1996 SEPTEMBER
NO.251
KYOTO MEDIA STATION


京都・人・産業
巻頭インタビュー Vol.6








京都大学大型計算機センター
金澤 正憲 教授

設問2−インターネットで最も形になりやすい情報発信がホームページ。京都の場合、観光情報にスポットをあてるのみしかないのでしょうか。また、インターネットが本当に普及していく条件は?

パソコンやインターネットがテレビのチャンネル並みに大衆化するかどうかは、パソコンに抵抗がない世代が増えているので、広がる可能性はある。そのためには、どれだけ面白い情報を提供できるかだと思う。ホームページを見ていると、何をどうアピールしていくかという点が検討されたわけではなく、はやっているからとりあえずつくってみたというケースもあるのでは。インターネットで発信してこそ生きる情報もあるはずだ。
そういう観点からいえば、ホームページづくりに一番熱心なのは大学かもしれない。18歳人口が確実に減っていくなかで危機感を強めているからだ。学生自身も3人に2人がインターネットを使用しているといわれている。最近、学生に向けて会社案内や採用スケジュールをインターネットで流す企業が増えているが、こうなると学生も情報を入手しようと必死になる。
もっとも、現時点では情報を伝達するだけで、必要な情報のセレクトは人間に委ねられている。それをどうやってシステム的に処理するか。電子メールも通信手段としての有用性が認識されているが、いつごろだれからどんな内容のメールがきたかを後から検索しようとしても即座に出てこない。つまり、発信は簡単にできても処理がまだうまくいかない。そのへんにこれからの課題がおのずと見えてくる。
行政情報もまたしかりで、たとえば固定資産税についてクリックしたら、納付期限のお知らせや全額前納すれば割引があってお得ですよ、とか……。役所に関する情報をすべて冊子にすると膨大なものになる。かえって情報が過剰であるために、本当に必要な情報が見つからないということも出てくる。だから、住民にとって知りたい情報だけを取り出せる仕組み、インターネット上でもなんらかのガイドがあれば、我々の生活に定着していくことになるだろう。

シリーズ4回で掲載する予定です。

「京都・人・産業」へのご感想、ご意見をE-mailで受け付けております。SL000109@joho-kyoto.or.jpまでお寄せ下さい。インターネットと紙媒体の融合を図るため紙面での掲載も予定しております。

MONTHLY JOHO KYOTO