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●現在の日本のDM医療に欠けているもの2

仮に18歳で発症し、20歳まで小慢を受けるとして、75歳で死んだとしましょう。その時の医療費の総額は次の通りです。

   健常者: 408万1000円
  1型DM:2681万4480円
      (自己負担2割:536万2896円、3割:804万4334円)

皆さん毎月窓口で1万円前後の支払いがあるかと思うのですが、「ちょっと高いな」の積み重ねの結果がこれです。もちろん医療費を全額自己負担する訳ではないので、2680万円も払うことにはならないのですが、それでも2割で536万円、3割だと804万円です。これは合併症無しの場合ですので、3割負担だと1000万円を超えるでしょう。

そして
・1型DMをフォローする医療体制の不備
も大きな問題でしょう。実は医療機関自体、1型DMに対して本当に適切な医療を提供できる施設はまだまだ少ないのが偽らざる現状です。血糖自己測定指導管理料については、その正しい運用まで正確に理解している医師の方が稀でしょう。血糖測定チップを75枚以上は出せないと主張したり、衛生材料を自費で購入させている診療機関や医師も未だに後を絶ちません。

このように現行医療制度では、1型DMをフォローする上で完全な不備があると結論せざるを得ません。家や車を購入する場合と同じだと指摘があるかも知れませんが、少なくともこれらの治療を受けないと我々は生命維持が出来ないのですから、それは当てはまらないと思います。命を繋ぐためだけにこれだけのコストが懸かるようでは、スタートライン自体が違ってしまうので、今の政府が考える「結果不平等」の社会システムを容認する訳にはいきません。まずこれらの経済的機会損失を補填し、「機会均等」を保証してからの話なのではないでしょうか。

このように、今の日本には、「今後日本の医療がどうあるべきか」を指し示すグランド・デザインが全く不在なのです。