ビジネスに をどう活かすか 〜ホームページづくりを通して〜
トップが自ら陣頭指揮
ホームページの内容はいわゆる電子カタログで、取り扱っている車の全機種(11機種)はもちろん、従来のカタログ内容すべてを掲載しようと当初は考えていた。しかし、それではページ数が多くなるし、ダイヤルアップに時間がかかりすぎると費用もかさむので、利用者に嫌がられるのではないかと、編集を行い割愛したという。 基本ターゲットは、INETに加入できる範囲の京都市周辺。だから英語バージョンはつくっていない。いまのところEメールは中谷社長個人宛てで、カタログ請求があれば営業社員が出かけていくという形での対応になる。 さて、その反応は―「正直のところまだない。この1月中旬に開設したばかりなので、1カ月間にどのくらいのアクセス回数があるか、早く数字が知りたい」。新車発表会などではチラシのほうが客の動員には効果的とはいえ、ホームページの利点は、形を一度つくってしまえば印刷広告のようにそのつど原稿から作成する手間や経費が削減できることだ。たとえば、車の場合だと4年ごとにモデルチェンジがあるが、その機種だけ新しい情報を入れ換えていけばいい。もっとも、いまはホームページをつくったという話題性だけが先行している面も否めないようで、「新聞広告にインターネットのアドレスを入れて、ホームページを持っているので見てください、とPRをしよう」と中谷社長は思っている。 ネットワーク社会に向けて、その手段であるインターネットは社会生活に直接、かつ深くかかわってくる可能性を秘めている。同社では、それだけの人がホームページを実際に見てくれるのか、「ホームページのコンテンツ(内容)の一部を社内でつくるというような、新しいメディアを利用しての仕事の幅を広げていけるよう社員を啓蒙していく」方針だ。
関連商品・業種とのリンクも 株)サン・クロレラ (京都市下京区)
ホームページのカラー基調は健康をイメージした鮮やかなグリーンで構成。会社案内と商品を掲載し、現在、アクセス回数は1日平均で14、5回。画面上ではEメールで注文を受ける体裁をとっていないので、即販売には結びついていないものの、反応はまずまずとみている。 同社の場合、売上高に占める広告宣伝費のウエートは30%に近い。その点、さきのホンダベルノ平安と同様に「他の媒体に比べるとコストは安い(今井課長)というメリットが挙げられる。 半面、実際にホームページを開設してみて出てきた課題は二つある。一つは、同社の顧客はアレルギー体質の子どもや成人病予防の対象となる中高年がメインなので、ターゲットがパソコン利用世代とは必ずしもマッチしていないという点。もう一つは、消費者へダイレクトに販売していることから特定の顧客に単品レベルで割引できないこと、つまり電話に代わってインターネットでわざわざ注文しても“特典”が提供できないということだ。 したがって、インターネットをビジネスのツールとして活用するというより、いまのところは企業の広告塔の域を出ていない。しかし今後、家庭内へのパソコンの普及に拍車がかかり、ネットワークの網の目が緻密になっていけば、「問題点の検討改善とともに、健康というコンセプトのもと、他の健康食品やフィットネスクラブなど関連業種ともリンクしていく方向で仕掛けをしていきたい」(同)と考えている。
次なる段階に向けて 京都電子計算(株)(京都市中京区)
「インターネットで情報発信するにはページの出来ばえが肝心。独自の光るもの、“いい内容だな”とユーザーの関心を引くものでなければ本来意味がない」と情報技術部の小山 正弘課長。ホームページづくりで得た教訓は、情報システムとコンテンツの担当者をそれぞれ分けたほうがよい、ということ。技術がわかることと、インターネットをビジネスに活用することとは全く違うからだ。 いまやショッピング・モールから地方特産品まで、オンライン・ショッピングへの参入は引きも切らないが、果たしてその内容は消費者の気持ちをつかむものになりえているのかどうか。現況は「ユーザーは本当に必要があって利用しているのではなく、ちょっと試しにといった“遊び”感覚の段階。だからこそ多くの方に当社のホームページをアクセスしてもらうために、どのようなサービスができるのか考えているところである。組織的、継続的により良いサービスを提供するためには、企業内でオーソライズされている必要があり、このあたりを詰めている段階。 個人的にはパソコン利用、活用方法などについて、初心者向けの相談受付や回答などをホームページを通じてサービスできないか考えている」と小山課長。というのも、インターネットはまだパソコンマニアがユーザーの中心で、消費のプロである女性ユーザーが増えなければビジネスは成り立たないという声もある。結局、「インターネットが従来の通販にとって代わるか否かは、素人でも気軽に利用できるようになるかどうかにかかっている」(情報技術部のシステムエンジニア、中村 光郎さん)。 そして、インターネットへの取り組みを考えあぐねている企業に対して、小山課長はこうアドバイスする。「よそがやっているからうちもやろう、という発想だけでは期待どおりの成果は得られない。ただ、インターネット自体はあくまでも一つのツールにすぎない。だからメリットのみを追求することにこだわらず、大いに楽しんで活用することも大切。それはネットワーク社会が次なる段階に入ったときのために、という意味もあるのです」―。
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