1998 SEPTEMBER
NO.275
KYOTO MEDIA STATION

インタビュー
“好きな仕事で会社に貢献”をモットーに

応用電機(株)
代表取締役 茶屋 勲 氏


短納期で多品種少量生産
――計測・制御から画像処理・メカトロニクスまで幅広い分野を手がけておられますね。

茶屋 計測機器や情報処理機器のOEM(相手先ブランドによる生産)供給をはじめ、制御機器・検査装置・画像処理システムの設計・製造、医療機器・分析機器の受託生産をさせていただいています。製造工程についてもプリント基板の回路設計から表面実装や、機械設計から板金加工、組み立て配線、検査まで、すべて自社内で一貫生産する体制を整えているのが特徴といえるでしょう。

――各種機器のなかでも伸びている分野は?

茶屋 例えばICの最終工程での品質検査や、携帯電話など移動体通信向け電池の容量計測・検査装置などがそうですね。また、たとえ受託生産であっても、ユーザーから指示されるのは基礎設計だけということが多く、細部は自前で設計していますので独自の技術力が発揮できるという強みもあります。

――高品質化や納期短縮も大きなファクターになってきますね。

茶屋 「速い・美しい・正確」を合言葉に、徹底して短納期化に取り組んできました。外注していては対応できませんから重要工程はすべて内製化しているほか、受注したその日のうちに設計担当者と打ち合わせを行い、電子部品などを即日発注して材料調達期間の短縮を図っています。このため営業はほとんど技術営業ですし、購買と同じ職場に技術者を配置しています。品質システムについては1995年2月、品質保証の国際規格ISO9002を主力の城陽工場の全部門を対象にいち早く取得しました。

グループ経営で総合力を発揮
――会社のあゆみも多品種少量生産の流れと軌を一にしていますね。

茶屋 創業は1960年、22歳のときです。67年に会社を設立して京都・八瀬に本社工場と秋元工場、85年に城陽工場を構え、その後、城陽工場は厚生省から医療機器製造の認定工場に指定されました。そして91年には熊本県菊池郡に熊本工場を建設、これはIC関連企業が九州に相次いで進出しているのに対応するためです。

――それと同時に分社化、グループ経営も。

茶屋 その間、京都・下京区にあった仕入れ担当部門を電子部品商社として独立させ、城陽市内のプリント基板実装工場、板金加工工場をそれぞれ分社化しました。さらに昨年、大阪府高槻市内の医薬品・化学薬品・食品向け自動ラベラーのメーカーに傘下に加わっていただき、お互いに持ち味を生かした総合力によってさまざまなニーズに対応が可能になりました。

――従業員の配置、各工場の分担はどうなっていますか。

茶屋 従業員はグループ総勢360名、うち本体は280名です。
本体の八瀬の2工場(計50名)は機械の配線が専門で、城陽工場(200名)は計測機器・医療機器・画像処理、熊本工場(30名)は半導体製造装置などを担当しています。

――多品種というのは、実際どのくらいに及んでいるのですか。

茶屋 なかには類似したものもありますが、常時2,000〜3,000品種に上る製品を並行して生産しています。そのために少人数グループ制を採用して柔軟に対応できる体制をとる一方、工場内では表面実装装置やIC自動挿入機、インサーキットテスターなど最新鋭の自動化製造ラインを導入しています。

能力主義賃金へ移行
――となると、当然ながら人材面の対応も欠かせませんね。採用状況はいかがですか。

茶屋 例年、大卒を7〜8名採ってきました。しかし来春の新規採用は、学生の会社訪問もずいぶんありましたが、いまのところゼロの予定です。

――それはどうしてですか。

茶屋 ご承知のように今日、大企業ですら定期採用して終身雇用という時代ではなくなりました。私ども中小企業はなおさらのことでしょう。その代わり、いわゆるスペシャリストを5〜6名、通年採用しています。大方は大企業からのスピンアウトで、現在の役職者はほとんどといっていいほどそうした中途入社組です。

――従業員の指導育成はどのように?

茶屋 嫌いなことをしてもいい仕事はできません。ですから、社員には「好きな仕事をやって会社に貢献しよう」と。幸い幅広い分野を扱っているので、職場の選択は本人に任せ、そこで能力を発揮してもらう。高校野球でも、野球が好きで甲子園に出たいという選手が集まってこそ強くなれるのと同じです。もちろん“オール5”の人材にこしたことはないのですが、これからの企業社会は米国式、数学が好きなら数学を勉強して専門領域を持ち、成果をあげてくださいというのが狙いです。

――いってみれば実力主義、待遇の方法も検討が必要になりますね。

茶屋 パートさんの場合なら時間=マネーでいいかもしれませんが、なんとか能力・仕事=マネーの形にしていきたいと大手シンクタンク機関に委託しているところです。中小企業だから休日が少なく、給料も安いというままでは会社の発展は望めません。どれだけ成果をあげたら、どれだけ報酬を得られるのか、シンクタンクと従業員によるディスカッションを通して人事体系も含めたルールづくりを進めています。

――やりたいことをやる、という社風は定着してきていますか。

茶屋 大企業に先がけて社内ではお互いに「さん」付けで呼んでいます。部長とか課長とか役職名で呼ぶと、どうしても上下意識が脱けきれず、部下が好きなことができませんから。近年は大企業でもそうした傾向が出てきているので、“先見の明”を社員に自慢しています(笑)。

DATA
応用電機(株)
代表取締役社長茶屋 勲
住 所〒610-0101 京都府城陽市平川中道表63-1
TEL0774(52)0001
FAX0774(55)5353
E-mailchaya@oyo-electric.co.jp
URLhttp://www.oyo-electric.co.jp

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