1997 NOVEMBER
NO.265
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.20/第4回
京都府グリーンベンチャー研究交流会 代表幹事
(財)京都産業情報センター 理事
(株)サムコ インターナショナル研究所 代表取締役
辻 理 氏
シリーズ5回で掲載する予定です

設問4―公的研究機関も含めた産官学の連携について、グリーンベンチャー研究交流会ではどのように位置づけておられますか。

京都大学大学院(工学研究科)をはじめ、京都工芸繊維大学(地域共同研究センター/環境科学センター)や立命館大学、この他の研究機関では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)などにオブザーバー会員になっていただいている。大学についてはどこまで協力してもらえるかということにもよるが、我々企業サイドとしては大きな期待を寄せている。
環境破壊の因果関係は正直いってまだまだ解明されていない点が多い。それに取り組むには高度な専門知識と時間を要する。つまり、基礎研究の面で大学や研究機関が担う役割は大きいということだ。「研究開発」という言葉がよく使われるが、研究というのはリサーチで基礎を深くやる。これに対して開発はデベロプメント、その研究成果を製品という形で具現化することだ。従来、日本の企業は欧米の基礎技術をもとに、実用化につながる応用研究が主体だった。だが、欧米企業が知的所有権の保護を強化しつつあるなかで、日本も基礎研究に真剣に取り組まなくてはならなくなってきた。とはいえ、企業にとっては即、実用化に結びつくとは限らない基礎研究はリスクも大きい。大学がその受け皿ということではなく、今日、企業と大学との接点はいろんな形であってしかるべきだと思う。
当社が開発した特定フロンの無公害化技術も、RITEの支援を受け、3年がかりで取り組んできた成果だ。また一方で、企業が独自に開発したとしても、しかるべき第三者の正しい評価が得られなければ、それはたんなる自己満足だけに終わってしまう。
大学と企業との間には“温度差”があるかもしれない。もし、そうであるならば研究テーマの重要性、社会的意味を大学側に認識してもらうことこそ、経営者の手腕といえるだろう。環境分野に限らず、大学での新しい研究を社会に還元するシステムは今後ますます必要になってくるだろうし、大学や研究機関との連携交流いかんが企業発展のキーポイントになることは確かだ。

京都府グリーンベンチャー研究交流会ホームページ URL http://www.joho-kyoto.or.jp/〜green-v/

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