MONTHLY JOHO KYOTO
1995 NOVEMBER NO.241
MONTHLY JOHO KYOTO MEDIA STATION



ハイタッチリサーチパーク
-未来創造への研究拠点-
関西文化学術研究都市の相楽地区にあるハイタッチ・リサーチパークでは、人々の生活に関係の深い13社の異業種の企業が、それぞれの事業領域での研究活動に取り組んでいます。
 この13社の企業研究に共通するテーマは<21世紀のライフスタイルの創造>。 機能性、経済性に加えて感性の高さや心の充足漢が製品づくりの上で重視される現代、人々の心を満足させ得る高感度なモノや環境づくりを目指して探究が続けられています。
 このリサーチパークの創設にあたり全体の共通理念として採用されたのが“ハイタッチ”というコンセプトです。それは、“人間の感性”を視点にテクノロジーの活用を考えることであり、便利さや経済性だけでなく、人々が本当に幸せだと感じられるハードとソフトの創造を目指す新たな産業パラダイムです。また、このハイタッチというコンセプトの中には、人間を真摯に見つめる眼差しと同様に、自然や地球の生態系にも配慮した人類史的な課題も包含しなければならないと考えています。そして、その具体化に向けて生産し提供する「創り手」企業だけではなく、「使い手」である生活者を含め研究者・生産者・生活者の3者が交流・融合できる開かれた研究環境を創出しました。
 さらに、このハイタッチ・リサーチパークのもう一つの特徴は、個々の研究所の独自活動と全体的なネットワーク活動が交差する高シナジー・システム・エリアであること。13社それぞれの多元的な研究アプローチが行われる一方で、異業種交流を通じての情報交換や共同研究・共同事業の具体化など、相乗効果による無限の可能性を秘められています。

ハイタッチリサーチパーク構成企業
ハイタッチリサーチパークには、最先端のハイテク分野から京都の伝統工芸分野に至るまで、生活に関連の深い13社の企業が研究活動を展開しています。
 この13社の企業の中には、京都産業情報センターの会員企業が5社含まれています。
 そのうちの一つに吉忠マネキン(株)YOSHICHU情報センターがあります。ここでは、企業の基本となる歴史・文化を再編集する意味で重要な役割をはたしており、今後も常に新陳代謝を行い、新しいモノづくり、新鮮なモノ情報を発信し続け、ワールドワイドなネットワークを生かした情報を吟味、分析し未来のシナリオを作りつつアグレッシブに「オリジナル性」「独自性」を追求、伝統と歴史に裏付けされた革新を実戦しています。
また、(株)京都科学 KYOTO KAGAKU開発研究センターでは、企業の研究中枢の場としてその対象領域を全般的に網羅した知識・情報の双方向集積・研究と、その媒体化表現技術を開発し、企画力、マーケティング力を高めることを目的とし、科学研究機関支援分野のマーケティング開発、創造力や感性を豊かにするためのヒューマニティ空間の充実をも目指しています。
さらに、(株)第一紙行 第一紙行ライフデザイン研究所では、「LIFE」という言葉を多面的に捉えていこうと考え、表面的なモノやカラーやフォルムがDESIGNの全てではなく、商品の生産効率と市場における目立ち方、刺激のテクニックも全てではない。「LIFE DESIGN 」こそ、21世紀の理念であると考えています。
 また、(株)二条丸八 二条丸八セレモニー研究所では、人生最大のセレモニーである婚礼を主として人生の各セレモニーを多角的に研究し、その成果を発信する基地として、民族学的、風俗学的に日本文化の“ハレの場”を研究し、セレモニーに関する衣装などのハード研究と演出などのソフト研究、また、マーケティング等の情報収集やデザイン・柄・インテリア等の開発を行い、京都の伝統技術を21世紀に向かってハイタッチに展開させていくヒューマンネットワークの場と考えています。
 そしてクロイ電機(株)クロイハイッタチ研究所では、“人とあかり”をテーマにデザイン性の高い照明器具とエレクトロニクスの照明制御技術を一本化し、あかり文化としての道具の研究開発の促進と、“人とエレクトロニクス”をテーマに、情報機器関連のビジュアルサインやセキュリティー機器、ホーム・オートメーション制御機器の研究開発の促進と、企画、デザイン、機械設計、電機設計、マイコンハード・ソフトのエンジニアが「創意と工夫」を合言葉に研究開発に取り組んでいます。
 以上5社の他、フジヤHRセンター、JEUGIA ecole、積水ハウス総合住宅研究所、PHP 総合研究所、YAMANAKAアート研究センター、きんでん京都研究所、ワタブンホームファニシング研究所、福寿園CHA 研究センターが研究活動を行っています。
ハイタッチ異業種交流事業 “新しいライフ・スタイルの創造”を共有テーマに、異業種交流を通じた様々な研究・事業アプローチが探究されています。
 その、具体化事例として、融合化法に基づきハイタッチから2つの融合化組合が誕生しました。そのひとつ、(協)空間プロデュースでは、タクトを振っての人の指揮に従い4面のパネルが弦楽四重奏を演奏するという多機能パネル「森野カラヤン」を開発し、音楽鑑賞用のほか、音感教育や空間演出など幅広い用途が見込まれています。また、(協)ティーライフ・クリエイティブは、水質や水温などの諸要素をコントロールし、最適な状態で数種類のお茶をサービスする給茶器「オート・ティーメーカー・システム」を開発し、オフィスや家庭での需要を想定しつつ商品化に向けて研究が続けられています。
 さらに、このリサーチパークが立地する木津町の歴史と文化を掘り起こし、地域社会の一員として新・旧住民が一体となった「木津町のこれから」を提案するプロジェクトも発足しています。
 このような多彩な業種や分野から構成されるハイタッチリサーチパークでは、それぞれの企業が持つテクノロジーとノウハウの相乗的なリンケージにより、1企業での事業領域の限界を超越し、時代を革新する共同研究・事業化の夢を追求し続けています。


DATA

(協)ハイタッチ・リサーチパーク
住所
TEL
FAX
〒619-02 京都府相楽郡木津町兜台6-6-1
07747-3-0600
07747-3-0601