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2000 MARCH
NO.293
KYOTO MEDIA STATION

インタビュー
本番を迎えた
ネット戦略の
パートナーとして
株式会社 エクザム
木下 豊 氏
角田 宝一氏


インターネットでビジネスを行うことが普通になってきた今日、(株)エクザムの掲げるキャッチフレーズは「e革命―備えあれば憂いなし」。インターネットならではのツールを駆使して“売れる仕組みづくり”を提案するとともに、ネット戦略のトータルサポートに取り組んでおられます。

事業は時勢とともに
――インターネット戦略が企業経営を左右する時代になったという認識が広がりつつありますね。

木下 ネット関連記事が新聞紙上を連日にぎわせていますが、国などの調査では、2003年にはEC(電子商取引)のBtoC(消費者向け)が3兆円、BtoB(企業間)は60〜70兆円になると推定されています。ネット直販に名乗りをあげた大手家電メーカーも現れるなど、資材の受発注から販売チャネルまで、従来のビジネスプロセスはガラリと変わってくるでしょう。

――インターネット関連のビジネスを立ち上げたきっかけは?

社内イメージ木下 父の代から事業も社名も、そのときの時勢にあわせて変えてきました。海運会社で海外航路に従事していた父が40年前、経済の高度成長を見越して運送業(木下運送)を興し、モータリゼーションの時代がやってくるとガソリンスタンド(木下石油)を手がけ、今度は住まいだということで、マンション経営(木下ホーム)も始め、そして現在は私がこの仕事をメインにやっているわけです。
私も父の血を受け継いだのか、米国留学後、設備工事会社に勤め、シンガポールのチャンギ国際空港建設のプロジェクトを振り出しに海外の仕事を渡り歩いてきました。インターネットと出合ったのは5年前、シンガポールの友人のアドバイスもあって、いまからの事業はこれだと思いました。“だれかインターネットができる者はいるか”と周囲に声をかけたところ、経営しているワンルームマンションにいた中国からの留学生が“やってみたい”というので、彼をパートナーに2人でスタートしました。

――それで社名を「エクザム」(ekzm)にされたと聞きますが、何かいわれがあるのですか。

木下 家の宗派が天台宗なんです。経典では円(円教)・戒(戒律)・禅(座禅)・密(密教)の4宗一致の教えを説いているものですから、その4つのイニシャルをとってつけました。語呂合わせで「ええ(e)ことは木下(k)に全部(z)任せろ(m)、という意味だ」と勝手にいってますけど…(笑)。

成功サイトにみる“秘訣”
――「ホームページ制作」と「ソフト開発」ということですが、具体的には?

木下 単なるホームページをつくるだけの仕事は、いまはやっていません。Webサイト構築のための機器の手配から組み立て、LANの設定まで、インフラにかかるものはすべて対応していますし、ネット販売をされるのならこういう戦略で取り組まれてはどうですか、という提案をさせていただいています。ホームページはあくまでそのためのツールの一つにすぎません。  また、電子メールやホームページを自由に使える社内システムのメールサーバレンタルなどもやっています。

――それで顧客企業におけるネット販売の実績はいかがですか。

木下 ブランド洋陶器・ガラス食器の輸入販売会社の例でいえば、オンラインショップの権威ある国内ランキングで、直近では第4位に入っています。ここにきてサイトの顧客が急速に増えたものですから、実店舗の顧客ともダブリが出て“お店での会員番号はサイトでも使えるのですか”とか、“サイトのポイント制度はお店で通用するのですか”といった問いに合わせが結構多い。そこで店舗、サイトでそれぞれやっているポイント制度など販促のツールを統一させることにしました。

――オンラインビジネスとしての成果を生み出す秘訣は何でしょうか。

木下 私どものサーバーに顧客情報はすべて吸い上げています。流通業界のPOS情報と同じ仕組みで、それをマーケティングに生かしていくことです。あるブランドで新しい商品が出たら、過去にそのブランド商品を買われたお客様だけにメールを出したほうが販促効果は高くなる。つまり、特定の顧客に絞ったピンポイントのマーケティングを行うわけです。
それから実店舗のほうでチラシを定期的に打っていますが、チラシには必ず“ホームページもご覧になりましたか”と入れます。印刷媒体とネットの両方でやるからうまくいくんです。いまや米国のテレビCMではホームページのアドレスだけを流している企業も登場しています。そのホームページもデザインがいくら優れていても、売れなければ何にもなりません。我々の仕事は、サイトの開発運営を中心とした販売のコンサルテーションだと考えています。

経営トップの熱意が前提
――サイトのフォローアップも大変ですね。

木下 常時5、6社から仕事を請け負い、チームを組んでサイトをアップデートしたり、顧客からの毎日のメールにも対応しています。ネットショッピングは夜11時〜3時の時間帯が多く、深夜、顧客企業になり代わって対応するのですから、なによりも信頼関係が第一になります。ですから、経営トップの方と直接話をさせていただき、ネットビジネスに対する理解や熱意をお聞きすることにしています。そして、どのような目的のために展開するのかが明確でないと事業の成功は望めません。
社内スタッフはプランニング、プログラム、デザインなどを含め15名、ほかに外部にもいますが、この種の仕事は場所を選ばずで、「今日は会社に行けません」といって家で仕事をする者もいます。私自身も従来のような会社組織を前提にした運営は考えていませんし、社内スタッフのスケジュール管理はすべてインターネットでやっています。人材についても留学生OBをはじめ多士済々だと自負しています。

――「ドッグイヤー」という言葉がありますが、社会は驚くべきスピードで変わっていきそうですね。

木下 ネット販売というのはインターネットの優れた機能のごく一部にすぎません。毎朝、メールをチェックしなければ1日が始まらないように、「e革命」はライフスタイルや社会の構造までも変えていくでしょう。
最近は大手企業からも“ちょっと話を聞きたい”と声をかけていただけるようになりました。海外からジョイントビジネスの話も飛び込んできていますが、現時点ではそこまでは…。今年はいくつか大きなプロジェクトを手がける予定です。

DATA
(株)エクザム
代表取締役木下 豊
住所〒604-8441 京都市中京区西ノ京西中合町29
TEL075-811-0300
FAX075-803-2303
URLhttp://www.ekzm.co.jp
E-mailyutaka@ekzm.co.jp

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