1. 環境ビジネスへの取り組み度 |
約3割の企業が取り組み中または取り組みを検討中 |
回答のあった376事業所のうち、83事業所(22.1%)が環境ビジネスに取り組んでいる。取り組み予定があるのは31事業所(8.2%)、取り組んでいないのは262事業所(69.7%)となった。取り組んでいる事業所と取り組み予定の事業所を合わせて、約3割の事業所が環境ビジネスに事業機会を求めているという姿が浮かび上がる。
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2. 環境ビジネスの取り組み形態 |
事業部門単位での対応が過半数を占める |
回答のあった114事業所のうち「一事業部門で実施あるいは検討中」という事業所が70事業所(61.4%)となっており、過半数を占めている。全体的に取り組みが進んできているとはいえ、まだ一事業部門でトライアル的に行っている、あるいは検討しているという状況がうかがえる。「環境ビジネス専業」は11事業所(9.6%)。「子会社事業所等に分離して実施あるいは検討中」というところは5事業所(4.4%)と少なく、分社化はそれほど進んでいないようである。 |
3. 環境ビジネスの事業分野 |
産廃物関連、リサイクル関連、公害関連などが多く事業部門単位での対応が困難な分野への取り組みは少ない |
最も多かったのは「産業廃棄物の処理あるいは有効活用」42事業所(36.8%)であり、次いで「リサイクル」40事業所(35.1%)、「公害防止・低公害化」34事業所(29.8%)、「省資源・省エネルギー」29事業所(25.4%)と続いている。少なかったものは、「大気浄化」19事業所(16.7%)、「土壌改良」11事業所(9.6%)等で、一事業所では対応が難しい分野に取り組んでいる事業所はそれほど多くないように見受けられる。 |
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4. 環境ビジネスへの取り組み動機 |
企業の社会的責任、時代のニーズとの認識が高まる |
最も多かった回答は「企業の社会的責任と認識した」34事業所(29.8%)であり、企業が近年の環境問題を真摯に受け止め、時代の要請を受け入れていることが推察できる。続いて、「時代のニーズにマッチしている」27事業所(23.7%)と「事業の多角化」16事業所(14.0%)を合わせて見てみると、経営戦略上の一事業部門として環境ビジネスがある程度定着してきていると推定される。
環境ビジネスへの取り組み動機が利益追求型のものでなく、「社会性」を踏まえた「企業の理念」として真剣な受け止め方をしているところが、この回答結果から見てとれる。 |
5. 環境ビジネスの採算性 |
半数近くの企業が軌道に乗せつつあるが、
約1/4の企業はいまだ成長過程に |
23事業所(27.7%)が「一応採算にのっている」としており、「近い将来黒字化見込み」16事業所(19.3%)を合わせて39事業所(47%)が、近い将来を含めて採算がとれるとしている。これに対して「まだ採算にのっていない」が20事業所(24.1%)あり、全体の約1/4が事業として成長過程にあるとみられる。また、「分からない」「採算にのる見込みがない」というところは11事業所(13.3%)あり、採算性の見通しの厳しさを表している。
これらを業種別に見てみると、「一応採算にのっている」や「近い将来黒字化見込み」といった事業所の占める割合は、一般機械器具や精密機械器具が他の業種より比較的高い値を示している。一方、「まだ採算にのっていない」が多かったのは電気機械器具だった。「採算にのる見込みがない」とする業種は電気機械器具、石油製品等およびその他非製造業業種にそれぞれ1件と少数ではあるが存在する。「わからない」とする事業所は電気機械器具に3事業所のほか6業種に1事業所ずつ分布していた。
また、取り組み予定の環境ビジネスの採算性について「わからない」と答えた事業所は、回答31事業所のうち半数以上の17事業所(54.8%)に及び、すでに取り組んでいる事業についての回答にくらべてはるかに多かった。さらに、1〜5年で採算がとれる見込みとする事業所は7事業所(22.6%)と全体の1/4にも満たず、新規事業計画立案の難しさを表している。計画段階で採算性がわからないと計画自体が成立しないため、新たな環境ビジネスへの取り組みに際しては多くの不確定要因を見定め、それを解決するためのさらなる努力が必要とされることがうかがえる。 |
6. 環境ビジネスの売上構成比 |
全体の約半数が「10%未満」だが、“専業”企業ではほとんどが「50%以上」 |
回答企業114事業所に対し、環境ビジネスの売上構成比は「10%未満」が56事業所(49.1%)と最も多く、「10〜30%未満」が21事業所(18.4%)、「30〜50%未満」が7事業所(6.1%)だった。「50%以上」が15事業所(13.2%)と多くなっていることは注目される。
これを事業形態別にみると、「環境ビジネス専業」の11事業所のうち9事業所が売上構成比「50%以上」としており、売り上げ構成の大部分を環境ビジネスが占めているとみられる。これに対し、「環境ビジネスを一事業部門で実施」の70事業所(61.4%)においては43事業所が売上構成比「10%未満」としており、多くの事業所が事業多角化の一環として環境ビジネスに取り組んでいることがうかがえる。
「環境ビジネスを子会社等に分離して実施」の企業は5事業所と少ないが、うち3事業所が「10%未満」、2事業所が「10〜30%未満」となっている。構成比率が大きくなるにつれて事業所数が少なくなるという傾向は「その他」19事業所にもみられる。
環境ビジネス専業以外の事業形態の企業では、環境ビジネスの売上構成比率が10%未満の事業所の占める割合が多い。 |
7. 環境ビジネスへの投資額 |
「5,000万円未満」が約6割を占め、
資本金を超えての投資は少ない傾向にある |
投資額を「1,000万円未満」とする事業所が多く、114事業所のうち43事業所(37.7%)にのぼった。「1,000万円〜5,000万円未満」の27事業所(23.7%)と合わせ、5,000万円以下が6割以上を占めることになる。回答事業所の多くは中小企業であり、そのうち資本金1,000万円〜5,000万円の事業所が6割を占めていることから、資本金を超えての投資は少ないと推測される。
[売上構成比別の環境ビジネスへの投資額]売上構成比「10%未満」の56事業所のうち、投資額「1,000万円未満」の26事業所と「5,000万円未満」の12事業所を合わせて38事業所(67.9%)になり、7割近くが投資額5,000万円以下である。
売上構成比「10〜30%未満」の21事業所において、投資額1,000万円未満は10事業所で、5,000万円未満の6事業所と合わせて16事業所(76.2%)、また、売上構成比「30〜50%未満」とする7事業所において、そのうち5事業所は投資額が5,000万円未満だった。売上構成比「50%以上」とする15事業所のうち、投資額5,000万円未満が8事業所に対して、5,000万円以上の事業所は6事業所あり、そのうち投資額3億円以上が4事業所もある。この層には環境ビジネス専業が多いため、積極的な投資を行っていることがうかがえる。
[資本金別の環境ビジネスへの投資額]中小企業に典型的な資本金「1,000万円〜3,000万円未満」の事業所は49あり、そのうち投資額「1,000万円未満」と投資額「1,000万円〜5,000万円未満」の事業所は合わせて36事業所(73.5%)となる。総じて、資本金5,000万円以下の事業所のうち半数は投資額が1,000万円以下だった。一方、資本金が5,000万円以上になると投資額は1,000万円以上にふくらみ、投資額3億円以上の事業所も5事業所あった。以上から、資本金が大きくなると投資額も大きくなるという傾向が示された。
[年間売上高別の環境ビジネスへの投資額]年間売上高「5,000万円未満」が8事業所あり、以下、「5,000万円〜1億円未満」11営業所、「1億円〜2億円未満」8事業所、「2億円〜5億円未満」18事業所、「5億円〜10億円未満」14事業所と売上高が大きくなるに従って投資額も大きくなる傾向がみられた。さらに売上高「10億円以上」の事業所は55事業所とかなり多く、中には投資額「3億円以上」というところも8事業所あった。 |
8. 資金調達の方法 |
「全て自己資金」とする事業所が49事業所(43.0%)と最も多く、「公的機関からの融資・補助金」が34事業所(29.8%)、「金融機関からの借り入れ」が28事業所(24.6%)と続いている。全体の4割強が全て自己資金で賄うとしており、堅実な資金計画のもとに環境ビジネスに取り組んでいるとみられる。
投資額と資金調達との関係には顕著な相関は見られないが、投資額1,000万円未満の場合には「全て自己資金」や「公的機関からの融資・補助金による調達」が主力となり、投資額1億円以上の場合は「全て自己資金」と「金融機関からの借り入れ」が多くなっている。
取り組み形態別では、すでに環境ビジネスに「取り組んでいる企業」83事業所のうち「全て自己資金」としているのは43事業所(51.8%)だった。一方、「取り組み予定」の31事業所では「公的機関からの融資・補助金」が多く14事業所(42.5%)となっている半面、「全て自己資金」が6事業所(19.4%)と少なく、外部調達をメインに幅広い資金調達を行っている傾向がみられた。
資本金別では、最も多くみられた資本金「1,000万円〜3,000万円未満」の49事業所のうち「全て自己資金」は20事業所(40.8%)だった。また、資本金「1,000万円未満」の事業所では自己資金以外に「公的機関からの融資・補助金」が4割程度を占め、資本金「3,000万円以上」では「金融機関からの借り入れ」「開発パートナーと分担」「投資期間からの資金」なども多くなって調達方法が多様化している。
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