1999 OCTOBER
NO.288
KYOTO MEDIA STATION

特集
社内情報をどう活用するか

進化する情報活用手法

●「情報」から「知識」へ

企業内に蓄積される情報の中には、形式化された報告や統計的な数値、マニュアルなどのように、それを見れば誰もが認識し実践できるようなものだけでなく、形式的に記録することが難しく、内容を一読しただけでは業務に役立てることができないものもあります。そこで、このような情報を特に「知識」として認識し、経営資源として活用していこうというのが「ナレッジマネジメント(知的資産活用経営)」です。
この場合の「知識」とは、出版物などから得られるような情報やデータとして誰もが簡単に共有できるような情報ではありません。それぞれの企業が独自に蓄積してきた業務上のノウハウや人脈などを含む「知識」は、「人・物・金・情報」に続く経営資源であり、これこそが企業のコア・コンピタンス(中核になる競争力)業務改革の原動力となりうるものだというのがナレッジマネジメントの考え方です。知識の共有は情報の共有よりも難しく、技術や設備といったハード面だけではなく、知識を集めて社内全体で活用するための体制づくりといったソフト面においても、さまざまな取り組みが行われています。

●ニーズの多様化に向けて
一方、企業や小売店が消費者ニーズの多様化に対応するための手法としては、「データウエアハウス」に注目が集まっています。これは、大量のデータを保存しておく倉庫(ウエアハウス)という意味で、さまざまな顧客情報をデータベースに蓄積して分析し、個々の消費者を対象に「ワン・ツー・ワン・マーケティング」を行う際に大きな戦力となるのもとして期待が高まっています。
現在、世界最大のデータウエアハウスを持つ民間企業はアメリカのウォルマートだとみられています。同社は顧客一人ひとりの購買行動を大量のデータとして保存し、その分析結果を経営戦略に活用してきました。例えば、「紙おむつを買う若い男性は、同時に缶ビールをケースごと買う傾向が強い」という分析に基づいて、ビール売場を紙おむつ売り場に近づけるなどの工夫を行い、売り上げ拡大に役立てています。こうした先例を受けて、日本でも百貨店業界や金融業界を中心に取り組みが始まっているところです。

経営環境の変化がますます激しくなる中、日々発生する膨大な社内情報を集めて整理し、経営戦略に生かしていくことは今後ますます重要になってくることは間違いありません。しかし、その目的は大量のデータを機械的に蓄積していくことではなく、あくまでもその分析と活用にあります。今後は中小規模の企業や小売店においてもそれぞれの活用法が検討され、大いに経営に役立てられていくことが期待されます。
(財)京都産業情報センターでは、企業の情報リテラシー向上に役立つパソコン講座の開催やインターネット利用研究会の運営、また、中小企業総合事業団からの受託事業として消費化アドバイザーの派遣などの事業を実施しています。
これから情報化に取り組みたい、または、なかなか成果が出ないという企業の方々は気軽にご相談ください。


ご連絡先 (財)京都産業情報センター TEL 075-315-8677
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