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2000 NOVEMBER
NO.301
KYOTO MEDIA STATION

インタビュー
使える・役立つ
ユーザーサイドの
システムを追求

日本コンピューターファシリティ(株)
代表取締役社長 土井達也 氏
土井 達也 氏


ITをいかに使うかが企業の明暗を分けるといわれる今日、情報なくして戦略は立てられません。とはいえ、情報さえあれば戦略を立てられるわけでもありません。それらをサポートするソフト開発集団、日本コンピューターファシリティ(株)がめざしているのは“人と情報と通 信のインテグレーション”。創業して四半世紀、絶えず変化し続けるソフト業界にあって、オフィスワークシステムの設計・開発を軸に実績を着々と積み重ねておられます。

データの処理から共有へ

オフィス――最近、クライアントからの依頼にはどんな変化がみられますか。

土井 以前はデータの集計・分析など“どう処理するか”に主眼が置かれていましたが、現在はデータを“どのように共有するか”というスタンスに変わってきています。特定の担当者だけがデータを収集して活用するのではなく、多くの人間が情報を共有すれば幅広くデータを収集することが可能になりますし、社内のコミュニケーションの迅速化も図れます。企業存続の条件としていかにデータを生かし、継続的に組織を進化させていくかが本当に必要になってきている表れといえるでしょう。

――システム・インテグレーション(SI)市場の拡大と競争の加熱、
取り巻く環境変化をどうみておられますか。


土井 情報システムはもはや作業の効率化、合理化の道具ではありません。オンライン化がひと通 りピークを過ぎ、これからは業務革新を考える道具にしなければならないのです。現に、そう位 置づけておられる企業も増えてきています。多くの情報を使って次の一手につなげていく競争優位 の手段という視点に立てば、市場は確実に拡大していくとポジティブにとらえています。  ユニークな例では、占いにWindowsを活用できないかという依頼を受けたことがありました。占いにはそれぞれ独自の資料が駆使されますが、その検索にコンピュータを使うことはできるわけです。そうして引っ張り出したデータをどう読み、相手にどのようにアドバイスされるかは先生方のノウハウということになりますけど…。

――個々のニーズに対応した“オンリー・ユー”を
どれだけ提供できるかが大切になってきますね。


土井 それにはまず、ユーザーのニーズをどこまでくみ取った提案ができるかがポイントになります。そのシステムを活用することでどんなメリットが得られるのか、そしてそれを提案のなかにどう盛り込んでいけば理解していただけるのか。最近はいわゆるコンペ方式による発注もしばしばで、コスト効果 をきちんと測りながら検討されるユーザーが多くなりました。  また、“横請け”ネットワークが注目される時代ですが、案件によっては当社の田中義則会長が理事長を務める京都コンピューターシステム事業協同組合(23社)での共同受注という場合もあります。

――そうなるとプレゼンテーション能力も求められてきますね。

土井 ペーパーによる提案書だけでなく、お客様が実際に導入された場合にどうなるかを想定し、パソコンを使ってのプレゼンテーションにも取り組んでいます。なにやら“落とし噺”めいてきますが、お客様自身が先方にプレゼンテーションするためのシステム構築の依頼を受けたこともあります。


海外もネットワークに


――田中会長が社長時代、中国に拠点を設けられましたね。

土井 中国の対外開放政策を受けて会長がかねがね構想をあたためていたもので、平成6年、上海に独資会社(外資100%)「亞申納羅(あすなろ)」を設立しました。当初はソフトウエア開発事業の一部を中国で行い、コストダウンを図ろうということで立ち上げたのですが、事業が順調に推移していることから、いまは中国という巨大市場の開拓を視野に入れています。そのために現地スタッフを技術研修生として定期的に当社で受け入れ、人材を養成しています。

――現在、インターネット関連はどのくらい占めますか

土井 いまのところホームページの作成も含めて売り上げ全体の20%程度ですが、そのウエートは今後高まっていくでしょう。従来、企業内ネットワークは拠点ごとの端末に専用のプログラムが必要でしたが、Web上のホームページを通 して業務を進めていく傾向が強まっています。専用プログラムの必要性をどうなくしていくかがカギになると思います。

――多角的な事業展開にも力を入れておられますね。

土井 コンピュータと電話を統合したCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)による国際通 信システム「テレコム京都」を手がける一方で、人間の五感に対応したニューメディア機器に挑戦したり、目下はゲーム感覚で楽しんでいただけるような機器の開発を進めています。  人間はテクノロジーに、テクノロジーは人間に歩み寄る。ITをインテグレートして、人がつき合いやすいインターフェースづくりのお役に立てればと思っています。


ニーズに応える技術力
――もともと金融機関のご出身とか。

土井 といっても在籍中はずーっと情報システムの仕事をやっていて、昭和60年〜62年の2年間は(財)京都産業情報センターにも研究出向していました。もっと専門的にやりたいという思いに駆られ、63年にこの世界に飛び込んだのです。

――情報システムは企業経営に不可欠なインフラの一つ。SI事業は課題を解決するソリューション活動ともいえますね。

土井 パソコンは情報の入出力、加工、保存・管理をしてくれる優れた道具です。しかし、この道具のもつ多くの可能性を生かすためには、その使い方が大変重要です。時代が変われば経営課題も変わります。パソコンとネットワークの進化によって、さらにシステム開発も多様化するでしょう。ですからお客様自身の問題意識や目標にあったものを検討しなければなりません。サービスの付加価値を高める方向も、より使いやすく、役立つシステムづくりにあると考えています。

――個々の力量が問われてくることになりますね。

土井 社内スタッフは契約社員を含めて約90名。技術力の向上には刺激を受けることが一番です。狭い意味での専門領域の作業に閉じ込もっていては進歩は望めません。仕事のスタイルをジョブからビジネスへ、いろんなプロジェクトに参加して新しいことにどんどんコミットしていく。そのなかで自分がどれだけやれるかを試してみることがスキルアップの近道だと思います。お客様の立場からみれば、プロジェクトを通 してお客様サイドに私どもをコミットさせることが、効果的活用法というわけです。 上海オフィス 現地法人がある中国・上海のオフィスビル

DATA
日本コンピューターファシリティ(株)
代表取締役社長 土井 達也
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E-mail office@we-are-jcf.co.jp
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