1997 JULY
NO.261
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.16/第4回
東京インターネット(株) 関西センター長
(財)京都産業情報センター 商業アドバイザー 
古長 勝人 氏
シリーズ4回で掲載する予定です

設問4−ネットワーク化をさらに推進していくために必要な条件や考慮すべき点について、どのようにお考えですか。

現在、インターネットの加入者は全世界で9000万人、日本で750万人といわれ、我が国のネットワークへの参加者層と利用法には、ここ1年で目立った変化が見られた。
ある調査会社によると、「インターネットの接続場所は自宅57%、勤務先29%、学校その他14%、と自宅からの利用者が勤務先利用者を超え、女性の占める割合は10%以上に増加した。年齢では35〜44歳の層が20%にまで急増し、職種別では技術系と学生が主だが営業系と管理系がそれぞれ10%を占めるまでになった」と報告されている。これらのデータは、インターネットが一部のマニアが触れる特殊品から普通の人が利用する一般品へと変わり始めたことを示しているといえるだろう。
ネットワークがさらに発展するには企業から個人へと利用が拡大していく必要があり、そのためには個人の生活にとって便利で魅力的なものにならなければならない。そして、ネットワーク化を推し進めていった結果、次に訪れる社会において人々の生活が快適でなければ発展の意味がない。例えば、家庭では電話と同じ位に簡単な操作で外部とメール交換が出来、そこでは競って新鮮な情報を入手して買い物等が楽しめるといった具合に、個人にとって楽しい利用環境と方法の整備が必要だ。
また、時間のある主婦や高年齢層にはバーチャル大学や趣味の講座、あるいは環境問題等の意見交換の場等に自由に参加したいというニーズがあり、教育、マスコミ、医療、ゲームをはじめ、ネットワークによる発展が期待されるテーマは枚挙にいとまがない。仕事の面でも、パソコンやワープロで翻訳や添削、文書作成が出来る人や通勤が出来ない人にとっては、自宅にいながら通信で仕事が出来るような環境整備が望まれている。
現在、国や自治体でも福祉や災害対応、広報や住民サービスの向上においてネットワークの活用が重要テーマとして挙げられ、地域のCATV網とインターネットの接続実験や、家庭の電話回線を高速通信に利用するための機器の開発等が進められている。ネットワークの発展には多くのハードルがあるが、基盤整備や通信費低減の方策が多方面から進められることでさらに利便性と魅力あるものに変容し、そこに参加する個人や家庭、商店なども拡大していくことだろう。(完)

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