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2000 OCTOBER
NO.300
KYOTO MEDIA STATION

インタビュー
経営管理手法と
一貫サポートで
コストを低減

関西メンテナンス    (まさかつ)
新谷氏


総合ビル管理の滑ヨ西メンテナンスは、建物の総合コーディネーターとしての機能発揮をめざし企業グループを形成しておられます。提供するサービスの基本的視点は“メンテナンスからマネジメントへ”。そして昨年9月、念願の上場(大証2部・京証)を果たし、今年7月にはISO9001の認証を全事業所・全業務で取得されました。

遠隔自動監視の草分け
――株式公開の計画はいつ頃から?

関西メンテナンススタッフ新谷 大阪中小企業投資育成鰍フ資本参加を受けて増資をした平成元年からです。我々の業務は、施設・設備の保全からリニューアル、防災、環境衛生、運営コスト管理まで、建物に関する幅広いニーズに対応していますが、世間一般ではまだまだメンテナンス=ビル清掃のイメージが強い。ですから上場することで業界の認知度が高まることにつながれば、というのも理由の一つでした。

――今年がちょうど設立30周年になりますね。

新谷 私は工場のエネルギーセンターに勤務していて高圧電気の管理をしていたのですが、昭和43年、24歳で脱サラして独立し、2年後の45年に法人化しました。当時は、一定規模の受変電設備をもつ施設では有資格者を社員に雇用し、京都府庁でもボイラー技士や電気主任技術者などを職員として配置していました。それが次第に保守管理は外部に委託するようになり、この分野での市場拡大が期待できると考えたからです。

――そして、グループ企業を次々と…。

新谷 メンテナンスの過程では、定期点検、設備管理の保全コストや、改良・修繕、光熱費の運用コストなど、さまざまな費用が発生してきます。こうした建物の「ライフサイクルコスト」を低減するには、建物の企画段階から綿密な調査を行い、その施設にフィットしたメンテナンスシステムを設計する必要があります。そこで昭和49年に設計・施工の専門会社、(株)関西エンジニアリングを設立しました。  また、昭和52年に事業エリア拡大のため地域法人の(株)関西メンテナンス滋賀、平成2年にはメンテナンスの技術と経験をもつ高齢者の人材派遣を目的に、(株)グランマスターズを発足させました。現在、グループ(カンメン・グループ)全体では約600人の従業員がいます。

――オンラインによる監視システムの導入も早かったのですね。

新谷 昭和55年、業界に先駆けて24時間体制のビル設備の遠隔自動制御システム「カンメン24監視システム」を開発しました。例えばポンプに異常が発生すると、ポンプを停止させたり、他のポンプに切り替えるなどのコントロールを遠隔操作でやるわけです。最寄りの営業所から緊急出動もします。その集中管理センター(カンメン24サービスセンター)も当初は一部屋分の設備を要していましたが、いまはパソコン数台のスペースで済むようになり、この間、メーカーさんにはずいぶんご協力をいただきました。

建物の“ヘルスドクター”

――ところで、建物のライフサイクルコストとは?

新谷 鉄筋コンクリートの建物の耐用年数は通常50〜60年。築年数20年を過ぎると老朽化が始まり、建物の維持・保全の生涯コストは建設費の約6倍かかるともいわれています。家のリフォームでも、あれやこれやで思わぬ出費がかさんだということがありますね。建物を維持していくにはそれだけ大きなコストがかかるのです。でも、普段こまめに管理していれば長持ちするし、出費も抑えることができます。  建物と人間のカラダはよく似ています。手入れを怠ると、やがて健康を損ない、それだけコストが余計にかかるし資産価値も下がります。いってみれば、我々の仕事は建物のヘルスドクターだ、と。特にマンションは管理の善しあしで資産価値が左右されるのはご存じのとおりです。


――最近はファシリティーマネジメント(FM)という考え方も注目されていますね。

新谷 FMというのは、企業などが保有する施設を維持する際、経営的視点から総合的に運営する経営管理手法をいいます。施設運営費は人件費に次ぐ大きな経費でありながら、これまでは経営の対象から見逃されてきました。しかしリストラを背景に、施設をたんに保つという従来の考え方から、資産の効率的運用といった戦略的な管理に変わってきつつあります。当社でも、使用エネルギーの省エネシステムを含めたFMを提案させていただいています。もっとも昨今は、お客様のビル管理費用の削減要請が厳しくなって、それに対応していくのがなかなか大変です(笑)。  また、施設に関するトータルサービスということで、食品製造における衛生管理システム・HACCPや工場、医療施設のクリーンルームなど、環境衛生対策についてもサポートしています。

――ISO9001の認証もこのほど取得されましたね。

新谷 我々が提供しているサービスは商品と違って形というものがありません。形のないものをお客様に評価していただくための手段として、今年7月、当社と滑ヨ西メンテナンス滋賀の2社でISO9001を取得しました。それも特定の事業所ということではなく、全事業所(両本社、舞鶴・滋賀・大阪営業所など)の全業務に及んでいるのが自慢です。

シルバー人材あっせんも


――カンメン・グループの事業エリアは?
 さらなる拡大のお考えはありますか。


関西メンテナンスビル新谷 京都、滋賀を中心に、北は福井県、南は淡路島までカバーしています。業種別では、京都府庁や京都大学をはじめとする官公庁、オフィスビル、マンション、店舗ビル、学校、病院、レジャー・スポーツ施設など多種多様です。現在、常駐管理は約80カ所ですが、常駐していなくても事が起きればいつでも出動できる体制を整えています。  今後、建設投資の伸び率は年2%程度にとどまるだろうと予測されています。しかも、需要の伸びのほとんどは首都圏といわれ、魅力ある市場であることは確かです。投資家の方などからは、進出するとなれば“関西”という社名はどうする、という気の早い話も出ていますが…(笑)。

――I Tの活用法についてはいかがですか。

新谷 この業界の経営資源はなんといってもマンパワーです。高齢社会への貢献という観点から、子会社の(株)グランマスターズを主体にリタイアされた業界経験者をインターネットで募って、日常発生するお客様のちょっとしたニーズに橋渡しをする。そんなシルバー人材あっせんのヒューマンネットワークが実現できれば、と思っています。

DATA
(株)関西メンテナンス
代表取締役 (まさかつ)
住所 〒600-8387 京都市下京区大宮通高辻下る高辻大宮町113-6
TEL 075-841-7550
FAX 075-811-7130
E-mail mail@kanmen.co.jp
URL http://www.kanmen.co.jp/

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