1997 APRIL
NO.258
KYOTO MEDIA STATION

京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.13/第1回
東京インターネット(株) 関西センター長
(財)京都産業情報センター 商業アドバイザー 
古長 勝人 氏
シリーズ4回で掲載する予定です

設問1−企業におけるネットワーク導入の現状と今後の展開についてお聞かせ下さい。

インターネットをはじめとする情報ネットワークの導入には、大きくわけて2つの方向がある。
1つは、インターネットの社内ユースを目的とした導入。これは中規模以上の企業に多くみられ、時期によって活用内容が少しずつ変わっていった。昨年前半までは“まず試行してみよう”から始まりホームページを開設して企業紹介を中心に情報発信を行っていたのが、後期には人事採用の案内や主要製品の紹介などに内容が変化。年末から今春にかけてはイントラネットの基盤構築をめざす導入も見え始めている。
とはいえ、現在でも用途を模索中の企業も多く、導入時から企業ネットワークのインフラとして検討しているような例は少ない。一部には通販部門の開業、情報検索支援、情報提供、商店街モールの開設など社内新規事業部門の立ち上げもあるが、中規模以上の企業では、新規事業の起爆剤にしようとする動きは概して少ないといえる。
2つ目は、新規事業を立ち上げようとする、起業のための導入。これは意欲的な中・小規模の企業やベンチャー企業に多く、目的が明確だ。インターネット通販の場合は主に、通信販売の経験を持つ企業や特徴ある商品を世界中に販売しようとして企業化した個人企業。すでに全国で1800もの店舗が開設されたといわれ、利益が出始めている所も散見できる。また、ホームページやゲーム・ソフト、コマーシャルなどのコンテンツ作成事業では、新規分野への参入や同種の既存業務のスピード化、営業チャネル拡張などの目的で導入して効果をあげている企業が多い。プロバイダー業の起業化は顧客会員数の見通しや営業、技術面の体制づくりなどが事業化する際のハードルだが、特定の業種向け専用線サービスや個人向けのダイヤルアップで加入者を募ってきちんとサービスしている業者は京都でも着実に事業を伸ばしている。
今後は各分野で真価が厳しく問われて勝者と撤退組が明確になる。その一方で、多くの新分野・新市場が生まれてくる慌ただしい時期に入る。しかも、企業においてはインターネット活用の成否が事業そのものの伸張にも影響すると思われる。

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