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お客さまの声に耳を傾け、あきないのヒントを探し出せ!
五条大橋を臨む賀茂の流れのすぐそばに、創業300年の伝統を誇る老舗『半兵衛麩』がある。風情ある佇まいの町家のれんをくぐると、こぢんまりとした店内には、昔ながらの「おつゆ麩」や「乾ゆば」をはじめ、生麩を精進煮にして味付けした「精進生麸」、ゆばが固まる前に汲み上げて作った「はんなりゆば」など、約300種類の商品が並べられている。また、隣接する茶房では、ゆばと麩を素材にしたお弁当「むし養い」を食べることができる。
「これらは、すべてお客さまの声から生まれたもの」と玉置会長。商品を製造直売している同店では、お客さまから寄せられた意見や要望などをすぐにモノづくりに反映できるという。「たとえ少数意見であっても、必ず一度は検討する」という徹底した顧客第一の姿勢がリピーターの確保につながっているのだろう。
さりげない配慮が、お客さまとの一体感を深める
顧客主義は、店づくりやサービスの隅々にまで行き届いている。例えば女性トイレ一つをとっても、ゆったりと清潔なスペースに休憩用の椅子まで設置されており、町家の一角とは思えないほどの開放感にあふれている。どこにいても気持ちよい時間を過ごしてもらいたいという、きめ細やかな思いやりが感じられる。
またサービス面では、店を訪れたお客さまに緑茶の接待を行っているほか、お客さまが帰られるときには、店ののれんをくぐって姿が見えなくなるまで見送るのだという。
「商売人は感謝の気持ちを忘れてはならない」と玉置氏。一つひとつのサービスに派手さはないが、見えない部分にまで踏み込んださりげない気配りは、サービス過剰の世の中にあって爽快感すら覚える。
300年の伝統にITをプラスすることで、迅速なクレーム処理が可能に
ITの導入にも力を注いでいる。社員一人ひとりがパソコン端末を持ち、社内回覧や在庫状況、顧客管理などのデータをボタン一つで閲覧できる。「コンピュータの導入はサービス向上にも役立つ」と玉置氏。例えば、包装の方法や社員の服装などについての、これまで現場で処理されていたようなお客さまからの意見やクレームも、パソコンで情報を共有することによりトップまで直接届けられるようになったという。
また、インターネットが普及する5年以上も前に、いち早くオンラインショップを開設。2名の専属スタッフがお客さまからのメールや注文を受け付け、それぞれに丁寧に対応している。オンラインショッピングだけでしか販売しない商品や、月替わり商品などを豊富に用意しており、「限定販売」という言葉に敏感な主婦や若者層にまで顧客のすそ野を広げることに成功した。
企業はまず社会的に存在価値を高めること
「目先の金儲けよりも、いかに店を継続させていくかが大切」と玉置氏。家訓ともいえる『先義後利(義を先んじて利を後にする)』の教えを商売の中に生かしてきた。まず、“お客さまや社会のために何ができるか、どうすれば喜んでいただけるかー”こうした点を一つひとつ考えていくことによって、企業に社会的な存在価値が生まれ、利益は自然についてくるのだと話す。
老舗でありながら、ITなどの先進技術を取り入れてサービス向上に取り組む『半兵衛麩』。伝統の上にあぐらをかくのではなく、常に顧客第一と進取の姿勢で経営にあたることが売れ筋商品の開拓に生かされ、お客さまの信頼獲得につながったのだろう。
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