1997 DECEMBER
NO.266
KYOTO MEDIA STATION
特集
環日本海交流への躍動
舞鶴港FAZ施設開業

■新たな産業拠点「舞鶴21ビル」
FAZ事業推進のシンボル施設となるのが、貿易支援センター棟「舞鶴21ビル」と「物流棟」。西港の第4埠頭近くに10月28日オープンした。
事業主体は、京都府と地元舞鶴市のほか大手商社、メーカーなど46企業・団体で組織された第3セクター、(株)舞鶴21(社長=堀田輝雄 大阪商工会議所会頭、伊藤忠商事(株)相談役)。地上8階建て、延べ6,800m2の「舞鶴21ビル」は、斬新なデザインと赤レンガの舗装が調和し、対岸の友好都市・大連(中国)、姉妹都市・ナホトカ(ロシア)と軸線を結ぶなど、環日本海交流をにらんだ外観を構える。
1階には府北部で最大の1,000m2の貸展示場を備え、輸入品の展示即売や商談、貿易関連のイベントなど多目的に利用可能。2階は貸会議室と港を眺めながら料理が楽しめるレストラン。そして、3〜8階は28室のオフィスからなり、現在、府港湾事務所、舞鶴市国際交流コーナー、舞鶴港振興会など貿易関連を中心に21団体・企業が入居。実務面のニーズに対応するとともに、衛星通信用パラボラアンテナベースの設置、光アクセスシステムの導入など情報発信機能も完備している。
同ビルに隣接する「物流棟」は、木材・木製品用のFAZ第1倉庫(2,200m2)と、国内最新鋭のくん蒸設備を持つFAZ第2倉庫(3,300m2)。どちらも作業効率の向上を図った無柱倉庫であり、第1倉庫は木材の保管に重要な通気性を確保、第2倉庫は穀物、生鮮食品などの虫よけ用に使われ、貿易拠点としての物流機能は大幅に充実した。
敷地内は、オフィスビルと倉庫の間に駐車場やトラックヤードを並列に設けたシンプルで機能的な配置になっており、「輸入品の保管、荷さばき、展示、物流、情報提供が1カ所でできる体制がこれで整った。港湾整備というハード面だけでなく、展示イベントの運営など啓発、PRを含めたソフト面でもバックアップしていきたい」と(株)舞鶴21の 畑保夫専務は意欲を燃やしている。


 拠点拡大を見据えつつFAZ設備を管理
 (株)関西メンテナンス 常務取締役営業本部長 木内 義忠
舞鶴21ビルは、照明やエレベーターがICカードと連動して自動点灯するなど最新の省エネ設計になっており、技術力によって設備の機能を最大限発揮できるよう、地球にやさしいメンテナンスを心がけています。また、当社は府北部地域での業務を開始して20年以上になり、今回、FAZ施設の円滑な運営と併せて舞鶴営業所を拡充し、福井、兵庫北部など近隣地域への営業拠点とするため、舞鶴21ビルに入居させていただきました。
かつて舞鶴は京阪神地域から離れた所というイメージがありましたが、来春には近畿自動車道が延伸、京都縦貫自動車道の工事も急ピッチで進んでおり、現在では京阪神のどの地域からも2時間以内で来られるようになりました。舞鶴港、とれとれセンターなどの夜景を眺めると、改めて舞鶴港が発展しつつあることが感じられます。将来的には、入居されている企業などと異業種交流を図って助言や情報をいただき、機会があれば東アジア地域、特に経済発展がめざましい中国、ロシア方面への進出を図っていければと思っています。

 対岸貿易を促進する環境づくりに期待
 (株)エナミ精機 代表取締役社長 江波 俊明
当社は金属塑性加工法の研究及び工法の開発、金属接合技術の開発、精密プレス金型の製作などを手がけ、1983年にアメリカに製品を輸出したのを皮切りに、韓国、イギリス、ブラジル、香港、中国、インドなどに設備を送り出してきました。現在では売上高の輸出比率は70%強。しかしながら、50tを超える機械設備を取り扱うだけの港湾設備や関係業者が舞鶴港にはまだないため、神戸港や大阪南港を利用しているというのが現状です。
また当社は舞鶴市の平工業団地に進出して7年余りになりますが、工場建設の約2年前から現地採用の体制をつくり、新卒あるいはUターンの優秀な人材を募りながら社内の若返りを図ってきました。舞鶴港の整備も着々と進み、この度貿易支援施設が新たに誕生。韓国、中国方面への輸出が増えている当社としても、環境さえ整えば大いに利用したいと期待しています。他港との競争に勝つために必要なのは、製造業における“品質、納期、コスト”にあたる“丁寧、迅速、低コスト”という条件を揃えることではないでしょうか。舞鶴港の大いなる発展を祈念いたします。

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