2001 FEBRUARY
NO.304
KYOTO MEDIA STATION

特集
企業戦略に活かすI T革命
〜スピード時代に勝ち残る条件を探る〜


I Tの商流
●電子化に対応したビジネスモデルを構築すること
    いままで人間がやっていたビジネスを、単にコンピュータネットワークにやらせるというレベルでは、真のI T化とはいえません。従来は、受注された記録だけを残し、成約に至らなかったデータはすべて捨てていました。しかし、実はこの不要なデータの中にこそ本当の宝がひそんでいるのです。それをうまく活用した企業は非常に業績を伸ばしています。受注に至らなかった経緯や理由などを細かく分析して、新規の顧客開拓に結びつける作業を怠ってはいけません。
    同時に、I Tのスピード化に対応したビジネスモデルを構築することも大切です。商取引の流れには、商売の流れである「商流」、モノの流れである「物流」、お金の流れである「金流」の3つありますが、ECで電子化されるのは商流の部分だけです。
    電子的に動く商流に対して、物流と金流をどのようにスピードアップしていくか。物流システムそのものをできるだけ簡素化、スリム化してドッグイヤーに備えなければなりません。

その他の企業事例紹介
<酒販店>
    蔵出しのお酒というのは、一番おいしい時期を見計らって店頭に並べます。それだけにインターネット販売は難しいと思われていたのですが、伏見区にある酒販店では、消費者が日時を指定すれば、最も飲みごろのお酒をその日に届けてくれるサービスを行っています。支払方法についても、商品配達後の後払い方式を採用して消費者の不安感を払拭するなど、ギフト商品を中心に非常に売り上げを伸ばしています。

<傘販売店>
    ECの中心販売価格帯は、5,000円〜8,000円くらいが多いといわれています。消費者の立場からすると、1,000円の商品を購入するのにわざわざインターネットを使いたくないし、1万円以上になると本当に商品が届くか心配です。
    しかし、大阪・心斎橋にある傘販売店では、ネット上で傘の柄、生地、カラー、素材などすべてオーダーメイドすることができ、自分だけのオリジナル商品を求める消費者が1万5,000円〜2万円の傘をどんどん購入しています。従来、傘というのは出来合いの、しかも高級品になると海外製のものしかありませんでしたが、この店はIT化によって従来の販売形態そのものを変えてしまったのです。

<洋装販売店>
    最近ではユニクロやギャップなど、高品質・低価格を“売り”にする販売店も増加しましたが、鎌倉にある洋装販売店では1着4,800円のブラウスに人気が集まっています。ブラウスのデザインや素材はシンプルですが、たとえばブラウスのボタンに白蝶貝を使用するなど、品質面には非常にこだわっています。この商品はインターネット以外に、鎌倉本店と大阪・阿倍野の近鉄百貨店内にあるアンテナショップでしか販売していません。繊維商品というのは、大変多くの中間卸店を通過するものですが、この店は製造直売の流れを確立したことにより、4,800円という画期的な低価格を実現したのです。