1997 SEPTEMBER
NO.263
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.18/第2回
京都府グリーンベンチャー研究交流会 代表幹事
(財)京都産業情報センター 理事
(株)サムコ インターナショナル研究所 代表取締役
辻 理 氏
シリーズ4回で掲載する予定です

設問2−地球温暖化防止京都会議を契機に、京都では環境関連産業を新しい地場産業にという機運が高まりつつあるようですが……。

従来、環境ビジネスといえば、公害防止装置とか廃棄物処理などの直接的な関連企業が連想されてきた。しかし、今日いわれている「エコビジネス」というのは、さらに幅広い市場がターゲットで、そのための新技術・機器の開発は大企業だけがやればいいというものではない。経済システムや生活そのものを自然と共生できるような、環境への負荷が少ない形へと変えていくには、産業構造の転換にもかかわってくる。となると、中小企業もベンチャー企業もそれなりに負うべき役割があるはずだ。
今年4月、我々は京都府の呼びかけのもと、京都府グリーンベンチャー研究交流会(京都府地球環境創造企業等研究交流会)を旗揚げした。現在54社が参加しているが、新エネルギー、省エネルギー、環境計測技術、環境保全技術、リサイクル、廃棄物・廃水処理などの各分野、また製造業だけでなくコンサルティング会社も加わり、メンバーは多岐にわたっているのが特徴だ。会員間交流による情報交換や、京都大学をはじめとする大学、研究機関との連携を通して技術開発に取り組んでいる。
もともと京都は、環境計測・分析機器や太陽電池などを手がけている有力大手から中小企業まで、環境関連企業が集積した土地柄だ。盆地の地形は重厚長大には向かず、おのずと高付加価値を追求するハイテク型企業を輩出する素地があった。歴史的にも伝統産業にみられるように、伝統を守る一方で、絶えず最高の技術を高めていくという進取の気質にあふれている。そうした土壌を考えると、環境問題こそ率先して取り組むべきテーマだといえるし、京都にとってエコビジネスは産業の大きな柱になる可能性を秘めているのではないか。
環境問題をビジネスチャンスととらえて、参入をうかがう企業も多い。エコビジネスといかないまでも、環境への配慮に無関心な企業はこれから取り残されていくだろう。地球温暖化防止京都会議は京都企業の取り組み姿勢を内外にアピールするまたとない機会。グリーンベンチャー研究交流会では、期間中に併催される「京都環境技術フェア」に積極的に出展を計画中だ。

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