材:黒檀         材:象牙(世界で唯一の楽器)

 

   笙は17本の竹管を極楽の鳥、鳳凰が翼を折りたたんだ形から鳳笙とも言う。

 

   正倉院に象牙製の横笛がある。

   竹で作ればたやすく出来る笛を、貴重な材料の象牙を使用して

   深い穴をくりぬき、竹のデザインを形取り、節や枝葉まで彫り込んである。

   古代作家の創意・工夫に感動する。同時に古典音楽で笛との合奏で使用する

   笙も象牙で作りたかったに違いないと思った。

   天空に向かって羽根の如く組み合わさった美しさの本体を象牙で

   金具を純金で作る構想は古代の作家も同じ思いを抱いたはずである。

   しかし、正倉院に無く、シルクロードの国々にも存在しない。

 

   象牙は切り出してから乾燥までかなり大きい歪みが生じる。

   笙は「建て合せ」と言って、管の内面迄の肉厚を0,40,5_まで削り

   平面と平面を合わせて作る為、出来上がってからの歪みは隙間が出来る為に許されない。

   仕上がりの長さ430mm 直径12mm 内径6mmの管を作るには

   乾燥による曲がりを修正する事を計算すると加工前の直径60mm長さ440mm

   の材料が必要な事が、テストピースを使用した実験から予想できた。

   象牙本体 直径約25cm、長さ2m以上のとてつもなく大きな牙が必要となった。

   その様な牙はなかなか存在しない。

   象牙を切り出した後、早くも2〜3日で曲がりが生じ始めた。其の後少しずつ曲がった分

   だけ削る作業が延々と続く訳だが、最終仕上げの直径に15mmなっても

   曲がりが止まらなければ、すべて失敗となる。

   両センターを、ダイヤルゲージで測定しながら、歪率が少しづつ少なくなっていくのを

   確認しながらの結果、歪みが収まりだしたのが7年。

   完全に止まったのが14年の歳月要し、直径15mmぎりぎりの処で止まりました。

   象牙は割れやすいので、象牙用に開発した特殊な方法を使って

   内径6mm長さ440mm曲がり0,mm以下

   精度の長穴をあける作業に移る。

   失敗は14年間の無駄と象牙の笙の存在が無くなる事である。

   象牙の歪みを取る作業と平行して、黒檀の材料で笙を作り数多く失敗を重ねる事になった。

   象牙製笙の完成には20年の歳月を要した。

 

   完成品が第1回サイトウ・キネン・オーケストラ・イン松本の初日

   天皇.皇后両陛下御覧のクラシック演奏会オープニング曲

   作曲  武満 徹「セレモニアル」

    (笙のソロで始まりオーケストラに引続き笙のソロで終る。)

   指揮  小沢征爾

   笙演奏 宮田まゆみ

   その模様をNHK BSでライブ放映された。

   古代作家も象牙の笙を作りたかったが作れなかったと言わざるを得ない。

   理由は、とてつもなく大きな象牙を必要とする。

   正確な加工を必要とする為、古代の加工技術では作業がきわめて難しいと言える。

   正倉院の倉にも無い凄いものが出来た。

   古代作家から現代作家まで夢を描きつづけた工芸品である。

 

 

@EXSYS(エクシス)(創作の楽器)の案内

「EXSYS」(エクシス)とは、Expected System of Syo の略

雅楽などで使われている古典楽器の笙(しょう)と竿(う)を基本

に開発した楽器の名称です。

3オクターブすべての平均律音を演奏する事が出来ることにより次の

15曲をCDに収録することができました。

世界初の試みです。ぜひ体験してください。

         

 

CD 「pops by exsys」(曲目)

1 バッハのプレリュード

2 トルコ行進曲

3 朝の歌

4 帰り来ぬ青春

5 この胸のときめきを

6 心の愛

7 ビーマイベイビー

8 鏡の中のアンナ

9 愛はるかに

10 フラッシュダンス

11 イエスタデイー

12 涙のトッカータ

13 メモリー

14 シルエットロマンス

15 アベマリア(グノー)

 

演奏:吉田 弥生

制作:當野 泰伸 

CD代金 ¥3,400(送料共)

郵便振替 00900-0-51334

★連絡先

京都市右京区西院西淳和院町34-8

Tel 075-311-5334  當野 泰伸