1996 NOVEMBER
NO.253
KYOTO MEDIA STATION


京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.8/第4回
次回からは近畿大学理工学部特任教授の佐佐木綱先生にお話しいただく予定です

京都大学大型計算機センター
金澤 正憲 教授

設問3−京都という風土、あるいは京都の企業に対して専門分野の立場から望まれること、助言があればお願いします。

京都の企業を語るとき、歴史や独特の土地柄に結びつけて説明されることが多い。確かに産業や企業の発展はその土地と無縁ではないが、とかく「京都らしさ」ということに肩が入りすぎているような気もする。京都のもう一つの側面であるハイテク産業、卓越した技術開発力をもつ企業にとっては、「京都らしさ」はもはや共通項ではなくなり、ただ仕事がやりやすいということで立地している企業も案外多いのではないか。
京都はよくいわれるように、盆地の地形から重厚長大型産業には向かず、高付加価値を追求する研究開発型企業を輩出してきた。進取の気質、文化的ストックがプラスに作用したとの見方もあり、その意味でマルチメディア産業が花開く素地は十分にある。しかし、マルチメディア市場が拡大していくなかで、京都の先行優位性がいつまで保てるか。既成の産業や行政、大学との連携なども含めた都市としての総合力みたいなものが、これから問われてくることになるだろう。
1200年にわたる文化遺産、伝統産業のワザにはすごいものがある。永々と引き継がれてきた技術文化を将来にどうつないでいくか、を考えなければならない。京都はそれだけの責務を負っているといえる。近年、入洛観光客数が低迷しているが、たとえば大阪の新名所として定着した海遊館は一つの文化といえるだろう。魅力があるからこそ大勢の人が集まってくる。京都も古都であるということにこだわらず、楽しくて心が豊かになることに取り組み、情報発信していけばもっと魅力が出てくると思う。
昨年のG7、「情報社会に関するG7関係閣僚会議」で中小企業国際情報ネットワークが実施されることになった。(財)京都産業情報センターは、中小企業と京都府の支援を受けていち早くこのプロジェクトに参加し、我々のインターネット利用研究会も第2ステップに入った。インターネットの一番の特長である双方向性をどう生かすか、新たなサービス提供や独自の情報網構築へ、本番の時を迎えたと考えている。 (完)

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