1996 SEPTEMBER
NO.251
KYOTO MEDIA STATION


97年4月
スタートする容器包装リサイクル法


ゴミを資源として回収し再利用する「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が来年4月から施行される。ゴミ問題はリサイクルの環境づくりへ向けて進み始めるが、この法律の特徴の1つは、容器や包装材の処理に事業者がそれなりの責任と負担を負うことにある。同法のあらましを紹介する。

容器包装リサイクル法は、家庭などから一般廃棄物として排出される容器包装について、消費者、市町村、事業者それぞれの責任分担を規定したもので、95年6月に可決成立。消費者は容器包装を分別して出し、市町村はそれを分別収集し、事業者は分別収集品を自ら、または指定法人等に委託し、再商品化(リサイクル)することを主な内容としている。これによって、「分別排出」「分別収集」「再商品化」の体制が整備され、リサイクルシステムが動き出す運びである。

対象となる容器包装とは
容器包装リサイクル法における「容器包装」とは、「商品の容器及び包装であって、該当商品が費消され、または当該商品と分離された場合に不要になるもの」であり、基本的にはすべての容器包装が対象になる。ここでいう容器とは商品を入れるもので、袋も容器に含まれ、包装とは商品を含む包むものをいう。

容器
金属缶・ガラスびん・飲料用紙容器・段ボール箱・その他の紙製容器・ペットボトル(飲料及びしょうゆ用)・その他のプラスチック製容器等。
この法律では、これらを「特定容器」といい、主務省令で素材ごと、形状、構造ごとに定められている。
包装
包装紙や生鮮食品などにトレーと一緒に用いられるラップ等。
この法律では、これらを「特定包装」という。
社会通念上、容器包装であると判断される容器の栓、ふた、キャップ等は対象となる。
〔例〕
  • ペットボトルのキャップ、ガラスびんの王冠
  • 金属缶のタブ(飲み口部分のもの)、缶詰のタブ(口全体のもの)
  • カレー粉の缶のふた、贈答用紙の上ぶた
  • 名刺ケースのふた
  • カップ焼きそばのふた、カップラーメンのふた、プリンのふた
●対象とならない容器包装
商品以外に付されたものや、サービスの提供に伴って付された容器包装は対象外となっている。
〔例〕
★容器でも包装でもないもの(物を入れても包 んでもいないもの)は対象外
  • 焼き鳥用の串、アイスキャンデーの棒
  • ラップフィルムの芯、トイレットペーパーの芯
  • ラベル、ステッカー、シール、テープ類(包んでいないと認識されるものは対象外で、具体的には、包む商品全体を包むのに要する最低面積の1/2以下のものは対象外と解される)
  • ひも、バンド
  • 釘、ピン、ホチキスの針
  • 飲料パックのストロー (但し、ストローの袋は対象)
  • 弁当のスプーン、割り箸、お手拭き (但し、商品の付属品の容器や包装、袋は対象)
★商品以外の物に付された容器包装は対象外
  • 手紙やダイレクトメールを入れた封筒
  • 景品を包む紙袋
  • 家庭で付した容器や包装
★商品ではなく、役務の提供に伴う容器包装 は対象外
  • クリーニングの袋
  • 宅急便の段ボール
★通常の使用において中身の商品と分離して不要とはならないものは対象外
  • CDのケース
  • 楽器、カメラ等のケース
  • サバイバルナイフの革ケース
  • 書籍の外カバー
  • ボールペンの軸
  • 日本人形のガラスケース、ボトルシップのボトル
★中仕切り、台紙等、発泡スチロール製の緩衝材等は使用形態により、個別具体的に判断される。
●再商品化義務の対象とならない容器包装
市町村で分別収集されることにより、有償または無償で譲渡できることが明らかなものは、事業者に再商品化義務を課すまでもなくリサイクルされているため、本制度における再商品化義務の対象外となる。
  • スチール缶等の主として鋼製の容器包装
  • アルミ缶等の主としてアルミニウム製の容器包装
  • 牛乳パック等の主として紙製の飲料用容器(原材料としてアルミニウムが利用されているものを除く)
●適用が3年間(平成12年3月31日まで)猶予される容器包装
  • 主として紙製で飲料用紙容器(原材料としてアルミニウムが利用されているものを除く)以外のもの
  • 主としてプラスチック製で飲料またはしょうゆを充てんするためのペットボトル以外のもの
対象事業者(特定事業者)
同法では再商品化義務を担う事業者を「特定事業者」と呼び、次のように区分される。
  • 特定容器利用事業者
    販売する商品について特定容器を用いる事業者(輸入業者も含む)
    〔例〕
    お菓子を袋や箱に入れて販売する菓子メーカーや、生鮮食料品をトレーに入れて販売するスーパー等が該当
  • 特定容器製造等事業者
    特定容器の製造を行う事業者(輸入業者も含む)
    〔例〕
    ペットボトルやトレーを製造するメーカーが該当
  • 特定包装利用業者
    その事業において特定包装を用いる事業者(輸入業者も含む)
    〔例〕
    商品を包装紙で包んで販売するデパート等が該当
適用除外者及び適用猶予者
●適用除外となる小規模事業者
  • 商業、サービス業を主に営む事業者については、常時使用する従業員の数が5人以下で、かつ年間の総売上高が7,000 万円以下
  • その他の業種の事業者については、常時使用する従業員の数が20人以下で、かつ年間の総売上高が2億4,000 万円以下
●3年間適用猶予となる中小企業者
  • 小売業、サービス業を主に営む事業者については、資本金または出資金が1,000 万円以下または常時使用する従業員の数が50人以下
  • 卸売業を主に営む事業者については、資本金または出資金が3,000 万円以下または常時使用する従業員の数が100 人以下
  • その他の業種の事業者については、資本金または出資金が1億円以下または常時使用する従業員の数が300 人以下
分別基準適合物
市町村が分別収集計画に基づいて分別収集した容器包装廃棄物のうち、厚生省令に定める分別基準に適するものであって、保管施設(主務省令で定める設置基準に適合する施設として主務大臣が指定する施設)において保管されているものをいう。
〔保管施設基準〕
・施設の数については、概ね人口30万ごとに1カ所を超えない数(人口30万人未満の市町村は1カ所)
・当該施設は、再商品化施設との輸送距離等を勘案して設置されること
●特定分別基準適合物
主務省令で定める容器包装区分によって区分された分別基準適合物をいい、特定事業者に対する再商品化の義務は、この特定分別基準適合物ごとに課せられる。
〔特定分別基準適合物〕
・商品の容器のうち、主としてガラス製のものであって、無色のもの
・商品の容器のうち、主としてガラス製のものであって、茶色のもの
・商品の容器のうち、主としてガラス製のものであって、無色または茶色以外のもの
・商品の容器のうち、主としてペット 製のもの(飲料またはしょうゆを充てんするものに限る)
〔分別基準〕
「分別基準適合物」についてのみ特別分別基準適合物ごとに事業者に再商品化義務が発生する。

[1] 主として鋼製の容器包装
  1. .10t 車1台分程度の量が集まっていること。
  2. 圧縮されていること。
  3. 原材料として主として他の素材を利用した容器包装が混入していないこと。
  4. 容器包装以外の物が付着し、または混入していないこと。
  5. 洗浄されていること。ただし、高圧ガスを充てんする容器にあっては、この限りではない。
  6. 高圧ガスを充てんする容器にあっては、充てん物、ふた及び噴射のための押しボタン(除去することが容易なものに限る)が除去されていること。
[2] 主としてアルミニウム製の容器包装
[1] に同じ
[3] 主としてガラス製の容器(主としてほうけい酸ガラス製のもの及び乳白ガラス製のものを除く)
  1. [1] の1.3.4 に同じ。
  2. 洗浄されていること。
  3. .無色のガラス製の容器、茶色のガラス製の容器及びその他のガラス製の容器に区別されていること。
  4. 主としてガラス製のふた以外のふたが除去されていること。
  5. 主として結晶化ガラス製の物が混入していないこと。
[4] 主として紙製の容器包装であって、飲料を充てんするための容器(原材料としてアルミニウムが利用されているものを除く)
  1. [1] 1.3.4 に同じ。
  2. 洗浄され、乾燥されていること。
  3. 切り開かれ、または圧縮されていること。
[5] 主としてプラスチック製の容器包装であって、飲料またはしょうゆを充てんするためのペットボトル
  1. [1] 1.3.4 並びに[3] の2.に同じ。
  2. ペット製以外の主としてプラスチック製の容器包装が混入していないこと。
  3. ペット製造のふた以外のふたが除去されていること。
  4. 圧縮されていること。


リサイクル(再商品化)とは
「再商品化」とは原材料や製品としてそのまま使用する者に、有償または無償で譲渡し得る状態にすること。事業者が自ら製品の原材料として利用したり、製品としてそのまま使用することも含まれる。
例えばガラスの空びんを破砕して、異物を除去し、洗浄して「カレット」というガラス容器の原料にする行為は「再商品化」に該当する。
また、燃料として利用される製品として、炭化水素油にすることが認められている。例えば、廃プラスチックを熱分解等を行うことにより油化する行為は「再商品化」に該当する。

再商品化義務とは
●事業者の再商品化(リサイクル)義務
事業者は、消費者が分別排出し、市町村が分別収集することにより、得られた分別基準適合物をリサイクルしなければならないという義務があり、事業者は分別基準適合物について、容器包装の種類及びその使用量または製造量に応じて算出された「再商品化義務量」が課されている。
再商品化義務を負う事業者が万一、この義務を履行しない場合には、「指導及び助言」、「勧告」、「公表」、「命令」を経て「罰則」が適用される。
●再商品化義務の履行方法
特定事業者が負う再商品化義務の履行方法には、次の2つがある。
(1)指定法人のルート
国の認定を受けた「指定法人」に、再商品化義務の履行を委託し、その契約に係る責務を履行することで再商品化義務を履行したものとみなされる。
(2)独自のルート
一定の基準を満たし、主務大臣の認可を受けた事業者は、自らまたは直接再商品化事業者に委託して再商品化を実施できる。

なお、消費者や販売店から直接、容器包装を回収した場合、その回収量に応じて再商品化義務が免除される。
また、一定の回収率に達するものとして主務大臣の認可を受けた容器包装については、市町村に廃棄物として排出された残りの分について、再商品化義務が免除される。
再商品化義務量とは
特定事業者の再商品化義務量は、特定事業者全体が再商品化すべき再商品化義務総量を業種や規模によって分担することで算出される。「特定容器利用事業者」、「特定容器製造等事業者」、「特定包装利用事業者」それぞれの再商品化義務量は、特定分別基準適合物ごとに、図のような考え方で導かれる。
なお、各業種ごとの義務量は、主務大臣が公表する比率、量等により算出可能であり、各特定事業者は、特定容器および特定包装の排出量または使用量もしくは製造量を把握すれば「再商品化義務量」を算定できることとなる。
また、透明性の確保の観点から、主務大臣が再商品化義務量に係る比率等を定めるに当たり必要と認める場合には、関係事業者、その他利害関係者の意見も聴くものとしている。

指定法人への委託とは
●指定法人への再商品化の委託
特定事業者の行う再商品化義務の履行を円滑・容易にするため、国は、いわゆる公益法人であって特定事業者の委託を受けて容器包装の再商品化を実施する者を指定法人として指定することができる。
●指定法人の指定
国は、民法34条に規定する法人(財団法人、社団法人)であって、特定事業者の委託を受けて分別基準適合物の再商品化を適正かつ確実に実施することができると認められる者を指定することができる。
●指定法人による再商品化確保のための規定
指定法人による再商品化業務の適正かつ確実な実施を確保するため、再商品化業務規定の認可、事業計画の認可、業務休廃止の制限、契約の締結及び解除に対する制限、監督上必要な命令、報告の徴収、立入検査等の規定を設けている。
なお、透明性の確保の観点から、再商品化業務規定等を認可するに当たり必要と認める場合には、関係事業者、その他利害関係者の意見を聴くものとしている。
再商品化計画及び分別収集計画の策定
(1)再商品化計画の策定
国は基本方針に即して、市町村の分別収集した分別基準適合物の再商品化に関する計画(5年間の計画)を3年ごとに策定し、公表する。
第1回目の再商品化計画は、「ガラスびん」と「ペットボトル」の再商品化可能量等について、平成9年4月〜平成14年3月までの5年間の計画を官報(8年5月17日付)にて公表している。
(2)容器包装廃棄物の分別収集に関する措置
  1. 市町村は基本方針に即し、かつ再商品化計画を勘案して、容器包装廃棄物の分別収集に関する計画(5年間の計画)を3年ごとに策定し、都道府県に提出する。市町村は、当該計画に従って容器包装廃棄物の分別収集を行わなければならない。
  2. 都道府県は基本方針に即し、かつ再商品化計画を勘案して、容器包装廃棄物の分別収集の促進に関する計画(5年間の計画)を3年ごとに策定し、厚生大臣に提出するとともに公表する。
  3. 消費者等の容器包装廃棄物を排出する者は、市町村の定める基準に従い、当該容器包装廃棄物を適正に分別して排出しなければならない。
中小企業団の支援策
(1)中小企業事業団の容器包装リサイクル法
対応専門員によるアドバイス
中小企業の方からのお問い合わせに対し、アドバイスや情報提供をいたします。
(2)容器包装リサイクル法に関する講習会の開催
(財)京都産業情報センターでは、容器包装リサイクル法に関する講習会を平成9年1月29日に開催を予定しています。


●問い合わせ先
中小企業事業団 企画調整課 環境・安全等対策室
 TEL 03(5470)1517(ダイヤルイン)  FAX 03(5470)1526
(財)京都産業情報センター
 TEL 075(315)8677  FAX 075(314)4720


●ペットボトル
容器のなかでも回収・再利用される比率が特に低いのがペットボトルで、現在の回収率は2%にとどまっている。そこで始まったのが繊維への再生。ポリエステルなどの合成繊維もペットボトルも同じ石油製品であるため、ペットボトルを溶かして加工すれば合繊原料として利用できる。再生ポリエステル繊維の主原料は従来、ビデオテープやレントゲンフィルムなどの廃棄フィルムだったが、これらの工場の海外移転で国内の発生量が減少。そこでペットボトルが新たな原料として脚光を浴びており、今後の回収率向上への期待は大きい。
●牛乳パック
かつてはリサイクルが不可能といわれた牛乳パックだが、表面のポリエチレン部分をはがす技術が確立したことや市民団体の活発な取り組みで回収率は高まりつつある。全国牛乳容器環境協議会によると、主にトイレットペーパー用に再生される牛乳パックの回収率は現在16.5%程度。年間回収量は4万9,000tで、うち容器メーカーの損紙が2万3,000t、残り2万6,000tが一般家庭からだという。回収時には“洗って、開いて、乾かす”ことが不可欠で、消費者がこれを徹底することが回収率を高めるポイントとなる。
●アルミ缶
アルミ缶リサイクル協会の調べによると、95年度のリサイクル率は前年度より4.6 ポイント高い65.7%に上昇、米国(62.2%)を日本が初めて上回ったという。その理由は法の施行を控え、市町村単位で分別回収が一段と浸透したためとみられる。業界大手の三菱マテリアルは、自社で生産するアルミ缶のリサイクル率を現在の60%から、98年度末までに100 %に引き上げる戦略を打ち出した。アルミ缶の原料を、輸入のアルミ新地金から全量使用済み缶に切り替える計画だ。

※本稿は、中小企業事業団「円滑なリサイクル社会の構築に向けて〜容器リサイクル法への対応〜」をもとに編集したものです。
 

MONTHLY JOHO KYOTO