1997 MAY
NO.259
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.14/第2回
東京インターネット(株) 関西センター長
(財)京都産業情報センター 商業アドバイザー 
古長 勝人 氏
シリーズ4回で掲載する予定です

設問2−情報ネットワークの企業内活用はどのような形で進行しているのでしょうか。

 米国でのインターネット発展の衝撃が、日本企業の経営層や営業企画部門、人事部、さらには情報システム部門にまで大きなインパクトを与え、新事業企画や広報、求人案内、営業等の部門で導入が進められてきた。こうした状況を傍観している企業やインターネットの利用価値に気づいていない企業もあるが、世界的な情報インフラとしてのインターネットの利用の巧拙は企業の活力に影響し、ひいては企業格差につながる問題だと考えられる。
 企業におけるインターネット利用には2つの方向がある。その第1はインターネットが持つネットワークを利用した情報の受発信。企業紹介・求人、メイン商品紹介・販売等の対外発信や、各種情報、デザイン等の収集、オープンソフトの入手といった受信による、双方向の活用が日常化し、業界ニュース等の情報発信やインターネット通販の事業を立ち上げて成功を収める企業も出始めた。これらは企業内の1部門や個人によるものであり、企業全体で利用しているわけではない。
 第2の方向は、インターネットが持つ情報資源や技術を企業が丸ごと活用しようとするイントラネットの構築。こちらはすでに実効を上げている企業例もあるが、検討中あるいは設計中の企業も多い。従来の社内情報システムにはコスト、スピード、操作性、互換性などの問題や営業・総務部門にはあまり役立っていない等の未完部分があり、イントラネットの構築とはこうした諸問題を解決するために社内情報システムを再構築することである。イントラネット適用の中で代表的な電子メールの場合、企業内の情報伝達を紙から電子メール化することで業務が大きく変化し、社内にある種の緊張感が出て迅速な反応と行動が起きる体質に変わったという例がある。イントラネットの構築を機に、業務のやり方そのものを改革するリエンジニアリング(BPR)が米国の多くの企業を立ち直らせたといわれており、日本でも先進企業において取り組みが始まっている。  最近のこうした情報インフラへの企業の取り組みをみていると、情報を資源・武器とみる感知度とそれを支える情報技術(IT)の高さが企業そのものの力の差になっていくことが実感される。

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