1998 JANUARY
NO.267
KYOTO MEDIA STATION

(財)京都産業情報センター設立20周年記念事業委員会委員長
(株)村田製作所 代表取締役社長
村田 泰隆 氏 インタビュー

昭和53年12月に設立された(財)京都産業情報センターは、本年で設立20周年を迎えます。産業構造の変革が急速に進む中、マルチメディア化、インターネットの普及など情報技術面の発展は特にめざましく、当センターでは平成7年に策定した「21世紀に向けた京都産業情報センター事業計画」(略称:ACT21)をもとに、京都産業の情報基地として充実した事業展開を図る一方、設立20周年記念事業の検討を進めるなかで、将来事業の検討も併せ行っております。
そこで、設立20周年記念事業委員会の村田泰隆委員長((株)村田製作所 代表取締役社長)に、その意義と方向についてお話を伺いました。

――昨年10月に委員会が発足、これまでの議論で事業の基本コンセプトはほぼ固まりつつあるとお聞きしていますが…。

村田委員長 記念事業を単なるイベントに終わらせるのではなく、センターの現状と将来を見据えた課題を総合的に踏まえ、事業活動をより活発化させ、会員企業が増大し、しかもお互いに多くのメリットがある――そんな方向へもっていくための契機となるような記念事業にしたいと考えています。
例えば会員企業の構成比をみると、少しずつウエートが下がってきているとはいえ、製造業が全体の62%を占めています。ということは、センターに対する製造業サイドのニーズを探り、それに応えるための有効な事業を検討する必要があるでしょう。情報技術の活用においても考慮すべきことだと思います。
案の段階ですが、記念事業の基本コンセプトは「サイバーキャピタル京都を目指して」。そこには、京都が情報発信の一大基地になって欲しいという願いが込められています。「産業・経済をキーワードにすべきでは」との意見もあり、より直接的なテーマをメインタイトルにし、補足説明などもつけて広く理解を深めていただこうと思っています。

――具体的にはどのような事業を計画されているのですか。

村田委員長 最先端のマルチメディア、情報ネットワークの事例を体感していただくために海外視察を計画しようという意見もあります。候補地はソフト産業の集積地である米国のシリコンアレー(ニューヨーク)や、発展しつつあるシンガポール、マレーシアなどを検討中ですが、そうした名だたる情報産業の“メッカ”のみにこだわらず、地方の都市にありながら情報通信技術を活用してビジネスを展開している事例を見るのもいいのではないかと思っています。
時期は9月頃、会員企業から参加者を募って15名程度の視察団を組織したい。せっかくの機会ですから見学するだけでなく、視察先の機関と友好関係を結んで定期的に情報交換を行い、事業支援・協力など具体的な動きにまで交流を発展させなければ実施する意義に乏しいので、実施するかどうかも含めて委員会で検討中です。

――ビジネスにおけるインターネットの利用はますます広がりを見せていますが、記念事業の中にはどのように取り込んでいかれるのでしょうか。

村田委員長 「インターネットマルチ会場大会」(仮称)の実施を検討しています。優れたホームページを全国から、あるいは京都府内からに絞り込んで募り、応募作品を20周年記念ホームページに掲載して一般投票で選考する「ホームページコンテスト」、また、学生や社会人を対象にビジネスプランをインターネットで募集する企画も出されています。どちらを実施するにしても、大会当日のプレゼンテーションと審査委員による最終選考の様子を、京都府の北部・京都市内・南部の各地に設けた会場にインターネットで発信すれば大いに盛り上がるのではないでしょうか。
PRツールとしてセンターのパンフレットの更新やポスターの作成を考えていますが、これも会員企業による企画コンペでやろうと思っています。

――最終的にはいつ頃、正式に内容が決まるのですか。

村田委員長 今後、各委員と事務局との間でEメールなどを通じて意見を交換し、3月の委員会で決定する予定です。私自身は、今回の記念事業を次代につなげていくためにも、若い人の心をとらえ、巻き込んでいくことが大切だと思っています。場合によっては、大学との連携についても検討の余地があるのではないかと…。

――記念事業の推進にあたっては会員各位のご理解とご協力が欠かせません。これからのセンターに期待すること、会員企業へのメッセージをお願いします。

村田委員長 センターを構成する会員企業の事業分野や業種の推移にも常に注意を払い、それにふさわしく満足いただける情報を提供することや、大手、地場企業を横断する京都企業間の情報交換機能のより一層の強化に取り組んでいただきたい。その意味で、センターからの一方通行ではなく情報をフィードバックさせたり、地域的には府北部・南部への積極的なアプローチが必要だと思います。
会員企業にはセンターの事業にこれまで以上に関心を持っていただき、情報を活用していただくのはもちろん、逆に情報提供、またはご意見などをどんどん出していただくことに尽きると思います。そうすることが、センターを核とした京都産業のネットワークの拡大と充実につながるのではないでしょうか。20周年という大きな節目を迎え、記念事業がさらなる事業展開の一端なりとも担えればと考えています。


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