1998 JANUARY
NO.267
KYOTO MEDIA STATION

新春のごあいさつ
(財)京都産業情報センター 理事長 
立 石 義 雄

新年おめでとうございます。会員各位におかれましては、京都産業情報センターの事業に関しまして、日頃何かとご協力をいただきましてありがとうございます。

さて昨年後半は、金融業界において激震とも言うべき大きな事件が相次いでおき、今年もさらに厳しい経済状況で推移して行くと予想されます。新しい年を迎えて、景気の回復を願いたいものですが、日本経済の構造改革が成功するためにはまだまだ時間がかかると覚悟をきめて対応していかねばならないようです。

そのような厳しい環境のなかで、昨年末に「地球温暖化防止京都会議」が開催され、温室効果ガスの抑制に対してそれぞれの国ごとに1990年比で2008年〜2012年における排出量の目標値が設定されました。10日間の会期を延長して非常な困難の中で、ともかく議定書が採択されたことは、開催国としてまた開催府として喜ばしいことと思います。
京都産業情報センターは、この会議の状況をインターネットでリアルタイム中継するプロジェクト、「地球温暖化防止京都会議情報支援実行委員会」の事務局を担当しました。国際会議の状況が、パルスプラザで同時期に開催された「ECO JAPAN'97」の大型スクリーンに写し出され、またインターネットに接続された世界中のパソコンからも会議の状況が、リアルオーディオ・ビデオで見ることができるなど従来にない新しい試みで、11日間で47万件のアクセスがあり大成功だったようです。
このような情報通信技術とコンピュータ技術の融合(総称してIT技術と呼ぶ)は、経済活動のグローバル化とともに、極めて大きな役割を演じつつあります。インターネットにより世界中に張り巡らされた、WWW(ワールド・ワイド・ウェッブ)と呼ばれるコンピュータによる通信網が、個人あるいは企業間の情報交換を一瞬のうちに実現します。ビジネスのスピードが数年前と比較して何倍も加速されていることを実感します。
京都産業情報センターは、製造業はもちろん、小売商業も含む幅広い京都の産業界に、情報提供・情報化支援を行っておりますが、その一環として行っているインターネット利用推進事業において、平成9年12月現在で、情報発信会員439社、ダイアルアップ会員248社、インターネット利用研究会員291社に達しております。このような事業をもっと充実させ、大競争時代を勝ち抜く中小企業を支援したいと考えています。

エネルギー・環境問題に関しましても、京都産業情報センターでは、様々なエネルギー・環境に関する情報提供を行うほか、平成5年度より中小企業事業団から受託して、京都府各地の中小企業へ相談員を派遣し、省エネ相談・省エネ機器の導入促進を行っており、平成9年12月現在で、延相談員訪問企業757社、専門員派遣企業93社を数えます。

京都産業情報センターは、今年12月に設立20周年を迎えます。この件につきましては、村田 泰隆理事(村田製作所社長)を委員長とする「設立20周年記念事業委員会」で、様々な記念事業を始め、将来事業の検討もあわせてご審議を願っております。皆様方のご協力をよろしくお願いする次第です。

私はかねてから、「工業化社会」という古いパラダイムの終焉と、次に来る新しいパラダイムへの移行の時期、言い換えれば、大きな産業構造の転換の時期のただ中に現在はあるように感じております。このような時期は、米国にその先例が見られますように中小企業に成長のチャンスがあるのではないかと思います。
私はIT技術の効果的な活用こそが、このパラダイムシフトに適合する一つのkeyではないかと考えております。
その意味で、設立20周年を契機として、京都産業情報センターが、IT技術の普及において指導的な役割を果たしていけることを願っている次第です。

結びにあたり、皆様方の益々のご繁栄、ご健勝を祈念致しまして、新年のご挨拶と致します。


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