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2000 FEBRUARY
NO.292
KYOTO MEDIA STATION

インタビュー
時代のニーズに
より的確に
より柔軟に応えて


昭和機械 株式会社
代表取締役 角田 宝一氏
角田 宝一氏


万博が開かれた1970年に創業した昭和機械(株)は、「良い製品を早く安く」を経営理念に掲げ機械設計からパーツ製造、組み立て、設備メンテナンスまでユーザーの各種仕様に柔軟に対応し、実績を培ってこられました。その対応力と技術力をベースにして時代の動向を見据えながら、自社の強みを絞り新たな市場の開拓をめざしておられます。

3拠点(本社・甲府・宇都宮)体制で
――創業以来、家電のトップ企業とのパートナー関係を築いてこられましたね。

角田 現在はプリント基板に電子部品を装着するロボットのOEM生産をメインに、家電製品などのキーデバイス製造設備や組み立てラインの設計・製造とメンテナンスを行なっており、松下電器さんの電子部品実装システムは私どもが一貫して生産させていただいています。
 その関係から甲府、宇都宮にも工場を配置し、甲府工場は電子部品装着ロボットの専用工場、本社と宇都宮工場はその他加工設備と設計を受け持っています。

――そのなかで技術面でのセールスポイントは?

ショックレスレールユニット角田 ユーザーの要望には可能な限り対応させていただいていますが、最近、独自に開発したものとして蛍光灯製造ラインの「ショックレス レールユニット」があります。これはガラス・金属管の搬送台の騒音を大幅カットしたうえ、製品を接触させないため破損やキズの発生もなく、落差を利用して搬送するので動力がかかりませんから省エネにもなるということで、特許を出願中です。これまでにも私どもが提案して松下電器さんと共同で開発したものはいくつかありますが、自社製品として売り出すのは今回が初めてです。
 また、平成2年には本社工場が京都府の中小企業モデル工場に選ばれ、いまも継続して指定工場になっています。

――技術開発についてはどのような体制で取り組んでおられるのですか。

角田 社内には、松下電器に在籍当時から懇意にしていただいた3名の同社OBの方がいて、技術面でいろいろアドバイスを受けているほか、パートナー関係にあるハードとソフトの設計関連2社のスタッフも当社に事務所を設けて常駐しています。形態としてはいわゆるアウトソーシングなんですが、同時に外からの風を入れて社員ともお互いに競い合うことで、技術力をさらにアップさせようというねらいからです。
 さらに社員を適宜、松下電器グループの工場へ一定期間派遣して技術を習得させています。

“後工程はお客様”
――昨年、創業者である現会長の後を継いで社長に就任されましたが、一貫してマシンの製造に携わってこられたのですか。

角田 もとは営業畑で、松下さんで2年間、会社や事業の仕組みを勉強させていただいたあと、当社に入りました。その最初の仕事が甲府工場の立ち上げ(平成元年に事業所から工場へ拡大)でした。用地の取得から工場の建設まで、人事も工場長以外は現地採用することになったのですが、その頃たまたま甲府市郊外に工場を構えていたベンチャー企業が倒産したのです。しかも同じロボットを生産していたので、そこの社員も引っ張るなど、うまく立ち上げることができました。
 その甲府工場では現在、ISO9002(製造・検査・出荷のシステム)への対応を進めており、今年中には認証取得の見通しです、このほか品質保証では、平成7年にEC(当時)の安全規格をクリアして欧州市場への輸出も認定され、毎年、ISOに準じた監査を受けています。

――社長就任後、当面の経営方針を打ち出されたとか。それはどのようなものですか。

角田 一言でいえば競争力強化のための経営の再構築を考えています。いま取り組んでいる事業が時代のニーズに適合しているかどうかを再確認したいと考えました。それは数字的な目標もさることながら、お客様に喜ばれるモノづくりに徹するということです。
 そのためには、社内の全活動を顧客満足につながるものという観点から磨きをかける必要がある。加工一組み立て一制御の製造ラインをはじめ、昔から工場でいわれていた“後工程はお客様”の考え方を徹底させ、各人が社内顧客である後工程のことを考えて仕事をすれば、結果的に本当の顧客満足につながっていくはずです。
 また、事業体質の強化では昨年からコストダウン対策の一環として台湾、マレーシアなどから部品の調達を始めました。

――明日の活力となる新人の採用はどうなっていますか。

角田 社員100人程度の会社ですけど、今春は12名の高卒が入社します。正直いって社内では反対の声もありましたが、大企業が極端に採用を手控えているだけにチャンスと思って大量採用に踏み切りました。なかには数年前までは考えられなかったような優秀な生徒もいます。毎年、地元の府立高校機械科の生徒を体験学習で受け入れたり、工業高校の先生方とのパイプもありますのでスムーズに採用することができました。

新市場も視野に入れて
――今年でちょうど節目の創業30周年を迎えますね。

吉村 賢 氏角田 社員の平均年齢が34歳、うち甲府工場はそれよりずーっと若くなっています。創業時からのスタッフとフレッシュな人材との組み合わせで、世代間のバラツキは多少あるものの、組織体制はほぼ固まってきたように思います。
 ただ、本社、甲府、宇都宮の3拠点体制ですので、全社員が一堂に会する機会がありません。20周年のときはバブルの絶頂期でしたから全員でハワイへ、25周年には北海道へ旅行しました。今回もそのような企画を考えていますが、トップダウンということではなく、若い社員が中心になってプランを練り、盛り上げてもらうつもりです。

――さきの経営方針を受けて、当面の戦略課題についてはどうお考えですか。

角田 お客様のすそ野を広げていくことが課題だととらえています。それを実現していくには得意分野の技術をさらに強化し、提案型の仕事を増やしていかねばならない。既存のお引取先と競合しない分野で、いま一番注目しているのは医療機器です。すでに一部で受注を始めていますし、このほか構想の域をまだ出ていませんが、バイオ関連の設備部門にも進出したいと考えています。

DATA
昭和機械(株)
代表取締役 角田 宝一
住所〒613-0022 京都府久世郡久御山町大字市田小字新珠城68
TEL0774-44-6555
FAX0774-44-6755
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