化に成功している。
OLD・NEWの文化ゾーンを目指すと共に、きらりと光る個性を!
井上さんは、新京極商店街振興組合の理事として、地域活性化やまちづくりなどに力を注いでいる。毎年秋には「新京極映画祭」と銘打ち、懐かしの名作や話題作などを地元の映画館で上映して集客につなげている。「新京極は若者だけのまちではありません。高齢者も楽しんでもらえる“OLD・NEW”の文化ゾーンを目指したいのです」と話す。
市場にモノがあふれる今、ありきたりの既存品ではお客さまに満足していただけない。何でも揃う大型量販店を目指すのではなく、個性的で“思わず誰かに教えたくなる”隠れた名店に徹する姿勢が、『左り馬』のブランド力を高めることにつながっているのだろう。
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