1997 OCTOBER
NO.264
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.19/第3回
京都府グリーンベンチャー研究交流会 代表幹事
(財)京都産業情報センター 理事
(株)サムコ インターナショナル研究所 代表取締役
辻 理 氏
シリーズ5回で掲載する予定です

政府が策定した「経済構造の変革と創造のためのプログラム」でも、エコビジネスには大きな伸びが期待されています。こうした市場予測を考えると、ベンチャービジネスとの接点は無数にあるといえますね。

エコビジネスの市場規模は現在、一説によると15兆円、それが2010年には35兆円に拡大するといわれている。対象分野へのモノ差しのあて方で数字は多少変わってくるものの、21世紀のビッグビジネスに成長することは間違いないだろう。
ベンチャービジネスはなにも情報通信とかエレクトロニクスだけに限らない。環境を切り口にすると実にたくさんのビジネスの芽がある。かつて、化学肥料を使わないミミズによる土壌改良が話題になったが、これなどはエコロジーを先取りしたケースといえる。最近では食用油の廃油を軽油にして再利用しようという技術が開発され、コスト的にも実用段階にきているようだ。
当社でもこのほど、オゾン層を破壊する特定フロンの無公害化技術に関する基本特許を米国で取得した。特定フロンと炭化水素類を低温プラズマの中で反応させ、高分子材料・フィルムとして回収するもので、フロンのリサイクルになるうえ、消費エネルギーも従来の熱分解法の数十分の1で済む。また、ペットボトルの表面に特殊材料をコーティングすることで、耐熱性を高め、傷もつかないので何度も使えるリターナブルのボトルをすでに開発している。このように、ちょっと視点を変えればビジネスシーズはどこにでもあり、むしろ環境保全というキーワードはベンチャー企業にとって最もターゲットになる分野ではないかと思う。
それにはまず、既存の技術や商品を見直していただきたい。案外、その中に社会のニーズに応えるアイデアが見逃されているかもしれない。グリーンベンチャー研究交流会では、メンバー企業それぞれが持っている技術を補完し合いながら新規事業を模索している。それは異業種交流というより、面白いアイデアと斬新な技術の開発に向けた“専門家交流”といった趣が強い。
ただ、技術は1つの手段にすぎず、いってみれば個々の企業レベルでも対応できる。それを事業化に結びつけていくためには、資金調達や市場へのアプローチを含めてなんらかの支援システムが必要になってくるだろう。

京都府グリーンベンチャー研究交流会ホームページ URL http://www.joho-kyoto.or.jp/〜green-v/

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