スクリーン印刷用製版では関西トップの中沼アートスクリーン梶Bかねてから高精度のスクリーン開発で高い評価を得る一方、取引先だけでなく社員にとっても魅力ある会社づくりを進めておられます。中沼社長は京都府内の異業種交流グループを組織化した「異業種京都会」会長を務め、このほど京都府産業功労者として表彰を受けられました。 心得は“ざっくばらん” ――このたびは京都府の産業功労者表彰、おめでとうございます。「異業種京都会」の会長として4年余、さきに開かれた異業種京都まつりの「テーブル交流会」は毎年の恒例行事としてすっかり定着しましたね。 ――紙に限らず製品に印刷はつきものですが、IT時代ということで何か変化は見られますか。 中沼 日常生活で接する用具の数は約2万種類あるといわれていますが、プラスチック容器やガラス製品から、道路標識や各種案内板、家電製品の操作パネル、プリント基板まで、素材を選ばず何でも印刷できます。 ここ10年近く経営環境はずーっと“フライパンの底”でしたが、今年になって思いがけずフォローの風が吹いてきました。その一つが海外向け携帯電話のダイヤル部分の印刷です。それも数量 がいままでとはケタ違いですから、久御山工場(プリンティングセンター)の近くにこの10月に急きょ、第2工場を新設しました。これは5年前、販売態勢を強化するために開設した東京営業所での受注で、製品検査の人手が足りず、30名ほど人材派遣を受けて量 産に対応しています。 ――エレクトロニクス分野のほうはいかがですか。 中沼 数年前からNHKが中心となって研究に取り組んだプラズマディスプレーによるハイビジョンテレビの開発プロジェクトに、当社も26社のメンバーとして参画しました。ご存じ大画面 の平面テレビで、基礎的な開発は一昨年の長野オリンピックになんとか間に合いました。 それを家庭用に壁掛けテレビとして普及するために、「奥行きは10cm未満、重量 は画面1インチあたり1kg以下、価格も1インチ1万円(50インチサイズなら50万円)以下」を合言葉に各メーカーがしのぎを削っているところですが、内部の電極は超精密スクリーンで印刷しようというものです。 ――技術開発の夢が広がりますね。 中沼 私が創業して間もない時代、白黒テレビの価格は1インチ1万円以下が目標でした。当時とはお金の価値も技術レベルも比較にならないものの、なにやら因縁めいた感じがします。創業以来、印刷の世界も多様化の一途をたどり、「夢」をキーワードに取り組んできましたし、これからも夢を求めていきます。 すべてが「品質」活動 ――社是は「魅力」。社員にとってもやりがいのある会社づくりをめざしてQC活動もずいぶん活発ですね。 中沼 社員は142名ですが約20のサークルがあり、毎年それぞれ2つの改善テーマに取り組んでいます。TQCを開始して13年になりますから、トータルすれば500テーマにも上ります。それらがきちんと継続していれば大したものですけど、発表会が済めばどうしても“ヤレヤレ”ということになってしまいます。そこで、これまでの成果 をシステムづくりにつなげよう、QC活動でいう「歯止め(標準化)」として今年7月にISO9001を取得しました。 もっとも、ISO取得はたんなるプロセスにすぎません。品質というと製品の質だけを連想されがちですが、社内活動のすべてが人、設備、管理の「質」を高めていく活動だと理解しています。取得1年後の定期審査も、「忘れてしまわないよう半年後にチェックしてほしい」と頼んであります(笑)。QCとISOの整合を図って、誰がどこへ異動してもすぐに何でもできる、そんなシステムに進化させていきたい。11月からスタートした今期のスローガンは「システムづくりで新時代に対応」です。 ――さて、いよいよ21世紀に入りますが、手始めとしてどんなことを? 中沼 21世紀に生きる企業の義務として、環境負荷の軽減を組織的に実現すること、具体的には年明け早々にもISO14000s導入へキックオフを予定しています。企業と個人に共通 する課題ですが、まずは企業活動の一環として始めます。 異業種交流については、異業種京都会のなかでIT関連グループが集まれば、何か面 白いことができるのではないかと…。
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