1997 JUNE
NO.260
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.15/第3回
東京インターネット(株) 関西センター長
(財)京都産業情報センター 商業アドバイザー 
古長 勝人 氏
シリーズ4回で掲載する予定です

設問3−企業間におけるネットワークの活用状況をどのようにみておられますか。また、今後の展開は。

企業間でのネットワーク活用は、1970年代から銀行間、大手メーカーと販社や関連する子会社間、スーパーと家庭用品メーカー間、航空会社と旅行業者間などで着実に広がってきた。この場合、それぞれの企業は高価な自前の回線を設置する必要があり、大企業が中心だった。
 昨年来、インターネットを利用する企業が増加し、企業間での活用においても大きな期待がもたれている。当初は外部からの侵入や情報漏洩の不安があったが、現在では不法侵入を防ぎセキュリティーを守るための技術が確立され始め、インターネット回線を利用した企業間の通信もより安価で容易に実現できるようになってきた。
今後、企業間ネットワークがますます必要になり拡大していくことは確かだが、それには業務上の背景がある。大手製造業では、資材の調達を納入業者とネットワークを通じて行おうと計画。また企業を始め官公庁の中でも、一部の調達分野で調達側と納入業者間の関係書類・手続きをすべて電子化する検討が進められている。さらに商業の分野でも、電子決済の拡大が進むと金融機関との通信が必要になってくる。これらの動向は業種や企業規模に関係なく、関連する企業間での入札や取引、決済、保守サービス等多くの段階で企業間通信が必要となり、場合によってはこれが取引業者の資格条件にもなってくる事が予測される。
さらに、情報化時代には従来の事業枠を超えて多くの分野で新規事業が立ち上がり、一企業が関連する相手企業の数が増えてくる。その他、それほど多くはないが、航空機の設計・開発からゲーム・ソフト、コマーシャル・ソフトの作成まで幅広い分野における国内外の企業間の共同作業、また小規模オフィスや個人の自宅作業者と発注企業間がネットワークを通じて作業を行う等、新しい事業形態も出始めている。
このような企業間ネットワークの量・内容の変化に対して、一方ではインターネットの回線品質と性能の向上、コスト削減、さらには電子商取引の法制度の整備等の環境づくりも進んでいる。今後もネットワークに加入する企業と個人がさらに増加し、その結果、関連する企業間や企業と個人とのネットワークはますます密になり、かつ拡大していくといえる。

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